宝塚歌劇団、舞浜アンフィシアターにて初公演! それが花組『Delight Holiday』(11月30日15時の部)。舞浜。東京ディズニーランドの地。イクスピアリを奥へ奥へと進んでいくと、そこが舞浜アンフィシアター。一帯はすっかりクリスマス・ムード、…年内に日帰り出張二回(ということは当然その分の原稿)&その他いろいろを控え、内心ちょっとテンパってきたあひるもほっこり。そして、非常に楽しいステージ! 明日海りお率いる花組生がハイテンションで一気に駆け抜ける休憩なし110分。平成の30年をそれぞれの年のヒット曲で振り返るコーナーあり、明日海の過去主演作からのナンバーでつづるコーナーあり、ディズニー・ナンバーあり、クリスマス・ソングありと、実に盛りだくさん。映像使いも楽しく、廻るセリや巨大なミラーボールといった劇場機構もフルに活かした稲葉大地の演出◎。
 明日海はここへ来て男役ぶりがさらに上がり、歌にもひときわ力強さが感じられて。そして、相手役の仙名彩世。…正直、「なんで来年四月で退団しちゃうの〜」と思っていた。でも。解き放たれたように『Let It Go〜ありのままで〜』を歌うその姿に、…よくわかった! 張り切って旅立って行け〜〜〜!!! という気持ちに。彼女が歌う、安室奈美恵の「Hero」も心に沁み…。ダルマ衣装の上に半纏を羽織り、おかんぶりを発揮するコント? 場面では、それははっちゃけた新たな一面も見られて。そして、明日海とのデュエット・ダンスでは、まるで粉雪のようにふわふわくるくる舞っていた! さすが、“ゆき”(彼女の愛称)。エネルギッシュなステージにもらったパワーで、あひるも明日の出張、頑張ってきます!
2018-11-30 20:56 この記事だけ表示
 11月29日18時半の部、シアターコクーン。
 町の不正を暴くため、一人、立ち上がる主人公の医師(堤真一)。――その姿に、人間にとってもっとも大切な真実と自由を追求する上で、芸術家が社会において果たすべき役割とは何なのか、劇作家ヘンリック・イプセンは大きなものを託している――イプセン自身がいかなる気持ちで自らの内よりその言葉を生み出したのか、主人公の背後に劇作家の姿が見えてくるような思いすらする。のだが。誰彼構わず敵に回すやり方に、次第に、「…その戦い方ではさすがに通らんばい…」とつい何となく博多弁でつぶやいてしまうような違和感を覚える、その際、終幕に至るまで主人公の味方であり続けながらも、その荒ぶる言動をじっと黙って聞いている、そんなホルステル船長役の木場勝己の佇まいに、…この人は実のところ、どう考えているんだろう…と見入ってしまうものがあり。弟である主人公と対峙することとなる市長役の段田安則は、序盤の堤とのやりとりにおいて、今年観劇した芝居の中でももっとも緊迫感に満ちた演技を見せ、助演賞もの。利権構造や報道のあり方、世論の出来上がり方など、百年以上前に書かれたとは思えないほど、現代に生きる我々に突きつけるものの多い作品。
2018-11-29 23:11 この記事だけ表示
 本田真凛。一緒に踊りたくなるような楽しいプログラム! 自然な笑顔もかわいくて、この人の演技をもっと観たい、もっと本領発揮する姿を観たいなと思った。
 田中刑事。いつもどこか肩を落としているようなところがあったのだけれども、その長身の身体にふさわしい堂々とした雰囲気が出てきて。音楽の表現にも非常に引き込まれるものがあった。あひるの中では最近毎回自己ベスト更新。
 三原舞依。ふわあっと舞い上がる彼女のジャンプが大好きである。彼女の演技を観ていると、生かされていることへの感謝、その大切さを忘れたくない…と強く思う。魔法にかかったシンデレラ。でも、内なる大輪の花を開花させたのは、魔法じゃなくて、彼女自身!
 紀平梨花。自然現象になってしまったフリーから一転、16歳にして、少し妖艶さもただよう、かっこいい大人の女性を熱演。観ていて背筋がぞわぞわ。氷上の女優スイッチが、最近いきなり入ってしまった…!
 エフゲニア・メドベージェワは…、それが青春だから!
2018-11-29 00:06 この記事だけ表示
 ――狂おしい夢を見た、と陰陽師は語り出す。彼と妖狐との、千年にもわたる宿世を。二人は転生し、出逢いを繰り返す。――あるときは、安部泰成と玉藻前として――安部泰成の祖先、安倍晴明の母は、“葛の葉伝説”の伝えるところによると、狐である。――あるときは、吉備真備と妲己として。――栗林義長としての生では、めぐり逢えぬ運命。――そして今生では、陰陽師・幸徳井友景と、再び玉藻前として。その宿世は、彼にも流れる魔性の血ゆえか――。姫山の白鷺城。今生で因果を終わらせるため、玉藻前の亡骸の前で友景は自刃する。そこへ葛の葉が、姫山のかつての主・富姫として現れ、祈りを捧げて――。
 稲荷神社の祭礼の夜。狐面をかけて踊るうちに、出逢う二人。宿世から逃れた二人。
 ――あの愛を、結界から持ち出すべきではなかったのか。西の塚に埋もれし宝を持ち出すべきでは――? ――真の愛語られる場所こそ美の殿堂なり――。けれども。私は確かに声を聞いた。「…今生で、今ひとたび、めぐり逢う…」との――。そして私は知っている。その転生にはしばらくかかる。だから、待っている。今はこの世にいない人、かつては愛と優しさに満ちていた人、その人がこの世に再び生まれ出づる日を。だから今は、「ダスビダーニャ」――また心通う日まで、さよなら。

注)「ダスビダーニャ」については、<愛いっとき、そして「ダスビダーニャ」〜宝塚雪組「ロシアン・ブルー」http://daisy.stablo.jp/article/448444488.html>参照のこと。
2018-11-28 21:26 この記事だけ表示
 11月28日より来日公演が始まるマリインスキー・バレエの記者会見に本日出席。今回上演されるのは『ドン・キホーテ』、ガラ公演「マリインスキーのすべて」、『白鳥の湖』の三演目。「舞台はソリストだけでは成立しない。首、肩、脚の動き、同じ呼吸で一体となって動いているコール・ド・バレエの存在も大きい」と語るプリンシパルのエカテリーナ・コンダウーロワさん、「マリインスキー・スタイルの魅力は上半身の遣い方の素晴らしいところ」と語る入団2年目のセカンド・ソリスト永久(ながひさ)メイさん、二人のコメントが印象的。ガラ公演では、エフゲニー・プルシェンコの「ニジンスキーに捧ぐ」も手がけたユーリ・スメカロフ振付作品が登場、12月3日のガラ公演では彼自身も自作にダンサーとして出演の予定(曲は、今シーズン、エリザベータ・トゥクタミシェワがショートプログラムで使用している「アサシンズ・タンゴ」)。開演30分前に残席がある場合は全公演「U25チケット」(25歳以下は一律5000円)を発売するとのことです(詳細はジャパンアーツのホームページへ)。
2018-11-27 23:59 この記事だけ表示
 演技冒頭…、彼女の中にごおおっと渦巻く嵐が見えたときから、鳥肌が…! そして、演技を観終わってこうして書いている今も、身震いが止まらない。こんな16歳が、日本にいるんだ…。自然現象になってしまえる人が。異界に行ってしまえる人が。トリプルアクセルが決まっているとか決まっていないとか、そういう話ではない。というか、これでトリプルアクセルが跳べていたら、いったい何が見えるのか…。
 思わず、名作演劇漫画『ガラスの仮面』の名台詞をもじってつぶやいていた。
「梨花…おそろしい子!」
(注:大女優・月影千草が、主人公・北島マヤの演技の才能にうたれて発する台詞)
 次回の演技が楽しみ、というか、ちょっとおそろしいです。観ているあひるがこんなにおそろしいんだから、一緒に演技する人はよほど自分をちゃんと持っていないと、もっとおそろしいだろうな…。
2018-11-27 23:44 この記事だけ表示
 …途中から、涙がじわじわあふれてきて…。一つ一つの動きに引き込まれていって、…まばゆい希望の光が見えた。そして、三原舞依の中の花がぱあっと開く瞬間を、私は目撃したのだった! …なんて美しい瞬間。心が大輪の花を咲かせる瞬間!
2018-11-27 23:39 この記事だけ表示
 田中刑事。確かに最後、音楽とちょっとズレちゃったりはしていた。でも、これまで競技で観てきた中で、彼が表現したいものが一番伝わってきて、観ていて楽しかった。あとは心技体の一致〜!
 本田真凛。まだ粗削りだけれども、とりわけ前半、ところどころにとても優雅で美しい芽が見えていて。ショートプログラムのとき、彼女について書いた言葉に関しては補足が必要だと思われるので、また後日、別項で。
 ようし、ネイサン・チェンは少し美に目覚めたぞ〜!
2018-11-27 23:37 この記事だけ表示
 11月1日より、東急文化村とフランチャイズ契約を締結したKバレエカンパニー。その契約締結記念として本日開催された、熊川哲也芸術監督による記者懇談会に参加してきました。縛り等は一切なく、記者から寄せられる質問に芸術監督が答え続ける、超充実の一時間。そのシャープな芸術論に、幾度も心しびれる瞬間が…! 何なら一日中、いや、永遠に聞いていたい! と思いましたが、その続きはまた作品を通じてということで。聞いていて、…昔、隣のシアターコクーンの蜷川幸雄芸術監督が、熊川芸術監督のキャラクターを投影して演出した役のうちの一つを思い出し。本日、内容のすべてはご紹介できませんが、取り急ぎ、12月6日からオーチャードホールで上演される『くるみ割り人形』では、これまで全部は実現していなかったヨナンダ・ソラベンドの舞台美術の当初のデザインを一部復刻、その芸術性をよりはっきりと表すプロダクションになるとのこと。来年9月上演予定の『マダム・バタフライ』の話もいろいろおうかがいできて、ますます楽しみに。
2018-11-26 23:22 この記事だけ表示
 あひるはデパートの上階フロアでやっている物産展が好きである。事前に情報をチェックした上で赴くこともあれば、偶然の出会いを楽しみにすることもある。今年、二月&三月のこと。たまたま立ち寄った吉祥寺、そして新宿のデパートの物産展に、「道頓堀今井」が出店しているではないですか。今井。大阪道頓堀、グリコの大看板から徒歩数分、大阪松竹座&近松門左衛門ゆかりの竹本座跡と同じ通りに本店がある今井。戦前は楽器店だった今井。うどん&そばの名店。
 今井。四月には行くけどね! 正しくは、大阪松竹座に行って、そのとき絶対寄るけどね! …あひるはうきうきしていた。なぜなら。四月の松竹座、スーパー歌舞伎U『ワンピース』に、四代目市川猿之助が出演することが発表されていたから。ここは一つ、前祝いと行こう。ということで、今井イートインコーナーのメニューの前でたたずむことしばし…。
 選べない〜!
 きつねうどんと、鴨うどんと、親子丼…。苦悩。今井といえば、甘く煮付けたおあげ(「まるき」)が入ったきつねうどんが名物…。でも、あひるは鴨も好き…。親子丼も気になる〜。…めちゃめちゃ迷った挙句、親子丼に小きつねうどんがついたセットを選択(三月には鴨うどんにしたことは言うまでもなく)。
 あひるがそのときうきうき今井のメニューで悩んでいられたのも。怪我からの復活の舞台となった一月の「壽初春大歌舞伎」『菅原伝授手習鑑 寺子屋の段』(歌舞伎座)で、涎くり与太郎役を演じる四代目の、元気な悪ガキぶりを堪能していたからである。…昨年11月の事故のとき、身体に負った傷はもちろんのこと、心配だったのは、…立つべき場所に立てない、そのことによって、心に傷を負うようなことはないだろうか…ということだった。大丈夫だった。前と変わらず、かわゆかった。それでひとまず安心。
 …と思って、そのときは今井のうどんを満喫していたのだけれども。四月公演の初日が近づくにつれ、次第に不安に…。完治、してないよね…。ルフィってけっこう運動量が多い役なんじゃあ…。でも、初日の幕は無事開いたみたい。安心。…ということで、初日から一週間ほど経った日のこと、大阪へ。まずは道頓堀今井本店にて腹ごしらえ。…ああ、本店はメニューが多すぎて選べない〜。激しい逡巡の挙句、鴨かちんうどん(お餅入り)に「まるき」をトッピング、そしてデザートに夏みかんゼリーを堪能していると、…あら、今晩、松竹座に出前するみたい。
 そして遂に劇場へ。
 ルフィめちゃめちゃ動いてる〜〜〜!
 …平昌オリンピックのフリースケーティングの後、羽生結弦に「無理禁物!」と書いた人間としては、ここでもやっぱり「無理禁物!」って書くべきでは? でも、「無理じゃないんです! 舞台に立つことがリハビリなんです!」と言われそうな…(その数日後に出演していたテレビ番組で実際そう発言)。その上、ルフィはゴム人間、だから開放骨折しても痛くないんだ! なんてアドリブさえ…。痛くないわけないだろ〜! と、なぜか外野が骨折した当の本人に向かって言いたくなる始末。…この地上にこの人を止められる人は誰もいまい、とあひるは思った。そして近づく“ファーファータイム”。ゆずの主題歌「TETOTE」にのって、ルフィが宙乗りし、観客がスーパータンバリンを打ち鳴らし、舞台と客席とが一つになって大盛り上がりする、あの場面――。
 …実は。昨年秋の東京公演の際、あひるはスーパータンバリンを買わなかった。評論家だし…。ためらう気持ちがあった。手拍子していた。でも、松竹座公演のときには、気持ちは変わっていた。一緒になって盛り上がり、その思いを味わった上で、冷静になって書き記せばいいのでは? そして、松竹座のときは、イエローに加え、限定カラーのピンクとブルーが発売されていた。ピンクなら、着ている服とのコーディネートもバッチリ。ということで、入手。買ってわかったことが一つ。過去に宝塚月組公演で販売されたタンバリンは、胴についたシンバルが金属製だったのに比べ、スーパータンバリンはプラスティックだから、音が耳に優しい。そして迎えた“ファーファータイム”。
 ――宙乗りする四代目ルフィの姿に、嗚咽。怪我をした方の腕でサーフボードを何度もつかみ、「大丈夫です!!!」と激しくアピールするルフィに、嗚咽。ピンクのタンパリンを鳴らしながら、嗚咽。結局、“ファーファータイム”中、ずっと嗚咽! …いやあ、人間って、こんなに長く嗚咽し続けられるものなんだと、自分で自分にびっくり。嗚咽最長記録。そうさ、それくらい心配だったさ! 私がはらはら気を揉んだってどうなるもんでもないからと、今井のうどんで前向きな気持ちになろうとしていたけれども。
 それにしても。四代目市川猿之助は、少年のあどけなさを、なんてまばゆく、…ほとんど、神々しいまでに、体現できる人なんだろう――。
 舞台を観ていて、…ああ、事故のとき、この人は死の淵まで行ったんだな…と感じた。死を見た人なのだ、と。だから、冒険物語の生と死の描写が、一段と深まっていた。――あと数センチ、ズレていたら、首が切断されていたかもしれなかったという話を知ったのは、その数日後のテレビ出演のときである。腕もちぎれていたかもしれなかった。そうしたら、出家しようと思っていたと。でも、そうはならなかったから、それは、役者を続けよということだと思ったと。そして、私が、…心の傷は大丈夫だろうか…と心配していたそのとき、彼は、周囲の人が、…事故は、自分のせいではないだろうか…と心に傷を負うことを心配していたのだった。優しい人。
 …嗚咽しすぎてお腹が減ったらしく、開演前にあんなに食べたにもかかわらず、休憩中に劇場の外に出て買ったかに道楽のかに寿司も、夜にはすっかり平らげてしまったあひるであった。そして、四代目の松竹座出演に合わせ、今年はさらに二回、今井でうどんを食べることができたのであった。うどんだけに、その話、長い。
 同じ時代を生きていることに、感謝。お誕生日おめでとう!
2018-11-26 00:01 この記事だけ表示