藤本真由
(舞台評論家・ふじもとまゆ)
1972年生まれ。
東京大学法学部卒業後、新潮社に入社。写真週刊誌「FOCUS」の記者として、主に演劇・芸能分野の取材に携わる。
2001年退社し、フリーに。演劇を中心に国内はもとより海外の公演もインタビュー・取材を手がける。
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星組東京宝塚劇場公演『記憶にございません!−トップ・シークレット−』『Tiara Azul−Destino−』[宝塚]
『記憶にございません!−トップ・シークレット−』は三谷幸喜が脚本と監督を手がけた映画『記憶にございません!』が原作(潤色・上演台本・演出:石田昌也)。多少気分が落ち込んでいても思わず笑わずにはいられない作品――宝塚の舞台の大階段を、新内閣発足の際に並んで写真撮影する首相官邸の階段に見立て、そこを黒田啓介内閣総理大臣(礼真琴)をはじめとする大臣たちが降りてきて「ウ!」「ハ!」と合いの手を入れながら踊る「献金マンボ」のナンバーが非常にツボである――。そして風刺も効いており。衆院選投票日を27日に控え、「♪選挙に行こう〜」の歌詞もタイムリー。『Tiara Azul−Destino−』は熱く、そして朝焼けのようにさわやかなレビューで、取り合わせのよい二本立て。今作で星組トップ娘役舞空瞳が退団、そして次回作で星組トップスター礼真琴が退団と、このトップコンビでの最後の公演、二本ともよきコンビぶりが存分に味わえる作品となっているのが◎。