藤本真由
(舞台評論家・ふじもとまゆ)
1972年生まれ。
東京大学法学部卒業後、新潮社に入社。写真週刊誌「FOCUS」の記者として、主に演劇・芸能分野の取材に携わる。
2001年退社し、フリーに。演劇を中心に国内はもとより海外の公演もインタビュー・取材を手がける。
ご意見・お問い合わせ等は
bluemoonblue@jcom.home.ne.jp まで。
『光る君へ』第5回[ドラマ]
倒れたまひろ(吉高由里子)の祈祷のためにやって来たうさんくさい僧(植本純米)はまだ出てきたりするのかしらん。
まひろの父、藤原為時(岸谷五朗)には父の苦悩あり。しかし、父の意図に抗うまひろは、幼き日に母を殺したのが藤原道兼(玉置玲央)であることをその弟の道長(柄本佑)に告白する。真相を知って自分の家の業を受け止め、兄に食ってかかる柄本道長の演技が心に響いたのですが、その有様を見ても平然と悪い段田安則の藤原兼家! 段田安則、悪の演技をENJOY中――その高笑い、思わず真似してみた。あまりに悪いので、接した子供たちが「……大人、汚い……」みたいにしゅんとなってしまっていますが、それが後々、「こういう振る舞いは嫌だ」との覚悟で超えるべき大きな壁として立ちはだかってきたりするのかなと想像してみたり。段田兼家、前半での柄本道長への言葉では、自分たちの命は家を盛り立てるものとしてあるという一種の諦念を感じさせたのも何だかすごかった。
そんな段田兼家の、帝の子を呪詛しろとの頼みを一度は突っぱねる安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)。先日、「令和6年国立劇場初春歌舞伎公演」で、安倍晴明の母は葛の葉という白狐だったという“安倍晴明伝説”が取り入れられた『芦屋道満大内鑑−葛の葉−』を観ていたので、生臭い中に巻き込まれているこちらの晴明が興味深く。
まひろの父、藤原為時(岸谷五朗)には父の苦悩あり。しかし、父の意図に抗うまひろは、幼き日に母を殺したのが藤原道兼(玉置玲央)であることをその弟の道長(柄本佑)に告白する。真相を知って自分の家の業を受け止め、兄に食ってかかる柄本道長の演技が心に響いたのですが、その有様を見ても平然と悪い段田安則の藤原兼家! 段田安則、悪の演技をENJOY中――その高笑い、思わず真似してみた。あまりに悪いので、接した子供たちが「……大人、汚い……」みたいにしゅんとなってしまっていますが、それが後々、「こういう振る舞いは嫌だ」との覚悟で超えるべき大きな壁として立ちはだかってきたりするのかなと想像してみたり。段田兼家、前半での柄本道長への言葉では、自分たちの命は家を盛り立てるものとしてあるという一種の諦念を感じさせたのも何だかすごかった。
そんな段田兼家の、帝の子を呪詛しろとの頼みを一度は突っぱねる安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)。先日、「令和6年国立劇場初春歌舞伎公演」で、安倍晴明の母は葛の葉という白狐だったという“安倍晴明伝説”が取り入れられた『芦屋道満大内鑑−葛の葉−』を観ていたので、生臭い中に巻き込まれているこちらの晴明が興味深く。