花組トップスター柚香光、退団[宝塚]
 ダンシング・スター柚香光が、芝居&ショー(レビュー)の二本立てではなく、一本物公演で退団するんだ、と最初は思った。しかし、そこは小池修一郎である。『アルカンシェル〜パリに架かる虹〜』において、劇中劇の形でさまざまなレビュー・シーンを登場させた。柚香演じる劇場のスター・ダンサー、マルセル・ドーラン率いる黒燕尾服の紳士たちが華麗に登場するパリ・レビューの場面。マルセルがピエロ役を踊るダンス場面。「美しく青きドナウ」のウィンナ・ワルツ版とジャズ版。ラテン・ナンバー。ピアノを弾く場面もあり、観たかった柚香光が存分に観られる退団作となった。
 宝塚において、女性が男性を演じるにあたっては、踊りや動きにおいて可動域やニュアンスに制約がある。踊れる人であっても、一度その踊りを男役の型に添わせる必要がある。けれども、退団作において、柚香光はときに型から解き放たれたかのように踊り、それでいて、どんな瞬間も男役だった。
 そこまで到達したら、卒業なのである。
 ほぼずっとコロナ禍での花組トップスターの重責、本当にお疲れ様でした。コメディだって大いに行ける人である。今後に期待大!