“心の名場面”発表!〜宝塚星組「ア ビヤント」その2[宝塚]
 宝塚も一ヵ月公演になってしまったので、何事も早目早目ということで、恒例のお楽しみ企画、“心の名場面”発表!
 ダンスっていうより武術の先生じゃないの? と思わずツッコミたくなる、朝峰ひかりの振付師が如意棒? 持って大ハッスルの場面と迷ったのだが、今回“心の名場面”に輝いたのは、“フルフル”の場面! 夢咲ねね扮するかわいこちゃんを追いかけ、8人の男たちが浮かれはしゃいで銀橋を渡るこの楽しいシーン、なかでもMVPを贈呈したいのが、先頭切って追いかけてゆく“フルフル”切り込み隊長、美城れんである。キューピーちゃんみたいなつぶらな瞳をしばたかせての一挙手一投足に浮かれはしゃぎ感が満ちあふれていて、いまだに浮かれてときどきスキップとかしてしまわなくもない自分にとっては(もちろん、絶対人のいないところでですよ!)、己の姿を鏡に映しているような気恥ずかしさなきにしもあらず。振りを踊り切ってしまわず、一種夢遊病状態にあるような浮かれはしゃぎっぷりが醸し出されるところで絶妙にセーブしているのが見事。夢咲のキメを受けての笑いが、「デハ〜」だの「ダハ〜」だの、つぶらな瞳と思いっきりギャップがあっておっさんくさいのがまた、たまらない。
 振り返ってみれば、「エル・アルコン−鷹−」のときに“心のキャラ”があったなら、受賞していたのは美城だった。悪徳商人コールサックのいやらしいまでの浅ましさを体現して、ダーティーヒーロー、ティリアン・パーシモンのダークな世界に彩りを添えていた。昨年秋の「ブエノスアイレスの風」では唯一笑いを取れる役どころで、“心のキャラ”かなとも思ったのだけれども、むしろ助演男優賞(って男役に言っていいのかな?)ものだったと思う。お膳立てしたオーディションに主人公ニコラスが現れず、顔をつぶされて自分だって困っているのに、すっぽかされて途方に暮れるヒロイン・イサベラを励ますシーンに実に人間味とあたたかみがあった。これからまたどんないい味を出して星組の舞台を盛り上げていってくれるのか、楽しみな存在である。