先週、オリムピック予選競技会が開かれた運動場から空港へと移り変わった羽田の<地霊>について記しましたが、今回の放送で、運動場から飛行機飛ぶ空港へ、明治から昭和へと羽田を媒介にして時代が飛んでいて、おおと。
 辛亥革命勃発にあたり、生活費の面倒は俺がみる! と、清国からの留学生に宣言する嘉納治五郎(役所広司)。大きく、温かな父を感じた――のですが。そのとき背負った莫大な借金を一生返せなかった…と聞くと、いろいろな意味でスケール大きいなあと。
 そして。オリムピックに行く肝心の選手が決まらない。金栗四三(中村勘九郎)も最初は固辞――今だったら、考えられない話ですな。熱い治五郎に対し、ボケ倒す四三。そのやりとりが抱腹絶倒。しかも、やっと行くことを決意した四三を、予算のなさゆえ、自費で行った方が気楽でいいと言いくるめる治五郎。そりゃないぜ先生〜。せっかくさっきはその熱さに感動したのに(笑)。真面目な四三が実家に無心の手紙を送ってしまって、来週また大騒動の予感〜。
 マラソンに燃える四三と、噺家への道に燃える美濃部孝蔵(森山未來)、二人がすれ違う日本橋。あそこを通るといつも、…この高速道路は何とかならないものか…と。中央柱も親柱も水面に美しく映えん。
 昨日は時間的に無理でしたが、連休最後の日に観るのもいいな、と。勤め人の常として、休みの最後は「……」となる夫も、痛快に走って行く『いだてん』を観ると、明日からも頑張ろう! と思えるそうな。
2019-02-11 22:08 この記事だけ表示
 諸事情により予定を変更してお送りいたします。
 放映順。

 友野一希。曲は『リバーダンス』。
 …今夜、ミュージカル『キューティー・ブロンド』のゲネプロを観にシアタークリエに行っていた(その開始時間が押しましたばい)。劇中、『リバーダンス』のパロディのダンスを、樹里咲穂が中心となって踊る場面があった――パロディが成立するほど、有名ということである。おかしかった。涙が出るほど笑った。――そのとき、友野一希のことも、考えていた。
 …最近、スケートを楽しめているのかなと、フリーの演技を観てもそのことがとても気になる。私は、友野一希が氷上に描き出す世界が好きである。それは、彼にしか可能とはならない世界である。あせらず、待っている。スピンは美しさが増したと思う。

 田中刑事。
 4回転サルコーがきれいに決まった! ふわっと腕を動かすときの浮遊感も爽快。スケートを心から楽しんでいるから、観ているこちらも楽しい。
 考えてみたら、ウィリアム・テルも、息子の頭の上においた林檎を矢で撃ち抜いたとき、まったく怖くなかったと言ったら嘘になるんじゃないかなと…。英雄だって、人間なのだからして。でも、「自分は、できる」と思って、その通り実行した。氷上での存在感が増した結果、何だかとてもゴージャスなスケーターなんだな…と思わせる田中刑事の姿に、そんなことをふと思った。

 宇野昌磨。演技に入る前の、目の異様な鋭さ。
 ――そして彼は、自分が生涯をかけてきたスケートに、一つの明確な答えを出した。その答えを、私はとても美しい、と思った――。
 私も、観ること、書くことが、生きることです。そして、言葉とフィギュアスケートを通じて、宇野昌磨という人と出逢えたことを、人生の幸せに思います。
 月光は、地上の風景、人々を、あまねく照らす。その月光を映す人の心が、静かだったり、激しく揺れ動いたり、変わるだけである。その様はまるで、たゆたう水面にも似て――。宇野昌磨が滑るベートーヴェンの『月光』に、私が聴いたヴィジョン。
 表彰台の一番高いところで『君が代』を歌っている、その世にも真剣な表情にも、惚れ直しました! 最近男前度めきめきアップ。そして。「無理せずに無理する」と言っている人に敢えて、何度でも。
 無理禁物!

 キーガン・メッシングは、楽しいときはもっと楽しいのだけど…。ジャンプのキレ優先だったのかしらん。

 明日じゃなくて今日は頑張って起きてエキシビション!&『いだてん』〜。『いだてん』観ない日曜は何だか歯を磨かないで寝るみたいで気持ち悪いのですが、今宵のあひる(&夫)は限界なり〜。
2019-02-11 01:14 この記事だけ表示
 放映順に。

 三原舞依。
 微笑みながら舞う彼女は、光に照らし出されたようで、それはキラキラしていた…。しなやかな強さ。
 最近になって、彼女が昨年、「ヘアドネーション」をしていたのを知った――小児がん等、病気で頭髪の悩みを抱える人たちが着けるウィッグのために、自分の毛髪を寄付する行為である――彼女自身、病気との闘いを知る人である。愛を発揮できる、優しい心の持ち主。
 ――私もときどき、愛を吸われるばっかりなんじゃあ…と、愕然として疲れ果てるときがある――世界がときに、吸血鬼のように愛を吸ってやまない場所に思えることもある。けれども。愛はいつか、必ず廻り回って自分のところに戻ってくる。それが、自分が思い望むような形で帰ってくるかはわからない。でも、戻ってくる。長年生きてきたからこそ、そう思う。
 そのためにも。Enjoy your life!

 紀平梨花。
 トリプルアクセルがぴしっと決まると、気持ちいい!
 昨年から、彼女のことを考えていて、こんな歌を思い出していた。

「People, you can never change the way they feel
 Better let them do just what they will, for they will
 If you let them steal your heart from you

 人がどう感じるか、変えることは決してできない
 やりたいようにやらせておくしかない、隙あらば
 心だって盗み出しかねないけれどもね」 George Michael “Kissing A Fool”

 一昨年のクリスマス、53歳の若さで亡くなったジョージ・マイケル。この曲を収めたアルバム『Faith』を発表したのは24歳のときで、有名人として長年、どんな心の葛藤を抱えていたのだろう…と思うと、今の方がこの曲に込められた思いがわかる気がする――。
 さて。人生、生きてみなきゃわかりません。ある程度は決められていて、でも、ある時点から先はその人の生き方によってどんどん変わっていく、運命とはそんなもののように私には思います。それから、自由とは、常に闘いによって勝ち取っていくものです。大変です。私も最近、人生の大先輩――30歳年上――に訊いたばかりです。「年を重ねると、どんどん自由になれるの?」と。そしたら先輩は肩を叩いて笑って言った。「もう怖いものがないんだよ!」――無論、すべての人が言えることではない。その人が自由であろうと闘い続けているから、自由。私自身が大切にしているのは、常に自分がしていることを好きでいること。好きがすり減ってきたように感じるときは、疲れているだけだから、休む。
 私だってわからないことばかりです。一緒に答えを見つけていきましょう。

 坂本花織。
 …ま、そういうときもあらあね。でも、自分を一番信じられるのは、自分自身だから。
 人生、生きてみなきゃわかりません――重ね重ねになるけれども。私には、初めから全部わかっている筋書きを、天が人間にやらせているようには到底思えないので。

 明日は夜に観劇が入ったので(先週自分で書いたスケジュール守れず〜)、男子は11日にゆっくり観ます! わくわく。
2019-02-10 01:29 この記事だけ表示
 1・2月の日比谷では、東京宝塚劇場で雪組が『ファントム』、そして隣の日生劇場で『ラブ・ネバー・ダイ』と、ガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』がベースとなったミュージカルが二つ上演されていた。昨年はケン・ヒル版が来日公演を行ない、今年秋には梅田芸術劇場他で『ファントム』の上演…と、まだまだ続く怪人ブーム。
 花の都、パリ。――光と影。明と暗。その交錯が、今回の雪組『ファントム』には鮮やかに描き出されている。農場育ちの少女クリスティーヌが、パリにやって来て、パリの歌を歌う――アメリカ人作曲家、モーリー・イェストンの手による曲は、宝塚で長年愛唱されているフランス生まれの曲と比べると、幾分ポップに感じられる。彼女はオペラ座で歌うことを夢見、劇場へと足を運ぶ。そこでは騒動が持ち上がっている。金の力で劇場の主に収まった夫妻が、長らく務めてきた支配人を解任してしまう。しかし、夫妻と、劇場に棲みついた怪人との間で諍いが起こり――。
 劇場に棲まう怪人。魔物。幻想――ファントム。それを取り上げて描く演目は当然のように、ある種“魔物祓い”の性格を帯びざるを得ない――例えば、作中、すべての演目で主役に収まり、物語を書き換えてまで自分が好きなように演じ、歌うと宣言するカルロッタ(その力の源泉は、財力である)という役どころが体現するのは、悪しき“主演”論である。
 今回、雪組生全員で果敢にこの演目に取り組んだ結果、大きな幻想が追い払われ、葬送された。それが何よりの成果だったと思う。MVPは無論、全身全霊を傾ける演技でタイトルロールを務めた――すなわち、自身で、対象となる幻想を見事演じきった――雪組トップスター望海風斗である。
 昨年一年、彼女に対していささかの物足りなさを感じていた。バレーボールの例えで言えば。雪組は組全体がきちっとしているから、レシーブ、トスまでは誰が上げてもいいつながりなのである。けれども。何だか、そうして上がった球を無難に返してくる印象が。
「そこで強打せんか〜!!!」
の、じれったさ。…じゃあ、そちらがエースアタッカー、やる? と、トップ娘役真彩希帆に目をやってみれば。…バレーボールをしていない。何かはよくわからないが、違う競技をしている。でも、…点が入るなら、それでいい〜…とばかりに、球はじゃんじゃん集まっているような。…これはありなんだろうか…と、娘役の在り方に厳しい組長梨花ますみに目を向けてみたが、OKのようである。おもしろい状況になっているなと、そう感じていた2018年。
 2019年。ファントムを演じる望海は、昨年とは打って変わって、もうびしばしの強打である。文句なしのエースアタッカー。待ってました〜! と、年始から強打を浴びるように受け、涙涙涙。7年前の上演の際、…この演目はキャリエール役者に負担が大きいな…と感じ、そのように書きもしたけれども、ここまで己のすべてを捧げる演技を見せるならば――“ファントム”が体現する、人の弱さや心の闇と向き合うならば――ファントム役者にも非常に心の負担が大きいことだろうと思う――それを言えば、カルロッタ役者にも非常に負担の大きな演目なのだけれども。
 それでいて、望海のファントムには、いい意味での軽やかさがある。オペラ『カルメン』のリハーサルにファントムが乱入し、場を混乱に陥れるシーン――その『カルメン』は、フランス人作家プロスペル・メリメの小説に、フランス人作曲家ジョルジュ・ビゼーが作曲した、スペインを舞台にした物語である――。このシーン、望海ファントムは軽快な踊りで笑いを誘う。その様は、怪人がいようがいまいが実際に劇場で起こり得るであろう、誰かの“いたずら”のようにも思われる、ちょっとしたハプニングを想起させずにはおかない。
 劇場は、光と影、明と暗が交錯する場所である。光あふれる舞台上と、闇に包まれた舞台袖、客席と。光を浴びる者と、浴びない者と。ファントムのレッスンによって脚光を浴びるようになったクリスティーヌと、依然闇に棲まうファントムと。
 ファントムが求め続けた、美しい声――母の声。クリスティーヌが聴かせるその声こそが、ファントムとキャリエール、断絶していた父子を結びつける絆となる――クリスティーヌの声に、ファントムは母を、キャリエールは妻を、聴く。結末は、悲劇かもしれない。けれども、真実が照らし出されたその結末には、救いがある。クリスティーヌ役の真彩希帆は、父子の絆となるにふさわしい、美しい声を聴かせる。望海ファントムとのデュエットに、心震え、心洗われる思い。キャリエール役の彩風咲奈も、一切のエロスを持ち込むことなくこの役を造形してみせた。ファントムを乗り越えた雪組に、明るい未来の光が差し込んでいる。
2019-02-10 01:06 この記事だけ表示
 印象に残った演技を放映順に。

 友野一希。たゆたうような、スピン時の手の動き。波のように、寄せては返す、想い。――追憶。少しあせりがあったようにも。落ち着いて〜(と言う自分も落ち着くようにします)。

 田中刑事。魂のステップ・シークエンス! 気持ちがめちゃめちゃ攻めているのが伝わってくる。ねっちり糸を引くような動きが、音楽とマッチ。リンク上でのどっしりとした存在感も自己ベスト更新。かっこいいぞ〜!

 宇野昌磨。決して万全の調子ではない中で、後半にかけてどんどん音と一つになっていく、その心意気に惚れました! きーんと後頭部を引っ張られているみたいな高揚感。
 ただし。無理禁物!

 ヴィンセント・ゾウのジャンプはすごかった。

 マライア・ベル。スピードに伸び伸びと乗って、拓かれていくような演技がよかった。

 紀平梨花。月の光の移ろいを思わせるような、滑らかな滑りが◎。

 坂本花織。すらっとした姿が、リンクにますます映えて。
 スピードがある。なのに、そのことだけをクローズアップさせて感じさせないのは、演技のすべてが、そのスピードも含め、一体として流れを創り出しているからだと思う。ジャンプもスピンも、その、流れるような様が美しくて、「ほわっ」とか「はうっ」といった、言葉にならない擬音を発していた。力の入れ方、抜き方が観ていて実に気持ちいい。

 三原舞依。
 Enjoy!
2019-02-08 23:59 この記事だけ表示
 SPICEに『良い子はみんなご褒美がもらえる』演出ウィル・タケットさん×プロデューサー福島成人さん対談記事が掲載されています。

https://spice.eplus.jp/articles/224842

 『Le Père 父』稽古場レポートが、名古屋「ウインクあいち」公演PRちらしに掲載されています。本日、舞台を観劇、そのレポートは後日MEGのHPに掲載されます。
2019-02-08 23:59 この記事だけ表示
 昨日(2月6日)KAAT神奈川芸術劇場で開催されたラインアップ発表会に出席。テーマ音楽を東京スカパラダイスオーケストラが手がけるオリジナル・ミュージカル『怪人と探偵』(白井晃演出)、新たに発見されたフランツ・カフカの4作目の長編小説の遺稿(というところから、仕掛けです)の舞台化『ドクター・ホフマンのサナトリウム〜カフカ第4の長編〜(仮)』(ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出)、秋元松代の傑作『常陸坊海尊』(長塚圭史演出)をはじめ、わくわくする演目がいっぱい、配布資料もずしりと重く。白井晃芸術監督のもと、ますます自由に爆走するKAAT、これからも楽しみにしています!
2019-02-07 23:23 この記事だけ表示
 羽田運動場でのオリムピック予選競技会。初挑戦のマラソンで、なんと世界記録を破ってしまう金栗四三(中村勘九郎)。ここから、世界へ――。「羽田」という土地の<地霊>(ゲニウス・ロキ)についてつい考えるあひるであった。<地霊>とは、建築史家鈴木博之の著書『東京の[地霊]』『日本の<地霊>』で知った概念なのだけれども、ある土地における歴史の堆積、その土地に結び付いた連想性や可能性、そこから引き出される霊感といったもの。日本人が初めてオリンピックへ、世界へと飛び立って行くきっかけとなった大会が開かれたその土地に、後に、文字通り世界へと飛び立って行く場所、羽田空港が建設されるという、羽田の<地霊>。
 ゴール後、幼い日よりの念願かなって、嘉納治五郎(役所広司)――実にうれしそうな表情が印象的――に抱きとめられる四三。――いいですよね、ハグ。あひるも年末、必死に書き切って、ちょっとボロボロになって一年を始めたわけですが、年始、とあるところで、ちょっとだけ人生の先輩(女性)にハグしてもらう機会があって。肝心なとき鈍くさいので、その瞬間はよくわかっていなかったのだけれども、「…あ、あれは、『年末よく頑張って書いたね!』のハグだったんだ…」と、後になって気づいて、うれしかった…。
 マラソン噺を語る古今亭志ん生(ビートたけし)がとてもよかった。わくわく、引き込まれた。その若き日の姿、美濃部孝蔵(森山未來)はといえば、遂に橘家圓喬(松尾スズキ)に弟子入り申し込み! あっちもこっちも、熱い青春。涙。
 最後に、一つ。
 …今後、こちらも努力します! けれども。くじ運の悪い女です。人気高倍率ともなれば、まず当たりません。なのですが。これまでの経験から言うと、心の中で「呼ぶ」も意外に効果があります。何らかの天の差配で、偶然スケジュールが変わって駆け付けてみたら、…ああ、「呼んで」いる人がいた…と、そう得心するときが何度かあり。
 ちなみに。来週末にかけては、フィギュアスケートの「四大陸選手権2019」が開催されますぞ〜。録画放送は2月8日、9日、10日。10日の日曜日は、NHKBSプレミアムで18時から『いだてん』を観て、19時からフジテレビで「四大陸選手権」男子フリーを観れば、スケジュール的にもバッチリ!
2019-02-03 23:24 この記事だけ表示
 あっという間に2月になってしまい。今週は『マン イスト マン』『ベルサイユのばら45』『出口なし』そしてKバレエカンパニー公演があり、しかも移動の合間に津野海太郎著『ジェローム・ロビンスが死んだ なぜ彼は密告者になったのか?』を読んだら――『オン・ザ・タウン』とも深い関わりのある、“赤狩り”の時代の話――ものすごくずんと来てしまった、そんな、なかなかヘビーな一週間でした。
 Precious2月号には彩の国シェイクスピア・シリーズ『ヘンリー五世』、3月号には愛のレキシアター『ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ』、Oggi3月号にはKバレエカンパニー『カルメン』の紹介記事が掲載されています。
 SPICE掲載は以下の通り。

*『ミュージカル ふたり阿国』北翔海莉さん×峯岸みなみさん対談記事

https://spice.eplus.jp/articles/221853

*『母と惑星について、および自転する女たちの記録』紹介記事

https://spice.eplus.jp/articles/223827

*『良い子はみんなご褒美がもらえる』演出家のウィル・タケットさんインタビュー記事

https://spice.eplus.jp/articles/224404

 今もまだ締切が〜。でも。次はもちろん、週に一度のお楽しみのお話。
2019-02-03 23:22 この記事だけ表示