藤本真由
(舞台評論家・ふじもとまゆ)
1972年生まれ。
東京大学法学部卒業後、新潮社に入社。写真週刊誌「FOCUS」の記者として、主に演劇・芸能分野の取材に携わる。
2001年退社し、フリーに。演劇を中心に国内はもとより海外の公演もインタビュー・取材を手がける。
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宙組宝塚大劇場公演『アナスタシア』千秋楽ライブ配信[宝塚]
運命に敢然と向き合うヒロイン・アーニャ役の星風まどかの逞しい生の活力、決意を秘めた強いまなざし。そんな彼女に心ひかれつつも、その幸せを思うが故に自らの想いを秘める詐欺師ディミトリ役を演じて、当たり役を連発中の宙組トップスター真風涼帆が男役のやせ我慢の美学で魅せる。晴れやかさとせつなさが交錯する一幕ラストの二人のデュエット「Journey To The Past」に感涙。アーニャを追い続けるボリシェビキの警視副総監グレブ役の芹香斗亜が見せる威厳と冷徹さ。ディミトリとアーニャと共にパリへと向かう落ちぶれ貴族ヴラド・ポポフ役の桜木みなとは、ヒゲをつけてのコミックリリーフ的老け役をダンスステップも軽やかに演じて渋い色気で魅了。男役1・2・3が揃って魅力を発揮し、盤石体制。そして、桜木が一転、王子さながらの衣装で登場して始まるフィナーレは、ロシア風衣装も目に楽しく、きらびやかさいっぱい。真風涼帆&星風まどかがデュエットダンスで見せる高いプロフェッショナリズムに心打たれる。真風の最後の挨拶は、芸に励む揺るぎなき姿勢が立派な限りで、宝塚のキラキラした魅力がつまった舞台共々、あわただしい年の瀬を最後まで駆け抜ける元気をもらった思い。
2020-12-14 21:01 この記事だけ表示