指揮=大野和士、演出・美術・衣裳=ヤニス・コッコス、合唱=新国立劇場合唱団、管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団。ジョアキーノ・ロッシーニの最後のオペラ作品を日本で初めて原語で舞台上演。輝かしく美しい音楽が堪能できると共に、歴史と思想史を伝え、現在、未来を考える手がかりと成し得る、そんなメディアとしての舞台芸術、オペラの可能性に改めて目を拓かれる舞台。あまりに有名な序曲が何だか挽歌のようにも聴こえ――文化や時代に終止符を打つ歴史上のさまざまな出来事について思いを馳せ。“森”がもつ文化的、民俗学的意味合いについても考えた。第二次世界大戦下における日本とアジア諸国の関係性、第二次世界大戦後のアメリカと日本の関係性が鏡合わせのように見える瞬間もあった。知性と感性に訴えかけるバランスがよくとれていて、今後新国立劇場オペラハウスにおいて長く上演されていってほしいプロダクション。

(11月26日14時の部、新国立劇場オペラハウス)