この日の坂本花織の演技を観ていて、…映画『ピアノ・レッスン』の中で一番印象的だった、画面を占めるどこか寒々とした、荒涼たる景色が、記憶の奥底からふわあっと引き出されてきて。四半世紀も前に一度観ただけの映画だから、正直あまりよく覚えていないように思っていたのだけれども、記憶とは実に不思議なものだな…と感じた次第。
 宮原知子は少々緊張感が先行していたかなと…。彼女の几帳面で真面目な性格は美点なのだけれども、そこが前面に押し出されてしまうと、「一生懸命やっています!」というところが観る側に伝わってしまうきらいがあり。ジャンプの修正がとてもうまく行っているようなので、そこが自信になってくれば、緊張感と余裕とが両立できるようになって、この日ただよわせていた清純な色気――「色気は譲歩能力」とは橋本治の名言なり――もさらに増してくるような。
2018-10-22 23:40 この記事だけ表示