藤本真由
(舞台評論家・ふじもとまゆ)
1972年生まれ。
東京大学法学部卒業後、新潮社に入社。写真週刊誌「FOCUS」の記者として、主に演劇・芸能分野の取材に携わる。
2001年退社し、フリーに。演劇を中心に国内はもとより海外の公演もインタビュー・取材を手がける。
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雪組東京建物 Brillia HALL公演『DayDream Dali』[宝塚]
ときにぴよ? となったり、そこはもう少し掘り下げてほしいな……と思うところなきにしもあらずなれど、そんな作品世界の混沌を一身に受け止め、最終的には宝塚作品の主人公らしく“愛”の力で押し切ったサルバドール・ダリ役の瀬央ゆりあの男役としての包容力が光った。優しさあり、弱さもあり、そしてダリ髭&エキセントリックにファッショナブルな衣装が似合う。その妻クイーン・ガラ役の輝月ゆうまは、男役らしく凄んでみせたりする一方でキュートな一面を見せるところもあり、高音も歌い切って、もっと女性役、そして女優姿を観てみたいと思わせる演技だった。ときに対立あれど、二人が演じる夫婦の関係性にほっこりとしたかわいらしさがあるのが、ファンタジックな作品として後味のよさを感じさせて。ダリの愛人アマンダ・リアとヤング・ガラの二役を演じた星沢ありさもまっすぐな演技で今後が楽しみ。かなりひねった設定の作品に雪組生たちが挑む姿◎。ちなみに、ルネ・マグリットと同じベルギーのポール・デルヴォーも、絵の中に入って遊べるから好きなのですが、あるとき横浜美術館でデルヴォーの「階段」の中にひとしきり入った後、隣にあったダリの「ヘレナ・ルビンシュタインのための装飾壁画 幻想的風景」三連作にも入ってみよう! と試みたところ、自分がドリルになってキュインと地を掘り進んでいくみたいな気持ちになったので(デルヴォーの絵には普通に入って歩いたりできる)、……ダリってやっぱり変、と思った記憶あり。


