花組公演『はいからさんが通る』千秋楽LIVE配信![宝塚]
 出演者の気合が細部にまで満ち満ちていて、非常に見応えあり。大正デモクラシーの時代を、1923年の関東大震災をクライマックスに描く作品だけれども、宝塚歌劇団が大正期の1914年に誕生したことを考えると、宝塚で上演されることは必然の巡り合わせであったようにも思えて。もともと心のベストスリーに入るほど大好きな少女漫画ですが、舞台を通じてさらにその奥深い魅力に気づかされ。伊集院忍少尉(柚香光)、女嫌いの編集長・青江東生(瀬戸かずや)、二人がなぜヒロイン紅緒を愛するに至ったのか、少女のころはそこまで深く突きつめて考えてはいなかったなと…。両人の演技に感謝。紅緒さんを演じる華優希は、芝居が乗ってくると歌も踊りも俄然安定してくるようである。今日のはじけっぷりはヒロインとして頼もしい限り。芸者の吉次を演じる朝月希和は、舞台にかける気迫と覚悟で凄絶な美しさ。芸の人である。この公演後、トップ娘役として雪組に戻ることになった彼女を送り出す大劇場の拍手は実に温かかった…。舞台全体、ちゃんとギャグ漫画テイストもあるのがいい! 美形キャラも大真面目にギャグを体現するのがいい。それでこそ『はいからさんが通る』!
 フィナーレの男役群舞は、本日は、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第二番」に乗っての、軍服姿での「大正バージョン」。踊る柚香光を観ていると、――シベリアの吹雪の中で、大怪我を負って一人倒れていて、それでも、生きて日本に帰らなければ、そうして、愛する紅緒さんに会わなければ…と命を燃やしている少尉の姿――舞台本編で描かれているわけではない――が、不思議と見えてくるようで。その後、瀬戸かずやセンターになってからも、男役陣が一丸となってとてもドラマティック。弾む心の会話を楽しむようなトップコンビのデュエットダンスも幸せ感いっぱい。終演後の柚香光の挨拶が実に立派なもので、私より先に、一緒に観ていた夫が感極まっており。
 作品についてまだまだ書きたいことは多々あり。今日のところはこれにて。東京でお待ちしています!
2020-09-05 23:59 この記事だけ表示