「生誕150年記念 上村松園」[展覧会]
 先週、大阪中之島美術館にて鑑賞。上村松園と言えば美人画の第一人者として知られる画家。たとえどんなに美人だとしても生きているすべての時間美しくあるということはちょっとありえないわけで、そんな人間の美の一瞬をこの人は描きたかったんだな……と。昨年4〜5月に日本橋高島屋で開催された「文化勲章 三代の系譜 上村松園・松篁・淳之」では、能の『花筐』に着想し、精神を病んだ人々を観察して描いたという「花がたみ」(1915)に心ひかれたのだけれども、今回の展覧会では、小野小町が大伴黒主にかけられた嫌疑を晴らすという内容の能の演目に着想した「草子洗小町」(1937)に心ひかれ。今回もう一枚心ひかれたのは「待月」(1926)。描かれた女性の後ろ姿を見た瞬間、……恋しい人を待っているんだな……と思ったのだけれども、月を待つのか男を待つのか。しかし、「花がたみ」と「草子洗小町」は女性の顔が能面のように描かれているし、「待月」は後ろ姿だけで顔は描かれていないしで、どうして自分はそういう絵ばかりに心ひかれるんだろうとおかしくなり。中之島美術館では昨年1月、「決定版! 女性画家たちの大阪」を鑑賞したとき、……女の人が描いた女の人ばっかり! と、女性の眼差しばかりがそこにあることにはっとしつつ(通常は男性の眼差しばかりの展覧会が多かったりするわけですが)、……そう言えば私、子供のころ、絵は母方の祖母の従妹の日本画家に、ピアノはその祖母の友人である女性音楽家に習ったんだよな……と思い出していたのでした。