織田信成も現役復帰するのかと思ったくらい、キレッキレの楽しい演技だった! 後半、「ヤングマン」のメロディに乗せて“YMCA”ポーズが繰り出されるあたりで、一緒に観ていた夫と爆笑。そして、ぐっときた。織田信成は優しく広い心でフィギュアスケートを愛している人である。その気持ちは解説や報道での語り口からも伝わってくるし、今年初めに彼が刊行した「『フィギュア』ほど泣けるスポーツはない!」を読んでもまた伝わってきたものなのだけれども、彼の滑りからも改めて感じ取ることができたから。この大会に参加して演技したこと、すなわち、今年のルール改正を自らの身をもって経験したこともまた、今後の彼の仕事に活かされてくるのだろうと思う。
 宇野昌磨は、先月の「ロンバルディア杯2018」を観ていて、気持ちの上で、…今年もまたそこから始めるのか〜と思ったのだけれども、今日の演技は前を向いて吹っ切れたものを感じた。自分と美や芸の間にいつも、誰か他の人を入れた枠組みを設定して思考する人というのは、日本演劇界にもいたりするのだけれども、本来、美や芸は、まず己一人で立ち向かうものではないかと私は思う。この世で宇野昌磨にしか滑れない、宇野昌磨のスケートの確立を!
 女子については、平昌オリンピックの総括もまだしていないところだけれども(フィギュアのシーズンと違い、あひるの一年はあくまで1月から12月である&『蝶々夫人』問題に未だ取り組み中)。坂本花織は、昨年の元気はつらつ娘から一転、しっとりしたプログラムに変えてきていて、女性としても一年分成長したであろう彼女の新たな一面が観られそうで好印象。「届け〜」「伝われ〜」の内実、その内容が観る側にしっかり伝わってくるとさらに良し。「化粧も芸のうち」の宝塚歌劇の評論をしている人間として、昨シーズンから彼女について気になっているのがアイメイク。ザギトワもメドベージェワもメイクが実に巧いのである(メドベージェワは毎日アイラインを引いて練習に行くという記事を読んだ)。演技でも化粧でも、坂本花織のかわいらしさが一段と引き出されてくることを期待。
 宮原知子は演技上の細やかな心配りが今日も美しい。前に、北欧から来たミュージシャンの奏でるタンゴを聞いていて、暑い国の人間と寒い国の人間とで“熱さ”の表現は異なってくることのだと感じたことがある。氷上で演じられるフィギュアスケートに可能なタンゴの熱の表現に興味津々。
 「近畿選手権2018」も楽しみ!
2018-10-06 22:36 この記事だけ表示