宝塚宙組「ベルサイユのばら−オスカル編−」舞台稽古[宝塚]
 初日(6月20日)前の舞台稽古を見学。オスカル役の凰稀かなめは、原作から抜け出てきたような姿が、“麗人”の一語にふさわしい美しさ。オスカルの兼ね備える男性性と女性性とを、それぞれ絶妙のタイミングで表現し分けてゆく。なまじの男より男らしく、それでいて女性らしさも秘めた魅惑の人。そして、凰稀オスカルは愛の人である。人々がオスカルを愛するから、オスカルが人々を愛し返すのではない。オスカルが人々を深く愛するからこそ、人々はオスカルを深く愛するのである。この基本的な愛のベクトルが表現されて初めて、そこにオスカル像が誕生する。作品の制作発表会で、作・演出の植田紳爾は、凰稀について、「声がオスカルだ、と思った」と語った。理想のオスカル役者を得た演出家は、多分に実験的なフィナーレも含め、男として生きてきた一人の女性の生涯を描くことで、女性が男性を演じる宝塚の男役の究極の魅力について突きつめてゆく。宝塚歌劇創立百周年にふさわしい「ベルサイユのばら」のお目見えである。