王者の演技〜「全日本選手権2018」女子フリースケーティングの坂本花織の演技[フィギュアスケート]
 …なぜだろう。最近、坂本花織の演技を観ていると、冒頭から涙がじわっとあふれてくる。そして、自分が彼女と同じ年齢だったときのことを強く思い出す。私、あのころ、何を考えていたのかな…と。
 ずっと気になる存在だった。周りがときとしてこんなに「女」を競い合う競技なのに、天衣無縫と言おうか、無邪気と言おうか…。だから、「化粧!」とお節介も言った。私は宝塚歌劇を見慣れているので、“男役/娘役”という一つの判断基準が自分の中にあるのを否定し得ないのだけれども、それで言うと、坂本花織は性格的に男役トップスター向きの人だということなんだろうな…と、最近になって気づいた。男役トップスターは、一つの組を背負う。組子全員の思いを背負って、舞台に立つ。
 …そして、この夜の坂本花織は、大きなものを背負って立った。滑るうちに、決意を新たにした。包容力を感じた。年下の彼女に、深い敬意の念を感じた。気づいたら嗚咽していた。ずっと、ずっと。
 そうして滑って、坂本花織は、全日本選手権を制した。
 王者にふさわしい滑りだったと、私は思う。
2018-12-24 21:39 この記事だけ表示