「トリノ王立歌劇場来日公演記者会見」[オペラ]
 27日、都内で行われた「トリノ王立歌劇場来日公演記者会見」に出席してきました。29日に初日の幕を開けるこの公演は、ヴェルディの「仮面舞踏会」、プッチーニの「トスカ」、そして2回の特別コンサートという構成。タクトを振るはもちろん、芸術監督を務めるジャナンドレア・ノセダ氏。以前にも会見やインタビューでお話をうかがう機会がありましたが、氏が話しているのを聞いていると、こんなにも芸術について考えている人がいる! と、いつも、何だかとってもうれしくなってしまい。
 今回の会見には、本当に豪華な歌手陣に加え、「トスカ」を担当した演出家のジャン・ルイ・グリンダ氏も出席していて、演出のポイントとして“天使の急降下”というキーワードを挙げていたので、その点について具体的にうかがうと共に、ノセダ氏には、そのキーワードと音楽とがどのように絡み合っていくのかについて質問。「あんまり説明してしまうと観に来てもらえなくなってしまうから」と、おちゃめなグリンダ氏。物語の出来事は24時間のうちにすべて進行するという、大変スピーディーに展開される「トスカ」の音楽には、映画的な魅力があると語り。続いて、ノセダ氏。「トスカ」のみならず、プッチーニの音楽には映画的な感覚があり、レンズが広角になったり望遠になったり、映るイメージが移り変わっていくのが、音楽から伝わってくる。あと30年長く生きていたら、プッチーニは間違いなく映画音楽を手がけていたと思う。そして、今回の演出についてあえてふれるならば、どのような人も、人生の最後の15秒には自分の人生をフラッシュバックで振り返ると思う、そんな演出を損なわずに音楽を盛り上げる上では、自分自身も非常に集中して指揮しなくてはならない、と。質問したときも、答え終わったときも、何だかニーッととてもうれしそうなので、「Thank you」と、こちらもにっこり。
 「本当にその役に合う声の歌手が配されているか、それが芸術監督としての私の方針」とノセダ氏。イタリアの多くの歌劇場が経営難に苦しむ中で、トリノ王立歌劇場が黒字経営となっているというのは、やはり、質の高い舞台を提供し続ける、そのことに尽きるのではないかと思うことしきり。三年前の初来日公演での「椿姫」と「ラ・ボエーム」も素晴らしく、どのような舞台が繰り広げられるのか、今回も本当に楽しみ。