ちょっと時間が経ってしまいましたが、やっと落ち着いて観られました。

 川畑和愛。演技に流れがあり、音楽の高まりと共に、観ているこちらも気持ちが高まって。

 壺井達也。雄大な世界が広がってゆく演技。美しいスピンが、釣り竿のリールを思わせる。その回転に、心ががーっと巻き込まれ、巻き取られてゆくような。

 島田高志郎。曲は「ADIOS」。「あばよ!」的な、シャープな腕の動き。

 横井ゆは菜。すべてを捧げて、しっとり、大きな世界を表現しようとする意志を感じさせて。

 友野一希。この日はちゃんと演技を楽しんで滑っているのが感じられて、安心した。

 三原舞依。
 大人の女性同士、強く、たくましく、2019年も共に頑張っていきましょう!

 宮原知子。曲は「キュリオス」。『キュリオス』のマジカルに楽しい舞台が眼前に浮かぶような、コケティッシュで楽しい演技。
 アンコールは「小雀に捧げる歌」。――誓い。昇華された気持ちは、美!

 田中刑事。「ジョジョの奇妙な冒険」。彼の演技に、“ジョジョ立ち”を学ぶあひる。リーゼントもばっちり決まり、長い手が氷上に映える。ノリノリの演技が、水を得た魚のよう。
 アンコールは「ウィリアム・テル序曲」。ステップで見せる浮遊感に、高揚。――年末年始、考えていたのだけれども、スイスを独立に導いた伝説の英雄を描いたロッシーニのこの曲は、今の彼にぴったりではないかと。己が為すべきことを知った人間は、内なる光で美しく照らされる。今の田中刑事は、その覚醒の光で輝いている。

 紀平梨花。
 私は、彼女の美しいスケートが、大好きである。
 アンコールの「A Beautiful Storm」は、世界を清めんと舞う巫女を思わせて。

 高橋大輔。
 …彼がどうして、気配になったり、空気になったり、空間を歪ませたりするのか、この日の演技でちょっとわかりかけてきたような。
 世界の誰でもない、自分自身と、自分のスケートを強く信じて!
 アンコールの「マンボ」は大変楽しく。

 坂本花織。演技を観るたび、氷上の彼女はますます大きく見えるようになってゆく。風格。音楽と共に弾む、その心。アンコールは「ピアノ・レッスン」。――私の目に映っているのは、海辺の孤独な少女なのか、その少女が見ている鳥なのか、それとも、その少女の心の風景なのか――。そう思ったら、やっぱりまた泣いていた。

 それにしても、「全日本選手権2018」、楽しかったな…。日本全国から集ったフィギュアスケーターたちが、どんな思いでリンクに立っているのか、一人一人の、その熱い心にふれられて。12月17日の時点で年内締切原稿が7本あって、あひるピンチ! と内心かなりあせっていたのだけれども、何とか大晦日まで突っ走ることができ。2019年もどんな演技に出逢えるのか、楽しみ!
2019-01-14 23:25 この記事だけ表示
 年末の疲れを引きずったまま突入した2019年、その正月ボケを吹っ飛ばすような、月組新トップ娘役・美園さくらの演技なのだった。
「あんた、いいとこあるじゃない!」
 出会い頭にいきなり、そう肩を叩かれたような。面食らって、肩を叩き返すのを忘れてしまうような(笑)。
 ヒロインを務めた昨年の『雨に唄えば』でも、舞台上、ぱあっとはじけるような勢いをもった娘役だなと。そして。トップ娘役の立場で臨む舞台では、はじけ方さらに半端なし。いい意味で、客席への攻撃力、破壊力満点である。よけいな自意識の一切がないから、観ていて清々しい。そして実にセクシーである。突き抜けている。おもしろすぎる――表情は、もっとやわらかくしたら、もっと魅力的だと思うけれども。プレお披露目公演からこう来たか! うれしくなって、フライングで拍手を入れる始末。蒼乃夕妃、愛希れいか、そして美園さくら。トップ娘役の地平がどんどん拓かれてゆく月組なのだった。
 そんな全力投球の美園を真正面からどんと受け止めて、トップスター就任3年目、珠城りょうの包容力もいや増すというもの。その歌唱に、背中に、ときに哀愁すら感じさせて。フィナーレで男役陣を率いる姿にも貫録あり。
 レナード・バーンスタイン作曲による、1944年初演のブロードウェイ・ミュージカルである。ニューヨークでつかの間の休暇を楽しむ三人の水兵たちの、つかの間の恋。その恋のお相手の一人を演じて、白雪さち花が大活躍である。『瑠璃色の刻』(2017)ではフランス王妃マリー・アントワネット役として堂々たる演技と歌唱を披露して場をさらい、昨年の『エリザベート』では娼館の主、マダム・ヴォルフ役。「♪タチアナはダイナマイト〜」と歌うお勧めソングに、…一番ダイナマイトなのはマダム・ヴォルフ自身なんじゃ…と思わせる、パンチの効いた歌声。そして今回、気に入った水兵をお持ち帰りしてしまう女タクシー運転手ヒルディ役。バックの映像ともマッチしためちゃくちゃな運転っぷり! 演技でここまで崩しても、その舞台姿が決して崩れないのは、白雪の娘役芸が強固だからである。
 月組に、輝月ゆうまみたいに重厚でダンディな男役がまた一人…と正月ボケの頭で観ていたら、はたしてそれは、これまでとはまた違った声色と個性を開拓した輝月ゆうまなのだった。婚約者の奔放っぷりにとことん物分かりのよさを発揮して見せるとぼけたおかしみ。珠城&美園、新トップコンビのデュエットダンスでは、二人への熱いエールにあふれたカゲソロを披露。大丈夫、月組の未来は明るい!
2019-01-14 23:20 この記事だけ表示