クーラーによる冷えに大苦戦しておりますが、多少の夏バテは『いだてん』で吹っ飛ばすぞ〜。
 1932年、ロサンゼルス・オリンピック開幕! 参加国は37か国…に、思う。オリンピックはまだまだ、一部の余裕のある国々にとっての祭典でしかなかったのだと。「始まったら終わる」「ずっといたいよ」と、選手村にてオリンピック堪能中のまーちゃん(阿部サダヲ)。…気の短い人間ってこういう考え方しますよね。あひるも、「コップに水がまだ半分残っている」ではなく、「コップに水がもう半分しかない」と思うタイプ。と、そこに響き渡る音。なんと、嘉納治五郎先生(役所広司)が柔道のパフォーマンス中〜。“ファン・ミーティング”と称し、希望者をバッタバッタと背負い投げ。そんな治五郎先生にまーちゃんは尋ねる。なぜオリンピックで柔道をやらないの? と。まだ機は熟していない、と治五郎先生。普及活動を行ない、満を持して正式種目にする、そのころ自分は100歳だ! そんな治五郎先生に、「150まで生きるぞ」とつぶやくまーちゃん。役所広司が心から楽しんでこの役を演じているのが伝わってきて、いいじゃんね〜。
 そこへ現れたNHKの河西アナ(トータス松本)&松内アナ(ノゾエ征爾)。実況放送を禁じられた二人に、まーちゃんは、臨場感を伴う再現放送を提案。名づけて、実感放送〜。アナウンサーが競技を観戦し、夜、スタジオにて、選手を招き、実感をこめて伝える。松内アナ役のノゾエ征爾、飄々といい味出してます。昨年は三島由紀夫の『命売ります』脚本・演出を担当、今年はジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』の脚色を手がけ、肩の力の抜けたユーモアセンスで文学作品と客席とを軽やかにつなぐ手腕を発揮しています。松内アナ、実感こめすぎるあまり、10秒くらいの競技を1分かけてしゃべっちゃった(笑)。そして、8月7日、水泳競技開幕〜。と、ここでタイトルバック! あざやかな入りで痛快、痛快。今宵はどこが変わったかな? とチェックするのが楽しみな、凝りに凝ったタイトルバックですが、手がけるは上田大樹。舞台では、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品でのすばらしい手腕にも毎回唸らされており。
 第三十回『黄金狂時代』。
 水泳最初の種目、100メートル自由形。応援に力が入るあまり、プールサイドに近づきすぎて係に止められていたまーちゃん。実感放送では、臨場感を出すため、バケツに水を入れて持ってきて、手でバチャバチャ、効果音。見事、金銀メダル獲得〜。リトルトーキョーでの祝賀会はまーちゃんのおごりだ! よっ、太っ腹! 牛鍋を豪勢におごるまーちゃん、前言通り、口も出すが金も出す。そこへ、IOC総会に出席してきた治五郎先生&岸清一(岩松了)が。1940年オリンピックには、東京より前にすでに9都市が立候補。なかでも力が入っているのは、独裁者ムッソリーニが招致に熱心なイタリアのローマ。ドイツのヒトラーが政権を取り、かねてからの“オリンピック無用論”通り1936年ベルリン・オリンピックを返上してくれれば、1936年の開催地がローマに回って、1940年に東京に呼べるかも…とのまーちゃんの思惑に、「ユダヤ人を公然と差別する男だぞ!」と激する治五郎先生。「スポーツが政治に屈するようなことはならん!」「平和なのは選手村の内側、だけじゃいかん」と、熱く持論を展開。あひるも熱く支持!
 女子選手の姿、自分には刺激が強すぎる〜、スポーツで発散できないもやもやもあるんです〜と、平泳ぎの小池礼三(前田旺志郎)、青年の主張。落ち着け! と思ったら、同じ種目の先輩鶴田義行(大東駿介)が代わりに「落ち着け」突っ込んでくれました。そして、寝不足でバテ気味の鶴さん(皆川猿時)のもとへ、開会式の入場行進のころから腹痛に苦しんでいた大横田勉(林遣都)が、腹が痛い〜とやって来るのであった。やばい! 俺牛鍋食わせちゃった! とあせるまーちゃん。せっかく鶴さんが食事の管理をしていたのに。…腹が痛い〜と、志ん生(ビートたけし)も。いやいや、それは、「疝気の虫」の稽古。と、ロサンゼルス・オリンピック水泳種目と、落語の噺が絡み合い始め。若き日。質に入った着物が流れないようにと、友人万朝(柄本時生)が自分の代わりに質屋に毎月お金を入れているのを知った孝蔵(森山未來)は、妻おりん(夏帆)と万朝の「疝気の虫」を聞きに行く。楽しげに聞いている妻に、孝蔵、何か言いたげ。大横田の腹痛は何とか治ったが、今度は前畑秀子(上白石萌歌)が腹痛…って、願掛けでおみくじを飲んだから。これもあんた? と鶴さんに疑われるまーちゃん(笑)。万朝の見事な「疝気の虫」に、自身を情けなく思い、「弟子にしてくれ!」と頭を下げる孝蔵。「高座下りたら人間のクズなんです!」と、おりんも。…いや、俺は二つ目であんたは真打ちじゃん、そうだったわ、とのとぼけたやりとりが絶妙なり。ということで、お金を貸してもらって着物を質から出し、万ちゃんのとりなしで師匠にも詫びを入れ、孝蔵、噺家として再スタート〜。着物を羽織る孝蔵、その照れくさそうな表情に、噺にしか生きられない、落語が好きなくせに素直に好きとは言えない、そんな不器用な人間の色気が見えて。
 大横田は胃腸カタルだった。800メートルリレー、どうする。休ませる鶴さん、温情あるな…と思っていたら、ノンプレイングキャプテン高石勝男(斎藤工)を推す鶴田やまーちゃんに、勝っちゃんでは勝てん、横山で行く、タイムがすべてです、とシビアな面も見せて。「全種目制覇して、日本を明るくするんでしょ」「奇跡なんてそんな眠たいことを総監督が言ってどうする」と厳しい鶴さんに、いつになく素直に謝るまーちゃん。鶴さんの英断が功を奏し、大差&世界新記録で金メダル〜!
 翌日、400メートル自由形。大横田は序盤ふるわず。横山じゃなくて勝っちゃんをリレーに出して、400メートルに横山を出せばよかった…と今さら悩む鶴さんをなだめるまーちゃん。追い上げる大横田。しかし。オリンピック・レコードは出したものの、勝てず。それでも銅メダル、見事なものなのですが。実感放送の場、コメントを求められ、自分は期待に応えられなかった…と謝りながら次第に泣き崩れそうになる大横田を、もうしゃべるな! と抱きしめる勝っちゃん。漢(と書いて「おとこ」と読む)。
 まーちゃんの予定稿の「金」に、「同」を書き加えて「銅」にする朝日新聞速記係の酒井菊枝(麻生久美子)。ここまで一言も発していない彼女の第一声が楽しみなり。
 女子200メートル平泳ぎ。葉巻みたいにきゅうりをくわえるまーちゃんが見守る中、いよいよ前畑秀子、登場! というところでの五りん(神木隆之介)の「今日はここまで」に、寄席の客も、テレビの前のあひるも、ガクッ。早く来週になあれ〜!
2019-08-12 00:46 この記事だけ表示