7月11日12時半公演の生中継分につき、すっかり遅くなりました。

 柴山歩。気合すごい! 後半、音楽に軽やかに乗れていてとてもよかった。
 三宅星南。曲は『白鳥の湖』。終盤の王子の闘いぶり、よかった! そしてラストには白鳥が見えた! Kバレエカンパニー時代に『白鳥の湖』のジークフリードとロットバルト両方の役を踊った経験がある宮尾俊太郎が、今年NHK BSプレミアムで放送されたドラマ『カンパニー〜逆転のスワン〜』でロットバルトを踊っていたのを興味深く思い出し。
 吉田陽菜。演技にキレあり! 闘志を感じた。
 三浦佳生。曲はヴィヴァルディ『四季』より「冬」。生まれる前から定まっていたのかもしれない、そんな、己に与えられた運命を生ある限り果敢に生きんとする生命の不可思議を感じた。一緒に観ていた夫が、「どうしてこんなにも、…俺はこう生きればよかった…みたいな、人生の悔恨を感じさせる演技ができるのか。16歳じゃなくて実は36歳、いや、46歳なんじゃないか」と申しており。
 松生理乃。細やかなところまで気を配ってていねいに演技しようとしている姿勢◎。
 本田ルーカス剛史。だいぶブルースがしっくりしてきた!&哀愁も少し感じた。
 横井ゆは菜でクイーン・メドレー。パワーをぐっとこめた力強い二の腕が好き。「ウィ・ウィル・ロック・ユー」の“ドンドンチャ”は、長年の宝塚観劇で磨いた手拍子でいつかぜひ生で盛大に煽りたい! 「伝説のチャンピオン」では嗚咽しそうに…。魂のシャウト! 今の状況、みんな、その年齢&置かれた状況なりにつらいと思う…。もちろん、あひるも。でも、一緒に乗り越えよう! この経験が自分を磨いてくれると信じて。つらいとき、私は心の中の横井ゆは菜おもしろアルバム(2019年の全日本のフリーとか)を思い出して頑張る!
 友野一希。曲は『ニュー・シネマ・パラダイス』より。心にしみじみしみわたる深い愛。少年は大人になった。
 樋口新葉。振付のディテールまでがキレとしなやかさをもって表現されていて、観る者を熱狂の渦に巻き込む、鳥肌ものの素晴らしい演技! 樋口新葉がゾーンに入ると、こんな感じなのかなと…。会場の方々、画面越しに観ているこちらの分までスタンディング・オベーションしてくれてありがとう!
 神宮アイスメッセンジャーズ。凄まじい気迫で揃えてきた! 現地で観ると、自分がどこにフォーカスするかによって、見えてくるもの、迫力がまた違うんだろうな…と。
 河辺愛菜。曲はヴィヴァルディ『四季』より「冬」。心地よいスピード感の、流れるような演技!
 佐藤駿。曲はヴィヴァルディ『四季』より「夏」。途中の音楽表現に心きらめくものを感じた。
 三原舞依。曲は『レ・ミゼラブル』より「I Dreamed A Dream」。軽やかなジャンプ! 夢見ることで一歩、また一歩と前へ進もうとする、人間の生命力の力強さを感じた!
 田中刑事。曲と相俟って緊迫感に満ちた演技。気迫に圧倒されるものがあった。『LUXE』の“ナルシス”のシーンに話を戻すと、観劇していてあのような瞬間が訪れることは私自身、年に二十回あるかどうかだし、そのような瞬間が訪れる上で田中刑事の功績は大きかったと思うものだから、自信をもって!
 宮原知子。曲は「小雀に捧げる歌」。表現にふくよかさが増して、今の彼女だからこそますますドラマティックに滑れるこのプログラム。ラストのスピンの華やかさ!
 三浦璃来&木原龍一。木原龍一の包容力の中で三浦璃来がキュートに自由にのびのび泳いでいる感じが好き。スケールの大きさを感じさせる二人。フィナーレのお姫様抱っこの胸キュン度もさらにアップ。
 坂本花織。彼女の大らかな魅力、存在感がじわじわ沁みてくる魅力のあるプログラム。
 鍵山優真。悩んで人は大きくなる!&リンクに立ったらそこはあなたの世界!
 紀平梨花。曲は映画『タイタニック』より。人生の果てしなき航海を感じさせる壮大なプログラム。その航海の道連れとなるのはよき友の存在。大学は学び方を学ぶところだったなと、今の私は思っています。

 羽生結弦で「マスカレイド」。痛切で、激しく、それでいてロマンティックな、一人語りの、彼自身の『オペラ座の怪人』の物語。凄絶な孤独を乗り越えてさらに高みを見据える魂の飛翔を感じさせた。自分に与えられた生、その運命のありのままを生きようとする魂の。
 ――生中継で、涙ながらに演技を観た後、何だか魂が抜けたように盛大にぼんやりしてしまい、…そして、いろいろなことを考えた。ときおり、心の中で、「♪マスカレイド〜!」とToshiばりに盛大にシャウトしたい衝動に駆られながら。――人には生きていく上で他者が必要であるということ。それをとりわけ如実に教えてくれる、ライブ・パフォーマンスの空間について。“仮面”と自分の人生についても考えた。私自身はどちらかと言うと、“仮面”をつけるのが下手で失敗したり挫折したりしてきたような気もする。その一方で、よりよい舞台評論家になりたいと努力を重ねる過程で、自分をどこかに置き忘れてきた自分にふと気づいて驚くときもあり。
今回、観ていて思い出したのは、仮面をつけたロミオと仮面をつけていないジュリエットが一目で恋に落ちる、Kバレエカンパニー版の『ロミオとジュリエット』だった。ちょうど、今年上演された『マタ・ハリ』での加藤和樹の好演により、フランク・ワイルドホーン作品が描く“仮面”について、今一度興味がかきたてられているときでもあり。
 その一方で、思った。「…羽生結弦、おもしろいよな…」と。前からちょいちょい思ってはいた。でも、最近特にそう感じる。美しいと思っていたら実はすごくおもしろくもあったという人を、最近他でも知った。そこまで美しさを追求してきたあまりおもしろくもなっているのか、そもそもがそんなにもおもしろい人だからこそそういう美しさにたどり着いているのか、その両方ともあるのだろうと思うけれども。だとしたら、おもしろさを知ることで、その両輪としてある美しさもさらに知ることができるのかもしれず。
 本日の地上波での放送で、この日の「マスカレイド」の演技を再度観た。録画放送でもやはりビリビリ強烈に来るものがあって――それぞれの“仮面”をつけて人生の“マスカレイド”を行き交う人々の姿が見えた。それにしても、約二週間経って、再放送を観るのにもものすごく緊張して身構えてしまったというのは、一回目に観たときのあまりの衝撃を心と身体が覚えていたからなのだろうと思う。

 これからのシーズンが非常に楽しみになる盛り上がりを見せた『ドリーム・オン・アイス2021』。今、改めて思う。氷上に在るスケーター一人一人がまさに”Dreams On Ice”なのだと。それぞれが、他の誰でもない、自分自身の夢を生きる姿を、これからも氷上で観られることを確信して。
2021-07-24 23:59 この記事だけ表示