花組東京宝塚劇場公演『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』『Fashionable Empire』千秋楽ライブ配信・退団者たち[宝塚]
 『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』で音くり寿が演じたのは、主人公フランツ・リスト(柚香光)のパトロンで年上の愛人であるラプリュナレド伯爵夫人役。リストに逃げられ、その後釜を育てることとなるが、プライドの高さと執着心の激しさがリスト自身のそれとも引き合う部分があったからこそ、リストも彼女の庇護によって成功を収めたところがあるのではないかと感じた。ソプラノの響きが怖い一方で、そんな人物をどこかシニカルにとらえているようなコミカルさもあり。飛龍つかさはダグー伯爵役。リストと駆け落ちした妻のマリー・ダグー伯爵夫人(星風まどか)と再会した際、一緒に暮らしていたときには見ることはなかった妻の新たな顔を見、これを認めるセリフに、包容力と哀しみがにじんだ。
 『Fashionable Empire』は、<Fashionable Moment>で、飛龍つかさ、若草萌香、音くり寿、芹尚英の退団者4名が晴れやかに踊り、皆も加わって仲間と共に生きる喜びを舞台いっぱいに表現していったあたりから、ぐんと加速した感あり。飛龍つかさの伸びやかな歌声。音くり寿はエネルギー全開、オープニングでの歌も聴かせた。せつなさと喜びとを感じさせた、エトワールの若草萌香の歌声。
 柚香光は肩の力抜いて行こう〜!