“心のポーズ”発表!〜宝塚星組「スカーレットピンパーネル」その3[宝塚]
 心の諸部門第二弾は、“心のポーズ”の発表!
 第二幕第四場、民衆がフランス革命の成り行きに疑問を抱き始めて歌う「死の都・パリ」。ショーヴランも加わっての歌唱、途中で「シュッ」というギロチンの擬音が挟み込まれるのだけれども、その瞬間、逆三角形のフォーメーションを成す兵士たちの先頭に立つピポー軍曹(美稀千種)がパッと決めるポーズ。足は肩幅に、両手を少し開いて身体に沿わせる、こういうさりげないポーズこそ、踊れて身体が利く人でないとビシッと決まらない(と、自分で真似してみてつくづく思う)。昨年の「シークレット・ハンター」のカーニバルの場面でも、ダンスの中心に美稀がいて、小気味よく左右に揺れる様を見ながら、この世のどこかに永遠に続くこんな楽園があったらいいのに…などと考えていたものである。
 一方で美稀は、優れた身体性を演技に効かせることのできる男役でもある。第一幕第七場の通称“洗濯女の反乱”シーンでも、コミカルな演技にその身体性が大いに生きている。舞台の幕開きでは、老人に変装したパーシーに騙され、その直後、変装を解いたパーシーの正体を見破れず、パーシーの表と裏の顔に呼応した態度の豹変ぶりを見せる…と考えて、あるときひらめいた。
 今回のヒーロー、パーシー・ブレイクニーという人物は、ただでさえ複雑な面をもつキャラクターを、安蘭けいがその演技力でとんでもなく掘り下げていってしまったので、説明が非常に込み入って厄介である。ロベスピエールとの対比、ショーヴランとの対比で語れるというところまではわかったのだが、最後の論点についてはなかなかつかめずにいた。それが、“心のポーズ”を決めるピポー軍曹を食いいるように見つめるうち、この人物こそが最後のキーパーソンであることが判明! 思わず心で小躍り。
 それにしても、ピポー軍曹自身も実に複雑な魅力を兼ね備えたキャラクターである。無慈悲かと思えば相当にすっとぼけている部分もあって、眼帯姿でなびかせる長髪も色っぽく、憎めない。越乃リュウ、水夏希、立樹遥と、セクシー男役豊作の79期なのであった。