高橋大輔は、空気になる。私を取り巻くその空気に、次第に浸食されていく…。
 …劇場で舞台を観ていて、舞台上の演者が空間を歪ませるのは何度か体感したことがある(すべて同一人物による)。しかし。全日本選手権大会会場とあひるの自宅、空間の離れた状態で、テレビのブラウン管(うちはまだブラウン管です)を通してこちらにまでやって来るほど空間を歪ませた人は、貴方が初めてです。そうしてやってきた上で、心に伝えてくるのではなく、耳元でささやく、言葉。
 そんなことができる人がこの世にいるんだ…と、茫然。隣で観ていた夫も絶句。
 引退してからこのかた、貴方が日本舞台芸術界をウロウロ(ごめん、そういう風にしか見えなかった!)しているのはわかってました。熊川哲也芸術監督にインタビューしてあっさり返されているのも見ています(芸術監督は、あれほど弁が立つのに、言葉のない世界での美を追求する、そういう人なんです)。…わかっていてなぜ、頑なに関わっていこうとしなかったか。それは、今振り返ってみれば、そんな貴方に何とはなしに歯がゆさを感じていたから、でしょうね。
「ちょうどそのころ、男子フィギュアスケートの高橋大輔選手がバンクーバーオリンピックで銅メダルを獲得したけれども、そのフリーでのプログラムで表現された世界と同じである。映画『道』の楽曲にのって舞われたあのプログラムは、高橋自身が、これまで生を尽くして賭けてきたフィギュアスケーターとしての“道”を描き出していた。何度も何度も困難に出会い、くじけそうになり、それでも決してフィギュアスケートという表現手段から逃げなかったこと。彼自身の人生が氷上にそのまま描き出されたあの舞は、“芸術”だった」
 2010年6月に書いた文章(http://daisy.stablo.jp/article/448444534.html)。貴方は今また、その“道”を追体験している。そうして、愛を、魂を、自分を取り戻した。
 ――そして、今度はどこに行くのか。
 願わくば、共に歩く道であることを!
2018-12-22 23:17 この記事だけ表示
 凝縮され切った刹那。…ああ、涙を浮かべて見守っていたとも!
 これまで観てきた中で一番の、会心の演技。集中力! それです、その境地。最後の方で、わかったはず。今日、貴方は一歩、大きな階段を昇りました。
 ただし。無理禁物!
2018-12-22 23:16 この記事だけ表示
 29人全員観ましたが、男子もなかなかの個性派揃い〜。その中でとりわけ印象に残った選手の演技について。

 社会人スケーター、山田耕新。第一グループ一番滑走で大いに盛り上げる。楽しそう! そんな姿を観ているのが楽しい! いろいろなことを飲み込んだ、大人の男の余裕。

 島田高志郎。少女漫画で、…この等身バランス、よすぎて、さすがに現実離れしてないですか…と言いたくなる絵がたまにありますが、それを現実化したスタイルのよさ。…降りて来ないんじゃ…と思うくらい高いジャンプ。この先、音になっていけそうな表現力。拍手。

 壷井達也。曲は「Your Song」。16歳とは思えないような老練な演技がしみじみ心に伝わり、涙がにじみ。

 笹原景一郎。フィギュアスケートをやっていてよかった! とのあふれん喜びと、その楽しかった世界を去るにあたってのさみしさと。愛おしい世界を抱きしめるような演技が心を打つ。

 日野龍樹。みなぎる気迫。せつなさと闘志。一緒にまだまだ一花咲かせましょう!

 中野耀司。音楽を表現しようとするものすごい気迫が伝わって。髪型はいささか重い感じ。

 三宅星南。レーサーになりきって、男の子の世界を楽しく伝える。もっと観てみたい人。まだ上に行けます!

 鍵山優真。観ていて小気味のいいスケート! 15歳と思えないほど練れた表現。

 佐藤洸彬。キレがあって豪快。彼の目指す“舘ひろし”が表現されているかどうかはよくわからなかったけれども、先の「NHK杯」より男の色気は格段に増していた。

 田中刑事。魂の咆哮。激しい熱情。しなやかなスピン、その際、上げた手の表現がアンニュイ。

 友野一希。彼の創り出す世界にたゆたうひととき。

 山隈太一朗は実に個性派!

 山本草太。端正で雄大な演技。表情が若返った!

 明日夜は所用により、更新は後日の予定。
2018-12-22 23:15 この記事だけ表示