新国立劇場オペラ「アンドレア・シェニエ」[オペラ]

 新国立劇場オペラ「アンドレア・シェニエ」(オペラ劇場)15時の部観劇。フランス革命を背景に、信念を貫き通して死んでゆく詩人と、彼を愛するあまり共にギロチンの刃にかかることを選ぶ伯爵令嬢、彼女への横恋慕と理想との狭間で揺れる革命組織の幹部の姿が描かれた、見応え聴き応え充分、オペラの醍醐味を堪能させてくれる作品。愛の二重唱はとことんロマンティックに、群集の場面は力強くと、非常にドラマ性に富んだ音楽を、フィリップ・アルローのメリハリの効いた演出が存分に生かしている。ギロチンの刃を思わせる斜めの線が多用された、白が基調の舞台装置、そしてこれまた白メインの衣装に、光と影、そして色彩が効果的に使われていく。一幕の、あえかな光に照らし出された、ロココないでたちの紳士淑女が踊るシーンは、幻か夢の中で見た場面のようで、凄然とした美しさ。幕ごとに絵画をモチーフとする趣向も効いていて、二幕の幕切れの、ドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」を思わせる場面など、思わずハッとさせられる。全員が倒れ込んだところを、三色旗を掲げた子供たちが歩いてゆく終幕は、もちろん未来への希望も託されているのだろうけれども、歴史の流れの中、多くの人々の犠牲の上に現在そして未来が築かれているとの告発のようにも感じられて、衝撃的ですらあった。
 フランス革命あたりのお話は、日本の女の子ならば(男の子も?)「ベルサイユのばら」でつとに親しみ深いところ、愛あり苦悩ありドラマありと非常に楽しめるし、あまり上演の機会がない作品でもあるので、ぜひこの機会におすすめしたいところ。新国立劇場やオペラシティ周辺のクリスマス・ツリーの飾り付けも非常に素敵で、思わず気合を入れておしゃれして出かけたくなるムード満点なのも、このシーズンにもってこい。27日から始まる、同じアルロー演出の「ホフマン物語」(再演)も楽しみ。