轟悠の、宝塚の男役としての最後の舞台作品。作・演出を手がけるは植田紳爾。今年、二月大歌舞伎『泥棒と若殿』(歌舞伎座)を観た際、…こういう作品を宝塚でも観たい! 娘役が演じる役が一つもないのは困るけど! と思ったのだが、その願いが叶った。それも、ヒロインが最高の女のやせ我慢を見せるという形で。別れに際して姿を見せないヒロインお鈴の、その澄んだ声だけが遠くから聞こえてくるラストの痛切な美しさ。轟悠の最後の相手役、大切な作品のヒロインを、音波みのりが見事務める。観客の轟への惜別の念を代弁するかのようなセリフを、深い愛をもって語る汝鳥伶の至芸。
 ――今日が、男役・轟悠を生で観る最後の機会だった。

(7月28日11時の部、東京芸術劇場プレイハウス)
2021-07-28 23:44 この記事だけ表示
 7月11日12時半公演の生中継分につき、すっかり遅くなりました。

 柴山歩。気合すごい! 後半、音楽に軽やかに乗れていてとてもよかった。
 三宅星南。曲は『白鳥の湖』。終盤の王子の闘いぶり、よかった! そしてラストには白鳥が見えた! Kバレエカンパニー時代に『白鳥の湖』のジークフリードとロットバルト両方の役を踊った経験がある宮尾俊太郎が、今年NHK BSプレミアムで放送されたドラマ『カンパニー〜逆転のスワン〜』でロットバルトを踊っていたのを興味深く思い出し。
 吉田陽菜。演技にキレあり! 闘志を感じた。
 三浦佳生。曲はヴィヴァルディ『四季』より「冬」。生まれる前から定まっていたのかもしれない、そんな、己に与えられた運命を生ある限り果敢に生きんとする生命の不可思議を感じた。一緒に観ていた夫が、「どうしてこんなにも、…俺はこう生きればよかった…みたいな、人生の悔恨を感じさせる演技ができるのか。16歳じゃなくて実は36歳、いや、46歳なんじゃないか」と申しており。
 松生理乃。細やかなところまで気を配ってていねいに演技しようとしている姿勢◎。
 本田ルーカス剛史。だいぶブルースがしっくりしてきた!&哀愁も少し感じた。
 横井ゆは菜でクイーン・メドレー。パワーをぐっとこめた力強い二の腕が好き。「ウィ・ウィル・ロック・ユー」の“ドンドンチャ”は、長年の宝塚観劇で磨いた手拍子でいつかぜひ生で盛大に煽りたい! 「伝説のチャンピオン」では嗚咽しそうに…。魂のシャウト! 今の状況、みんな、その年齢&置かれた状況なりにつらいと思う…。もちろん、あひるも。でも、一緒に乗り越えよう! この経験が自分を磨いてくれると信じて。つらいとき、私は心の中の横井ゆは菜おもしろアルバム(2019年の全日本のフリーとか)を思い出して頑張る!
 友野一希。曲は『ニュー・シネマ・パラダイス』より。心にしみじみしみわたる深い愛。少年は大人になった。
 樋口新葉。振付のディテールまでがキレとしなやかさをもって表現されていて、観る者を熱狂の渦に巻き込む、鳥肌ものの素晴らしい演技! 樋口新葉がゾーンに入ると、こんな感じなのかなと…。会場の方々、画面越しに観ているこちらの分までスタンディング・オベーションしてくれてありがとう!
 神宮アイスメッセンジャーズ。凄まじい気迫で揃えてきた! 現地で観ると、自分がどこにフォーカスするかによって、見えてくるもの、迫力がまた違うんだろうな…と。
 河辺愛菜。曲はヴィヴァルディ『四季』より「冬」。心地よいスピード感の、流れるような演技!
 佐藤駿。曲はヴィヴァルディ『四季』より「夏」。途中の音楽表現に心きらめくものを感じた。
 三原舞依。曲は『レ・ミゼラブル』より「I Dreamed A Dream」。軽やかなジャンプ! 夢見ることで一歩、また一歩と前へ進もうとする、人間の生命力の力強さを感じた!
 田中刑事。曲と相俟って緊迫感に満ちた演技。気迫に圧倒されるものがあった。『LUXE』の“ナルシス”のシーンに話を戻すと、観劇していてあのような瞬間が訪れることは私自身、年に二十回あるかどうかだし、そのような瞬間が訪れる上で田中刑事の功績は大きかったと思うものだから、自信をもって!
 宮原知子。曲は「小雀に捧げる歌」。表現にふくよかさが増して、今の彼女だからこそますますドラマティックに滑れるこのプログラム。ラストのスピンの華やかさ!
 三浦璃来&木原龍一。木原龍一の包容力の中で三浦璃来がキュートに自由にのびのび泳いでいる感じが好き。スケールの大きさを感じさせる二人。フィナーレのお姫様抱っこの胸キュン度もさらにアップ。
 坂本花織。彼女の大らかな魅力、存在感がじわじわ沁みてくる魅力のあるプログラム。
 鍵山優真。悩んで人は大きくなる!&リンクに立ったらそこはあなたの世界!
 紀平梨花。曲は映画『タイタニック』より。人生の果てしなき航海を感じさせる壮大なプログラム。その航海の道連れとなるのはよき友の存在。大学は学び方を学ぶところだったなと、今の私は思っています。

 羽生結弦で「マスカレイド」。痛切で、激しく、それでいてロマンティックな、一人語りの、彼自身の『オペラ座の怪人』の物語。凄絶な孤独を乗り越えてさらに高みを見据える魂の飛翔を感じさせた。自分に与えられた生、その運命のありのままを生きようとする魂の。
 ――生中継で、涙ながらに演技を観た後、何だか魂が抜けたように盛大にぼんやりしてしまい、…そして、いろいろなことを考えた。ときおり、心の中で、「♪マスカレイド〜!」とToshiばりに盛大にシャウトしたい衝動に駆られながら。――人には生きていく上で他者が必要であるということ。それをとりわけ如実に教えてくれる、ライブ・パフォーマンスの空間について。“仮面”と自分の人生についても考えた。私自身はどちらかと言うと、“仮面”をつけるのが下手で失敗したり挫折したりしてきたような気もする。その一方で、よりよい舞台評論家になりたいと努力を重ねる過程で、自分をどこかに置き忘れてきた自分にふと気づいて驚くときもあり。
今回、観ていて思い出したのは、仮面をつけたロミオと仮面をつけていないジュリエットが一目で恋に落ちる、Kバレエカンパニー版の『ロミオとジュリエット』だった。ちょうど、今年上演された『マタ・ハリ』での加藤和樹の好演により、フランク・ワイルドホーン作品が描く“仮面”について、今一度興味がかきたてられているときでもあり。
 その一方で、思った。「…羽生結弦、おもしろいよな…」と。前からちょいちょい思ってはいた。でも、最近特にそう感じる。美しいと思っていたら実はすごくおもしろくもあったという人を、最近他でも知った。そこまで美しさを追求してきたあまりおもしろくもなっているのか、そもそもがそんなにもおもしろい人だからこそそういう美しさにたどり着いているのか、その両方ともあるのだろうと思うけれども。だとしたら、おもしろさを知ることで、その両輪としてある美しさもさらに知ることができるのかもしれず。
 本日の地上波での放送で、この日の「マスカレイド」の演技を再度観た。録画放送でもやはりビリビリ強烈に来るものがあって――それぞれの“仮面”をつけて人生の“マスカレイド”を行き交う人々の姿が見えた。それにしても、約二週間経って、再放送を観るのにもものすごく緊張して身構えてしまったというのは、一回目に観たときのあまりの衝撃を心と身体が覚えていたからなのだろうと思う。

 これからのシーズンが非常に楽しみになる盛り上がりを見せた『ドリーム・オン・アイス2021』。今、改めて思う。氷上に在るスケーター一人一人がまさに”Dreams On Ice”なのだと。それぞれが、他の誰でもない、自分自身の夢を生きる姿を、これからも氷上で観られることを確信して。
2021-07-24 23:59 この記事だけ表示
 郷ひろみ「2億4千万の瞳−エキゾチック・ジャパン−」。エネルギッシュなパフォーマンス。郷ひろみは、永遠に郷ひろみだから! そして後輩思い。music concertoもノリノリの演奏。
 福田こうへい「東京五輪音頭」。途中で三波春夫の歌唱の映像も流れて。今聴くと、本当にいろいろなことを考えさせられる曲である。
 五木ひろし「夜空」。大きな意味での愛に満ちたラブ・ソング。想いはしかと受け止めた。私は、自分にできることをします。歌手・五木ひろしは歌っていって! 今宵の夜空には、雲に霞んだ月が浮かんで。
 純烈「NEW(入浴)YORK」。白川裕二郎とロック、合う。
 郷ひろみ「100GO!回の確信犯」。過去曲のサンプリングが楽しく。
 鈴木瑛美子「kIng」。力強さあり。
 五木ひろし「日本に生まれてよかった」。…私自身は、自分の心の中にある葛藤と素直に向き合った上で、しかと見届け、舞台評論家として、人間として、今後に活かしていく所存。人生の先輩、これからも共に闘ってください!
2021-07-20 23:49 この記事だけ表示
 「うたコン」観ます。
2021-07-20 18:44 この記事だけ表示
 深い孤独を知るが故の諦念。その諦念転じての愛。江戸幕府第十五代将軍徳川慶喜を演じた草g剛が堂々ねじ伏せた大政奉還表明シーン。
 先週放送の第二十二話に、1867年開催の第2回パリ万国博覧会が出てきましたが、思い出したことがあり、前に読んだ久島伸昭著『「万博」発明発見50の物語』で確認。「近代オリンピックでメダルの授与が始まったのは、このような万博の褒賞制度の影響からなのである。」との記述あり。近代オリンピックの創始者ピエール・ド・クーベルタン男爵は、渋沢栄一も訪れたこの第2回パリ万博の委員長を務めた社会学者フレデリック・ル・プレを「師」と仰いでいたそう。では、博覧会のメダル授与制度がいつから始まったかといえば、金メダル10個、銀メダル20個、銅メダル30個が授与された1801年の第2回フランス内国博覧会より。そして、この本によれば、そのときメダル授与を制度化したといわれているのが、先週放送分でお墓が出てきたかのナポレオン・ボナパルトなのでした。
2021-07-18 23:23 この記事だけ表示