『フランケンシュタイン』[ミュージカル]
 1月20日13時の部、日生劇場。メアリー・シェリーのゴシック小説を独自の視点で再構成した韓国ミュージカル、その日本版の再演。軍医アンリ・デュプレと怪物を演じる加藤和樹が実にいい。アンリは戦場で科学者ビクター・フランケンシュタイン(柿澤勇人)に命を助けられ、固い友情で結ばれる。母の死以来、死者を甦らせることに取りつかれた友ビクターの“実験材料”となるべく、アンリは友の罪をかぶってギロチンで処刑される――だが、その生首を用いてビクターが生み出したのは、アンリの記憶をもたない怪物だった。ビクターのもとを逃げ出した怪物は、闇の闘技場で見世物としてひどい扱いを受け、おぞましい人間こそが怪物ではないかとの哀しき認識に至る。アンリが友ビクターに捧げる友情はいささかファナティックなものではあるのだが、加藤アンリは実に純粋なその友情のありようをさわやかに歌い上げて殉じていく。怪物となり、うす汚れた半裸姿でうなり声を上げて暴れていても、人間存在に激しく絶望しても、その姿にはどこか哀しい美しさがある。加藤は、昨年秋、難役である『ファントム』タイトルロールに挑戦、怪人の心の中の美を表現する好演を見せていたが、その経験を経て、舞台姿に自信の芯が一本ぐっと通ったように感じられる。孤独なビクターに愛をもって仕え続ける執事ルンゲ役の鈴木壮麻の、あくまで品よくチャーミングに効かせる笑いは、作品全体の軽やかなアクセント。リトル・ビクター(ビクターの子供時代)を演じる大矢臣(子役)の、客席へとまっすぐ向かってくる歌唱と演技も堂々たるものだった。
2020-01-20 23:06 この記事だけ表示