今年のテーマは、“追体験、鬼と傷”。裏テーマは“魔物”。

☆フィギュアスケーター羽生結弦の演技
 「平昌オリンピック」、「オータムクラシック2018」ショートプログラム、「ロシア杯」ショートプログラム。とりわけ、「平昌オリンピック」のフリースケーティングと、美を追求する上で他の選手に多大な影響を与えた「ロシア杯」ショートプログラム。

☆熊川哲也率いるKバレエカンパニーの舞台
 『死霊の恋』『白鳥の湖』『ロミオとジュリエット』『ドン・キホーテ』『くるみ割り人形』。とりわけ『ロミオとジュリエット』。

☆Kバレエカンパニー『死霊の恋』『白鳥の湖』『ロミオとジュリエット』主演の浅川紫織
 とりわけ『ロミオとジュリエット』。
 なお、『ロミオとジュリエット』in Cinemaは、2019年1月5日より全国39劇場にて上映。初日舞台挨拶には浅川紫織&宮尾俊太郎が登場の予定。

☆『白い病気』、コクーン歌舞伎『切られの与三』演出・美術の串田和美(『白い病気』では潤色、出演も)
 演出・美術を手がけ、出演した『兵士の物語2018』(イーゴリー・ストラヴィンスキーの音楽のもと、語りと舞踊とバレエが融合した寓話劇)も、驚きを与える演出手法を交え、現代人にとって大いに示唆に富むものとなっていた。

☆『リトル・ナイト・ミュージック』『ピアフ』主演の大竹しのぶ

☆『贋作・桜の森の満開の下』作・演出・出演の野田秀樹

☆『華氏451度』『No.9 −不滅の旋律−』演出の白井晃
 芸術監督を務めるKAAT神奈川芸術劇場が、今、非常におもしろい!

☆『マリー・アントワネット』主演の花總まり

☆『セールスマンの死』演出の長塚圭史
 『華氏451度』では上演台本も担当。

他に
・四代目市川猿之助の一連の舞台
 誕生日(11月26日)に心機一転が見られたので、今後に期待大!
・ジェローム・ベル『Gala−ガラ』
・『父と暮せば』『マンザナ、わが町』演出の鵜山仁
 『マンザナ、わが町』は、2015年の上演時には気づかなかったのだけれども、劇作家による、自分の戯曲を形にして上演してくれるスタッフ・キャストへの感謝がこめられた作品だった。その感謝を、今回、演出家がストレートに受け取って上演した感あり。
・『君の輝く夜に』『No.9 −不滅の旋律−』の稲垣吾郎
 「新しい地図」の草g剛と香取慎吾については、『バリーターク』と『日本の歴史』のチケットが入手できず観られなかった。音楽劇『道』については、必ずしも草g剛で観たい役柄かと言われると…なのだけれども、彼の激しい魂に久々ふれられたことを幸せに思う。
・ゴールド・アーツ・クラブ『病は気から』、『命売ります』脚本・演出のノゾエ征爾(『命売ります』は出演も)
・ウースターグループ『タウンホール事件』
・『生きる』演出の宮本亜門

 2018年のインスピレーション大賞は、串田和美演出・美術『切られの与三』と、「平昌オリンピック」フリースケーティング&「ロシア杯」ショートプログラムの羽生結弦に。
 『切られの与三』。私は今、いまだかつてなく、自分自身の来し方行く末を肯定している。
 「平昌オリンピック」フリースケーティング。その演技を通じて、世界に行った。そして、「ロシア杯」ショートプログラムを経て、自分の人生が、これまで想像もしなかった展開を見せているのを感じ、わくわくする。

 さて。
 「羽生結弦はスケート界の人で、舞台芸術界の人じゃないよ!」という声もあることでしょう。そこで、私はここに宣言します。
 日本舞台芸術界と、日本フィギュアスケート界は、地続きです。
 「そんなの、今までだって地続きだったよ!」という方もいることでしょう。「フィギュアスケートはスポーツなんだから、地続きなんかじゃなくていいよ!」という方もいることでしょう。それでいい。いろいろな意見があるのが、世界。ただ、私は、「地続きです」と言う。それで幸せになる人がいれば、それでいい。もちろん、「今日はどうしても勝ちたいので表現よりそちらを優先します」という日があってもいい。ただ、荒れると芸も荒れます。自戒を込めて。
 考えてみれば。なぜ、6年前、蜷川幸雄に、『トロイアの女たち』を通じて盛大に怒られたのか。それは、日本舞台芸術界と宝塚歌劇が、何だかあんまりいい感じに地続きじゃないように私には思えて、荒れていたから。「ちゃんと地続きってことにしてよ!」と言って、当時の日本舞台芸術界の“王”が「わかった! それは俺が認める。でも、誰がトップになるとか、一番だとか、それで起きる不毛な争いは持ち込むな。多くの命が犠牲になったトロイア戦争も、その発端はといえば美女選びなんだぞ!」と怒ったという、そういう顛末。だから、和合。それが“王”の希求。
 “王”が亡くなってからしばらくして、…私はまた、あの地続きの話を、次の“王”としなくてはいけないのか…と、ちょっと暗澹たる思いになった――ただ、今はまだ、“王”はいないけれども。でも、しない。宝塚歌劇とちゃんと地続きで、フィギュアスケート界とも地続きで、そう思っている人もいる日本舞台芸術界として、次の“王”は、その王位に就かなくてはならない。

 最後に。
 先王から一つ、伝言を預かっています。
 ぶっきらぼうな渡され方だったのだけれども、「時が来たら、君から公表してくれ」ということだろうと解釈。そして今年、公表へ向けて一歩前進したなと思うことがありました。
 和合の旗印のもと、ますます前進! 少しでもそのお役に立てるならば、舞台評論家冥利に尽きるというもの。
 知り合えた、心を交わした、すべての皆様に、心から感謝。私は今、これまでになく幸せな気持ちでこの文章をしたためています。
 それでは皆様、よいお年を!
2018-12-31 16:08 この記事だけ表示