大阪松竹座さよなら公演「御名残四月大歌舞伎」夜の部『菅原伝授手習鑑 寺子屋 寺入りよりいろは送りまで』Aプロ[歌舞伎]
 他者のそれをも認めた上で、己の人生の理不尽を引き受けて生きること。――そんな、片岡仁左衛門による舎人松王丸の演技。考えてみれば人は、この世に生まれ出たいと願った上でこの世に生まれ出てこないわけで。首実検の最中も、仁左衛門の松王丸の心の中にはずっと、父や兄弟、幼き日の思い出が渦巻いている。そのうねりが劇場空間を満たしていくのを感じていた。

(4月15日、大阪松竹座)