先日の観劇があまりに楽しかったので、愛のレキシアター『ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ』を二度目の観劇、ラストでは夫と共に稲穂を振ってきました(13時、赤坂ACTシアター)。好きなシーンはいっぱいありますが、一番心ときめくのはやはり、長年引きこもりニートだった主人公(山本耕史)が恋を知り、自分を変えようとし――それが、恋が人にもたらす一番の効用である――、ちょっと「SEIMEI」の羽生結弦を思わせる衣装を着て、白馬(人間二人による)に乗って己の内の“魔物”と対峙しに行こうとする「キラキラ武士」のキラッキラの場面――一体全体どうしてそんな展開になるのかは、赤坂ACTシアター&オリックス劇場でお確かめを(作品について詳しくは後日必ず書きます)。ハイテンションのカンパニーによる大盛り上がりの舞台に大興奮、そして、山本耕史のキレッキレの芸と美により心の中の男性美の基準がますます高くなった状態で、フィギュアスケート観戦。以下、放映順。

 ミハル・ブレジナ。クイーンの「リヴ・フォーエヴァー」の音楽を体現しようという気持ちが伝わってきて、よかった。

 田中刑事。
 すべてをさらけ出した、強い男がそこにいた。
 確固たる思い。稲妻に貫かれるような気持ちで、その様を見ていた――めちゃめちゃかっこよかった! フリーも思いっきりはじけちゃって!!!(昨晩、あひるの頭の中で突然、「ウィリアム・テル序曲」が高らかに鳴り出して、しばし止まず)

 マッテオ・リッツォ。
 「ヴォラーレ」のしっとりピアノ・アレンジに乗って、心に染み入るような演技を披露。コーヒーにクリームを注いで、カップの中で漆黒と白とが静かに交じり合っていく様を見守るような、そんな余韻を残して。

 オレクシイ・ビチェンコ。ベテランらしい味わい深い演技。スピンの音の取り方が◎。ステップにも引き込まれた。

 羽生結弦。
 リンクで無事な姿を観られて、まずはホッ。――ああ、この世にこんなに美しいものがあるんだ――と、しみじみ思える瞬間もあり、重ねてホッ。今日の演技、私は好きかも。率直で。人と素直に向き合おうとしていて。何より、スケートを愛していて。その気持ちがあれば、いつか自然と世界は広がってゆくのでは? ちなみに、私自身が若き日、人とふれあって生きていくことの大切さを教えてもらったのは、橋本治の名著「恋愛論」。

 宇野昌磨。
 …たぎりすぎ。前半と後半とで気持ち相反〜。落ち着いて〜〜〜。――人の心を惑わすという、今宵の満月のせいか。しかし。これまでになかった、ゾクッとさせるような男っぽい表情が見られたことは、自信の表れとして◎。

ジェイソン・ブラウン。
完成された世界観。初めて、彼に男性としての魅力を感じた――これまではどちらかというと、キュートで親しみやすい印象だったので。
日本の社会のすべてがいいとは決して言いません。克服すべき問題も多い。けれども、ある面においては寛容なところもあり、自由で暮らしやすい部分もあると思っています。私の母国を愛してくれて、ありがとう。理想は、差別のない世界です。

 話を山本耕史に戻して。
 ただただ己を恃みに芸を磨き上げて、ここぞというときにその芸をカーンと発揮している姿が美しかった。彼が、舞台に立つことを愛していて、その場、そのとき、人生の時間を分かち合っている観客に、自分のすべてを見せたいと励む姿が美しかった。もちろん、フィギュアスケートは勝ち負けのある競技ではあるけれども、でも、その根本は、舞台と変わらないのでは?
 本日、東京では桜の開花宣言がありました。大好きな季節。美しい季節。スケーターの皆さん、関係者の皆さんも、日本の美しさを堪能していってください。
2019-03-21 23:36 この記事だけ表示
 放映順。

 ニコル・ショット。演技前半、羽ばたくような腕の動きが、白い衣装の裾と背中にあしらわれたフリルにマッチして。

 イベット・トース。半身に大胆な柄が施されたド派手衣装! 後半のアップテンポなところは観ていて気持ち良し。

 アレイン・チャートランド。ダイナミックで迫力あり。音の捉え方がツボ。

 エリスカ・ブレジノワ。大人の女性の情感あり。

 ガブリエル・デールマン。赤い花を一輪口にくわえて迫り来る様が見えるような、色っぽく情熱的なカルメン!

 イム・ウンス。裾に淡いブルーがあしらわれた白の衣装が、彼女の可憐さを引き立てて。スケールの大きさを感じさせる、引き込まれるような演技。

 マライア・ベル。雲一つない青空に一人颯爽と向かい、風に吹かれているような、そしてそのままどこまでも飛んでゆくような、そんな清々しさ、爽快感に、涙。スケート大好き! の気持ちが伝わって。日本に滑りに来てくれて、ありがとう!

 エリザベート・トゥルシンバエワ。正確無比。

 坂本花織。
高校卒業おめでとう! 一段とすっきりきれいな大人の女性に。メイク◎◎!
 自分でもよくわからない感情が心にあふれてきて、途中からもう、しゃくり上げて嗚咽。
 …何だか。18歳ごろの自分を思い出すと、…うわあああ〜〜〜と恥ずかしくなって、人生の先輩みたいにいろいろ書いていいのか、悩むくらいで…。坂本選手だけじゃなくて、選手みんな、本当に立派である。若くして、スケートに、自分に、きちんと向き合っている。47年生きてきたけれども、でもやはり、いつまで経っても、生きることに慣れることはないように思う。日々悩んだり、笑ったりの繰り返し。そんな私の目から見て、坂本花織が一歩一歩、いろいろな事柄をまっすぐ受け止めて生きて、その心模様を滑っていっているのが、とても魅力的に映る。

 宮原知子。
 思い切ってENJOY!!!

 エフゲニア・メドベージェワ。ミスはなかったけれども…。今の彼女のモチベーションや如何。

 紀平梨花。
 筋肉同様、心もいい感じにほぐせる術が見つかりますように! 緊張がほどけすぎない程度にくすっと笑えるジョークを思い出すようにするとか。
トリプルルッツもレイバックスピンも美しかった。せっかくの初めての世界選手権、楽しんでほしい。私の心の中では、美しいトリプルアクセルが見えています。

 アリーナ・ザギトワ。
 貴女の強靭な精神力に、限りない敬意をこめて。
 私は会場にはいません。テレビの前で観ています。そして、貴女のことを――貴女のことも、考えています(「Think of Me」!)。人の心は決して縛れません。自由です。人間はロボットではないのだから。私は、人間になろうとしている貴女の演技が好きになってきています。そして、心から、あらん限りの声援を送ります。すぐでなくてもいい。貴女に、私の言葉が伝わりますように。心の悲鳴を、叫びを、芸術家たちは、美へと昇華してきたのです。
2019-03-20 23:43 この記事だけ表示
 …三日後の20時、高田馬場駅の早稲田口で会おうと男は言う。女は返す。三日後、確かに存在するかどうかわからない場所ではなく、今この瞬間存在する場所がいいと。二人のやりとりに、――瞳にいっぱいになった涙をこぼすまいと、目を大きく瞠ってしまうような、そんな美しさを感じた。
 福原充則(演出も)の手によるセリフは、おもしろうて美しく、やがて哀しいような、けれども、やはり、おもしろく。「あ」と「い」、結合しては「愛」となる二文字の消えていく世界。日常と不条理とのあわいを行き交うような、宇宙的な広がりさえ感じさせる、風変わりなラブロマンス。キャスト全員がそんな世界の住人にふさわしい演技を見せるが、なかでも、野口かおるのはっちゃけ具合は助演女優賞ものだと思う。
 27日までの東京公演に続き、ベッド&メイキングスとしては初めて旅公演もあるとのこと。4月の松本公演、四日市公演、北九州公演をお見逃しなく!
(3月20日14時の部、東京芸術劇場シアターイースト)
2019-03-20 23:16 この記事だけ表示
 短期洋行から帰ってきた夫と一緒に無事観られたばい。
 遂にストックホルム・オリンピック、開幕〜。1964年東京オリンピック招致チームが記録映像(流れるは、本物!)を観ている…という形で、1912年に軽快に時間を飛ばす。自らの主張が半ば通り、「NIPPON」のプラカードを掲げて入場する金栗四三(中村勘九郎)。一方、初めての高座が決まった若き日の志ん生(森山未來)。君ならできる、君には何かある…と、悪い咳をしながら告げる師匠の橘家円喬(松尾スズキ)の、死をも見据えたニヒルな明治人ぶり。
 プレッシャーに悩むあまり、静かに押し花にいそしむ四三。ただただ真面目なその様が、シュールですらあり。…前から思っていたのですが。よく、「応援してくださった方々に申し訳ない」とか言うコメントを聞くけれども、実際やっている人間が一番大変なんだから、応援している側に申し訳なく思う必要はない、と。その日まで頑張ってきた自分自身が納得できれば、それでいいではないですか。
 『いだてん』次週はいよいよ四三の走るマラソン! そしてフィギュアスケートの世界選手権2019、まもなく開幕〜。『いだてん』組もスケート界も日本舞台芸術界も、みんなみんな頑張れ〜。あひるも頑張る!
2019-03-17 23:45 この記事だけ表示
 先週ちょっと忙しすぎてなかなか書けんかったばい(←合ってる?)。
 ストックホルム・オリンピック前夜。日露戦争の勝利もあってか、日本人選手への注目が集まっている、と金栗四三(中村勘九郎)。ちなみに、日露戦争の勃発及びその展開が少なからず影響を与えた芸術作品が、プッチーニのオペラ『蝶々夫人』なり。
 三島弥彦(生田斗真)、体格勝る西洋人の中で一人走る重圧と孤独から、窓から飛び降りんとするくだり。…何だか、小学5年生でカナダのオタワに行ったとき、黒人の女の子と一緒に走って「違っ!」と思ったこと、そして、ときには心ない同級生から「ジャップ」「チンク」といった蔑称を投げかけられたことを思い出し。いや、英語が上達したら、こちらも負けじと言い返すようになりましたが。そして、弥彦に、「そこで死ぬことなか!」と四三の如く言いたくなり、返す刀で自分にも突っ込み。…いや、あんたも前はよく死にたい死にたい言ってたよね…と。四三と弥彦、生まれ育った環境の異なる二人の間で深まってゆく篤い友情。
 女子飛び込みの選手団、一瞬登場〜。以前も書きました。私の母方の祖母は飛び込みのオリンピック強化選手だったのですが、仲間が事故死したため、競技を辞めたとのこと。どのオリンピックを目指していたのか、祖母にも聞かずじまいだったのですが、『いだてん』の影響で初めて考えてみた。1917年生まれゆえ、目指していたのはおそらく、「前畑(秀子)ガンバレ」で有名な1936年のベルリン・オリンピックなのでは、と。『いだてん』を通じて、自分の中に点々とあった事実を、歴史に結び付けていく作業。それにしても、嘉納治五郎先生(役所広司)はいいタイミングで登場するなあ。
 深沢敦が二役目で登場して(前は『不如帰』の活動写真版で三島和歌子をモデルとした人物を演じていて、今度は橘家円喬の先輩噺家)、今後、さらなるカメレオンぶりが見られるのかどうか、気になる。
 次回はいよいよ、ストックホルム・オリンピック、開幕〜!
2019-03-17 23:39 この記事だけ表示
 今宵観劇(18時半、赤坂ACTシアター)。自らの愛する「レキシ」の楽曲を用いて、原案・演出・上演台本のたいらのまさピコ(河原雅彦の「レキシネーム」)は、「好きなことやれ〜!」の精神をすさまじい深度と濃度で貫き通し、スタッフ・キャストがそれに見事に応えた。爆笑と、嗚咽と。スタンドに弾丸ライナーで突き刺さる満塁ホームラン! こういう痛快な舞台が観たかった!!!
2019-03-12 23:20 この記事だけ表示
 一月末の公演で、芸術監督が示した芸術への覚悟のほどを観て、…同い年として、彼が創造する美を一日でも長く生きて見届けたい…との想いをますます強くした次第。
2019-03-05 23:46 この記事だけ表示
 週末、久しぶりに箱根でのんびりしてきたのですが、ポーラ美術館で開催中の「モダン美人誕生」は、西洋文化流入後の日本女性の美しさの変遷をたどる展覧会。時代が重なるゆえ、『いだてん』ファンの方にも非常にお勧めです。
 シベリア鉄道でストックホルム目指して進む金栗四三(中村勘九郎)たち一行。長旅の退屈ゆえ、「表に出ろいっ」と三島弥彦(生田斗真)とケンカになるシーン、二人が古今亭志ん生(ビートたけし)のアテレコで言い争いするのが愉快なり。その志ん生の若き日、孝蔵(森山未來)は師匠の橘家圓喬(松尾スズキ)から遂に芸名をもらう。今週、『世界は一人』(東京芸術劇場で3月17日まで公演中)を観劇、松尾スズキの、…この世界に在って生きていく上で大丈夫かな…と観ていてちょっと心配してしまうような、主人公としてのナイーヴで繊細な演技が魅力的だったのですが、橘家圓喬を演じては、師匠たる人物にふさわしい懐の深い演技を見せていて、おお、と。森山未來はあの良い声でどんな噺を聞かせてくれるのか、楽しみ。
 ストックホルム。以前出張で訪れた際、街の美しさ、物価の高さ、そして、とにかくニシンがさまざまな調理法でメニューに載っているのが印象に残っており。四三が海外で経験を積んで少しずつ堂々としていく様が、観ていて何だかうれしく。
 来週は日曜すぐに感想アップできないかもしれず、ご了承をば。
2019-03-03 23:19 この記事だけ表示
 掲載されています。

https://spice.eplus.jp/articles/229033

 公演は6日から、オーチャードホールにて。
2019-03-03 23:15 この記事だけ表示