「サンタモニカ」〜宝塚花組「愛のプレリュード」番外編[宝塚]
 光り輝く太陽と海のイメージが強いカリフォルニア州サンタモニカを舞台にしながら、どことなくアンニュイなムードを漂わせる「愛のプレリュード」のポスターを初めて見たとき、最初に連想したのが、オーストラリア出身の男性デュオ、サヴェージ・ガーデンの1998年のシングル、「サンタモニカ」という曲でした(1997年のデビュー・アルバム「サヴェージ・ガーデン」に収録)。

冬のサンタモニカじゃ
あくせくせずにのんびり通りを歩くことができる
僕は人ごみへとまぎれこむ
サンタモニカじゃ、散歩道沿いの小粋な店で
コーヒーを飲める
みんな小粋な服装で
どこを向いても、そこら中に美があふれてる
僕は座って考える、ここで何をしているんだろうかと

でも、受話器のこちら側じゃ僕は
何にでもなりたいものになれる
スーパーモデルにだって、ノーマン・メイラーにだって
どうせ君にだって違いはわからない
……それとも……?

サンタモニカじゃ
ジェイクとか、マンディとか
みんな今風の名前
それに今風のスタイル
サンタモニカの大通りじゃ
巧みに身をかわさなきゃ
インラインスケーターたちに突き飛ばされる
こんなにも孤独を感じたことも
こんなにも場違いに感じたこともない
こんなにも何かを強く求めたことも

でも、受話器のこちら側じゃ僕は
何にでもなりたいものになれる
スーパーモデルにだって、ノーマン・メイラーにだって
どうせ君にだって違いはわかりゃしない

受話器のこちら側じゃ僕は
背丈も年齢も思いのまま
バットマンにだって、スペース・インベーダーにだってなれる
どうせ君にだって違いはわかりゃしない
……それとも……?
                                    (対訳:藤本真由)


 ヴォーカル、ダレン・ヘイズの、ときに高音がせつなく響く、靄がかったような街の情景を思わせるけだるい歌唱が、何だかポスターの世界観にぴったりくるなと。実際作品を観劇すると、コーヒーショップでの主人公とヒロインのコーヒー談義まで登場して、おお、という感じ。「でも、受話器のこちら側じゃ僕は/何にでもなりたいものになれる」という箇所も、声色だけでさまざまな役柄を瞬時に演じ分ける真飛聖をどことなく彷彿とさせて、個人的に、この歌は何だか「愛のプレリュード」の裏テーマソングだったりするのでした。