心のキャラ発表!〜宝塚星組「My dear New Orleans」その4[宝塚]
 出張していたりしてすっかり遅くなってしまいました。恒例、心のキャラ発表!
 人材豊富で心のキャラ激戦区の星組、今回も候補者多数の中を勝ち抜いたのは、…ジャーン、美稀千種扮する“ポン引きのボブ”! セリフは「旦那、どうだい」、「やばいぜ」「冗談じゃねえ!」の三つ、ソロは「今夜はお楽しみだ」のみながら、歌舞伎の定式幕のような配色のジャケットを着たこのボブ、何だか妙に気にかかる。なんてったって、めっぽう色っぽい! 身のこなしもさっそうと粋で、でもちょっと抜けたところがあるのが癒し系で、娼婦たちの信頼も厚く、街の住人ともしっかり交流していて。自分が生活ベタという意識が強いので、男の人は生活力(経済力ではない)がある方がいいなというのがあって、今までヒモをもつ女性の心理がいまいちわからなかったのですが、こういう男の人ならありなのかも…と新しい心境を拓かれた感じ。ジョイの世界とルルの世界、二つのかけ離れた世界を、ルルの弟レニーを追って来たボブが一瞬つなぐのも、ストーリーヴィルという街の奥行きを出して。十年後のチャリティ・コンサートのシーンでは、さっぱりこぎれいな身なりで登場するボブ、ストーリーヴィルがなくなった後はポン引きから足を洗って正業についたのかしら、娼婦の誰かと所帯を持ったのかしら…等々、何だかボブのことばかり考えてしまう。
 物語的にも、ボブの“ポン引き”という職業のもつ意味は決して小さくない。レニー曰く、「愛なんて金で買うもんだって、子供だって知ってるさ」というこの街で、ボブは“愛”を金銭で売買する手助けをする人間である。その対極に、ジョイがルルに捧げる愛、愛のみを対価とする愛がある。ジョイが歌う「スイート・ブラック・バード」にこめられた愛の重さ、深さは、“愛”が金で取引される場所から生まれ出たがゆえである。

 昨年秋の全国ツアー公演においても、美稀は、「外伝 ベルサイユのばら」でばあやのマロングラッセ役を好演し、その後のショー「ネオ・ダンディズム!V」の“アディオス・パンパミーア”の場面では男役として、誰よりも激しく肩をいからせて踊っていたりして、ギャップの大きさで楽しませてくれた。今回は、芝居作品で最高に粋な男を演じた後に、ショーのフレンチカンカンの場面でキュートな踊り子に! ショッキングピンクのかつらをかぶった姿が意外と言っては失礼だが何だか妖艶で、でも、コミカルな展開の場面では計算された動きで笑いをきっちり取ることも忘れない。芸達者やなあ…と感服。今後も大いに期待!