藤本真由
(舞台評論家・ふじもとまゆ)
1972年生まれ。
東京大学法学部卒業後、新潮社に入社。写真週刊誌「FOCUS」の記者として、主に演劇・芸能分野の取材に携わる。
2001年退社し、フリーに。演劇を中心に国内はもとより海外の公演もインタビュー・取材を手がける。
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宙組東京宝塚劇場公演『PRINCE OF LEGEND』『BAYSIDE STAR』[宝塚]
宙組新トップコンビ桜木みなと&春乃さくらのお披露目公演。『PRINCE OF LEGEND』(原作・著作・構想/HI-AX、脚本・演出/野口幸作)はドラマや映画で人気を博したシリーズの宝塚版。とある高校の「伝説の王子選手権」をめぐるプリンスたちのバトルとそれを応援するプリンセスたちを描いて、演出家の「宝塚には! 宙組には! こんなに素敵なプリンス(=男役)&プリンセス(=娘役)たちがいます!!!」という心の叫びが炸裂するにぎやかな舞台。「PRINCE OF LEGEND−トキメキが大渋滞−」(作詞/野口幸作、作曲/青木朝子)もポップに弾んで楽しい表題曲である。「伝説の王子選手権」は3年に一度しか開催されないけれども、考えてみれば、宝塚歌劇を観る観客の心の中では常にプリンス&プリンセス選手権が開催されているような。そう思いながら「伝説の王子選手権」の最終バトル「王子ミュージカル対決」で繰り広げられるさまざまな宝塚作品のオマージュを観ると味わい深い。
桜木演じる主人公朱雀奏が「壁ドン対決」の練習をしているあたりでG.I.オレンジの「サイキック・マジック」が流れて、なぜこのマニアックな曲が? と思ったのだけれども(G.I.オレンジは日本でのみ流行った80年代のイギリスのアイドル・バンド。再結成して2015年に久方ぶりに来日、あひるの地元高円寺で一夜限りのライブが行なわれたので歩いて聴きに行った話は<G.I.オレンジin高円寺>http://daisy.stablo.jp/article/448445008.html?1764597419でお読みください)、『PRINCE OF LEGEND』ドラマ版&映画版の挿入歌として朱雀奏役の片寄涼太がカバーしていたことを今回初めて知りました!
『BAYSIDE STAR』(作・演出/齋藤吉正)は世界の港町を舞台に繰り広げられるショー(演出家と新トップスターは港町横浜出身)。表題曲「BAYSIDE STAR』(作詞/齋藤吉正、作曲/多田里紗)の「♪BAY! BAY! BAY! BAYSIDE STAR」というくだりをつい「♪BAY! BAY! BAY! BAY! BAYSTAR」と歌ってしまい「横浜DeNAベイスターズ」を思い浮かべがちなあひる(確信犯? 演出家の作品『JAGUAR BEAT−ジャガービート−』のクライマックスで流れたのはフジテレビ系のプロ野球中継のテーマ曲「Jaguar」だった)。横浜から出発して世界の港町をめぐり、神戸、そして宝塚へと至るという筋立てで、南アフリカ・ケープタウンの場面ではブレイキン、アルゼンチンのブエノスアイレスの場面ではタンゴと、音楽的にもダンス的にもバラエティ豊か。サンフランシスコのシーンでは、ドジャース「17」やジャイアンツのユニフォームに身を包んだ野球ファンたちが「Take me out to the ballgame」を歌い踊る場面も(大リーグ中継でこの曲が流れると、自分の中の9歳くらいの野球好き少女を召喚して歌います)。「威風堂々」に乗っての黒燕尾服のダンス・シーン、見応えあり。
新トップスター桜木みなとに、何だかもうずっと前からトップを張っているような雰囲気あり。一つ前の東京宝塚劇場公演『宝塚110年の恋のうた』で桜木は「俳優(わざおぎ)の八千代」を演じ、宝塚歌劇110年の歴史へと観る者をいざなった。宝塚歌劇の至宝と謳われた大スター春日野八千代にちなんだ役名だけれども、春日野は「白薔薇のプリンス」とも呼ばれた人、まさに“PRINCE OF LEGEND”。桜木はさまざまなスターの美点を自分の個性とブレンドさせた男役像が非常に魅力的なのだが、前作でレジェンド中のレジェンドの魅力も吸収したのかも。そして桜木は「組子も観客も一人残らず笑顔に!!!」と言わんばかりの満面の笑顔で舞台を務めるプロフェッショナリズムの持ち主である。客席でちょっとばかりブルーな顔をしていようものなら笑顔ビーム攻撃でたちまち笑顔になってしまうような。そんな桜木相手に春乃がのびのびとした舞台を展開、宙組生たちの前へ! 前へ! というエネルギーが両作品ともすごい。桜木の同期、宙組新加入の水美舞斗&愛すみれもそれぞれの個性で援護射撃〜。
桜木演じる主人公朱雀奏が「壁ドン対決」の練習をしているあたりでG.I.オレンジの「サイキック・マジック」が流れて、なぜこのマニアックな曲が? と思ったのだけれども(G.I.オレンジは日本でのみ流行った80年代のイギリスのアイドル・バンド。再結成して2015年に久方ぶりに来日、あひるの地元高円寺で一夜限りのライブが行なわれたので歩いて聴きに行った話は<G.I.オレンジin高円寺>http://daisy.stablo.jp/article/448445008.html?1764597419でお読みください)、『PRINCE OF LEGEND』ドラマ版&映画版の挿入歌として朱雀奏役の片寄涼太がカバーしていたことを今回初めて知りました!
『BAYSIDE STAR』(作・演出/齋藤吉正)は世界の港町を舞台に繰り広げられるショー(演出家と新トップスターは港町横浜出身)。表題曲「BAYSIDE STAR』(作詞/齋藤吉正、作曲/多田里紗)の「♪BAY! BAY! BAY! BAYSIDE STAR」というくだりをつい「♪BAY! BAY! BAY! BAY! BAYSTAR」と歌ってしまい「横浜DeNAベイスターズ」を思い浮かべがちなあひる(確信犯? 演出家の作品『JAGUAR BEAT−ジャガービート−』のクライマックスで流れたのはフジテレビ系のプロ野球中継のテーマ曲「Jaguar」だった)。横浜から出発して世界の港町をめぐり、神戸、そして宝塚へと至るという筋立てで、南アフリカ・ケープタウンの場面ではブレイキン、アルゼンチンのブエノスアイレスの場面ではタンゴと、音楽的にもダンス的にもバラエティ豊か。サンフランシスコのシーンでは、ドジャース「17」やジャイアンツのユニフォームに身を包んだ野球ファンたちが「Take me out to the ballgame」を歌い踊る場面も(大リーグ中継でこの曲が流れると、自分の中の9歳くらいの野球好き少女を召喚して歌います)。「威風堂々」に乗っての黒燕尾服のダンス・シーン、見応えあり。
新トップスター桜木みなとに、何だかもうずっと前からトップを張っているような雰囲気あり。一つ前の東京宝塚劇場公演『宝塚110年の恋のうた』で桜木は「俳優(わざおぎ)の八千代」を演じ、宝塚歌劇110年の歴史へと観る者をいざなった。宝塚歌劇の至宝と謳われた大スター春日野八千代にちなんだ役名だけれども、春日野は「白薔薇のプリンス」とも呼ばれた人、まさに“PRINCE OF LEGEND”。桜木はさまざまなスターの美点を自分の個性とブレンドさせた男役像が非常に魅力的なのだが、前作でレジェンド中のレジェンドの魅力も吸収したのかも。そして桜木は「組子も観客も一人残らず笑顔に!!!」と言わんばかりの満面の笑顔で舞台を務めるプロフェッショナリズムの持ち主である。客席でちょっとばかりブルーな顔をしていようものなら笑顔ビーム攻撃でたちまち笑顔になってしまうような。そんな桜木相手に春乃がのびのびとした舞台を展開、宙組生たちの前へ! 前へ! というエネルギーが両作品ともすごい。桜木の同期、宙組新加入の水美舞斗&愛すみれもそれぞれの個性で援護射撃〜。


