ブルノ国立劇場ドラマ・カンパニー『母』[来日公演]
 チェコのブルノ国立劇場ドラマ・カンパニーの来日公演(作:カレル・チャペック、演出:シュチェパーン・パーツル)。1938年に書かれた戯曲から今日にも鋭く通じる普遍性を引き出す、知的刺激に満ちた上演。じっくり書きます。チャペックというと、「ロボット」の言葉を生んだ戯曲『ロボット R.U.R.』のプラハ初演で舞台美術を担当したベドジフ・フォイエルシュタインが1920年代に来日し、日本で数年間建築家として活動していたことをいつも思い出すのだけれども(築地の聖路加国際病院の病棟中心部の塔屋が残る)、戦争を扱うこの舞台を観て、日本で活動したチェコ人建築家また二人、フォイエルシュタインとも協働したアントニン・レーモンド(私にとっては西荻窪の東京女子大学の建築群が馴染み深い。チェコに残った彼の兄弟たちはユダヤ人迫害の中で処刑及び強制収容所送りとなって消息を絶ったという。第二次世界大戦中、アメリカ軍による焼夷弾の効果実験のために日本家屋を設計。戦後再来日)と、広島の原爆ドーム(広島県物産陳列館)を設計したヤン・レッツェルのことを思い出した。

(5月28日19時<初日>、新国立劇場小劇場)