Romantic!〜宝塚星組「南太平洋」[宝塚]
 8日13時の部観劇(日本青年館大ホール)。「魅惑の宵」「バリ・ハイ」等々、リチャード・ロジャースのロマンティックな名曲の数々にふさわしいロマンティックな世界を、主演の専科・轟悠と、進境著しい真風涼帆が体現。近年のニューヨークのリンカーン・センターでのリバイバル公演を観たとき、「Colored?」(「あなたが前に結婚していた相手は有色人種だったの?」)と驚いて主人公に尋ねるヒロインのセリフに、有色人種の一人としては、「So?」と驚いて言い返したくなるものがあったのですが、今回の原田諒の演出は、その手のセリフも、敵兵日本軍に対する侮蔑的な「Jap」も巧妙に省いて、ファンタジック&ロマンティックな世界を現出。松井るみのおとぎ話風セットもそんな作品世界に大きく貢献。二幕の轟と真風の、それぞれが出会った素晴らしい恋、そして、そんな恋を生んだ“South Pacific”への思いを歌い上げるデュエットに、宝塚歌劇こそすなわちそんなロマンティック世界に他ならないのだと感じた次第。ヒロインの主人公への葛藤も、人種差別というよりもむしろ、恋した相手の過去を知っての激しい嫉妬に思え。過去があって今があって、今この瞬間目の前にいる相手を自分は愛しているのだと気づいたとき、世界は変わるわけですが。
 今回の“心の名場面”は、舞台をご覧になった方ならもうおわかりですね。そう、抱腹絶倒、ほとんど反則、芸に裏打ちされた素晴らしすぎる、アレです。公演は明後日10日まで。お見逃しなく〜。