宙組『アナスタシア』![宝塚]
 13時半の部観劇(東京宝塚劇場)。観終わった後、…宝塚ってなんて楽しいんだろう…と思わず独り言ちてしまったほど、キラキラのいっぱい詰まった舞台! ブロードウェイ・ミュージカルの宝塚化にあたって、宝塚の人気作品の成功則をきっちり分析して舞台へと落とし込んだ潤色・演出の稲葉太地の手腕が光る。宙組のコーラスによる重厚な楽曲の歌唱に酔いしれて。もともとの台本自体、一幕の盛り上がりに比べ二幕が少々弱く感じられるのだけれども、芝居の力で見事締めたところに、今の宙組の充実具合がうかがえる。これまで演じてきたさまざまな役柄の経験を存分に活かし、雄大なミュージカル・ナンバーに乗って心を舞い上がらせていく真風涼帆。タイトルロールに扮して次々と新たな表情を見せる星風まどか。本日の星風アーニャとの最終対決でのグレブ役芹香斗亜の演技は、あまりの迫力に何かが降りてきそうだった…! 包容力ありのコミカルイケおじヴラド役の桜木みなとの軽快な“仔犬ステップ”はクセになる魅力が。そして、マリア皇太后役寿つかさの演技に、…私自身のとある大切な“記憶”も呼び起こされて――。
2021-01-15 23:59 この記事だけ表示