放映順〜。

 カレン・チェン。
 音楽のとらえ方が好きである。観ていて心地いい。ヘアメイクは改善の余地あり。

 紀平梨花。
 蒼い衣裳がとてもよく似合っている。いつもながら衣裳のセンス◎。
 難しい曲である。新境地を拓こうとするプログラムである。それに挑戦する紀平も立派なら、挑戦させる振付のシェイ=リーン・ボーンも立派である。私は、手の動きなど、紀平梨花の優雅さ、エレガンスを愛するものだけれども、このプログラムで求められているのは必ずしもエレガンスではないと思う。新たな引き出しを作るチャンス!

 エフゲニア・メドベージェワ。
 完全覚醒。胸がきりきりと締めつけられた。
 ――一本の道。一人、歩いていく彼女。その姿が、地面にくっきりと影を落とすのを観ていた。その様を目の当たりにした私の心にも、陰影が象られるのだった――。
 フィギュアスケートに出逢ったこと。誰かに出逢ったこと。その意味は、貴女自身が、貴女の人生をかけて自分で見つけていくものです。19歳で答えなんて出ません! でも、個人的には、平昌五輪のフリースケーティングを観たときから、貴女は美に生きるのが向いている人なんじゃないかな…とずっと思ってきたので。これまで観てきた中で一番好きな演技。

 イム・ウンス。
 心配一切無用!!! 美の前に国境なし。
 転倒はあったけれども、想いのこもった演技だった。衣裳の色が少々ダークで重すぎるような…(ヴァーミリオンあたりの方が曲と振付に合いそうな…)。

 アレクシア・パガニーニ。
 これまた、ジャンプのタイミングを合わせるのが難しそうな曲。爆発したら、会場が非常に盛り上がりそうなプログラムである。

 羽生結弦。
 大いに迷うべし!!! ←若者の特権。
 ただし。ケガには注意されたし←祈り。
トリプルアクセルあたりの流れは完璧に身体に入っていて、空気と一体になったかのように美しかった。
パフォーマー、クリエイターと評論家の関係。――敵ではない。ライバルでもない。異なる立場で共に美を創っていく間柄だと思うものですが。

 チャ・ジュナン。
 祝! 脱「羽生結弦」!
 例えば、力強さにしても、羽生結弦はしなやかでいて鋼のような強さが魅力の一つである。この日の演技で観られたチャ・ジュナンの力強さは、やはり方向性が全然違う。今シーズンは、チャ・ジュナン自身の魅力をたくさん発見できそう。
 
 ケヴィン・エイモズ。
 難しいリズムの曲をよく自分のものにしていて、お手本になりそうな演技。さらなる滑り込みによって観られる世界が非常に楽しみである。アクロバティックでトリッキーなフィニッシュも曲とぴったり決まって、すごくいい! と思ったらパーソナル・ベスト大幅更新。

 キーガン・メッシング。
 シンプルなコスチュームにしっとりとした曲、切々と心情が伝わる好プログラム。トリプルルッツ、美! スピン超高速! 昨シーズンより一段と腕を上げた感あり。
 10歳で移り住んだカナダ。優しく迎えてくれた人々。多民族が支え合って暮らす国。私には、一つの理想郷に思えました。その国こそ、私が初めて接した「世界」です。
2019-09-14 23:59 この記事だけ表示
 ――不死鳥。いくたびも、いくたびも、甦り、立ち上がり、舞い、跳ぶ。それは、人の心にも似て。肉体は滅びるとも、魂は死なず。
 松任谷由実は、昨年末の「紅白歌合戦」の歌唱より断然心がこもっていた。私は、ユーミンの歌と共に、少女から大人になった世代です。

注)パフォーマンス時のナレーションは受信の大いなる妨げなり!
2019-08-24 22:39 この記事だけ表示
 放映順〜。

 三浦璃来&市橋翔哉。
 今日の方が二人の動きが合っていたと思う(昨日のショートでは、女性はせかせか、男性はゆったりとしているように見えた。同じ振りでも、身体の大きさが違うとそれだけで違った振りのように見えたりすることがある)。いいコンビだな…と感じる。

 ブレイディ・テネル。
 さまざまなバージョンの「ロミオとジュリエット」の音楽によく合った演技だった。運命を懸命に生きようとするジュリエットが見えた(前は、…これ、ティボルト? …と思うほど強さが強かった…)。

 エリザベータ・トゥクタミシェワ。
 今夜の彼女のような表現世界を展開した人は、男子選手にはいても、女子選手で観たのは世界初。
トリプルアクセルがエロティックな美と自然に結びついている様は、他ではあまり観たことがないかもしれず。スポーティで、セクシー。だから、彼女の体現する色気には、濃厚かつ清新という、複合的な魅力がある。トリプルアクセルというジャンプにさまざまな表現の可能性が広がっていることを、その姿に教えられる。
 それぞれの選手が望むだけ長く、その人の選手生活が続けばいいな、そのための環境が整うといいなと常々思っていて。だって、みんなそれだけフィギュアスケートを愛して、続けてきたのだろうと思うから。ビバ! エリザベータ・トゥクタミシェワ。来シーズンの演技もますます楽しみ!

 紀平梨花。
 身体が固い〜と心配になったけれども、心は固くなくて安心。しなやかに、志が高かった。決意の滑り。
もちろん、無理やりいろいろなものを背負ってしまう必要はないと思う。けれども、今の時点で気づきがいろいろあったことで、ますます大きな可能性を秘めていることを、自分自身で証明したわけだから。自分で考えて出した結論が一番。大丈夫! そんな貴女の一歩で、世界も確かに変わっていっています。
2019-04-13 23:46 この記事だけ表示
 放映順〜。

 三浦璃来&市橋翔哉。
 「Cry Me A River」の曲を表現しようという気持ちは伝わってきた。二人の音楽の感じ方をさらに合わせるようにしていくといいのでは?

 小松原美里&ティム・コレト。
 リズムダンスの曲より、今日の音楽の方が合っているように感じた(リズムダンスでは、女性の衣装も配色が少々気になった)。今日は、演技の冒頭からひきこまれるものがあり、優美さも感じられた。

 ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン。
 演技が大きい! 自分の前を吹き抜けていく一陣の風――目には見えないはずの――を見るような陶然。

 マッテオ・リッツォ。
 クイーンの楽曲のメドレーと、心を一体化させていこうという演技。私にとっても心に響くところの多いクイーンの曲を分かち合えるのがうれしい。「Don’t Stop Me Now」でのステップでは魂が炸裂!

 田中刑事。曲はロッシーニの「ウィリアム・テル序曲」
 ダイナミックでほれぼれする大きなジャンプ!
 どんどんのってきて、――彼の身体が、ウィリアム・テルがきりりと絞る弓のように見えた。そこから放たれた矢はビューンと飛んでいって、観る者の心に突き刺さるのだった。
 ――そして私は、彼が滑りながら感じているのであろう風を、我が身にも確かに感じた…!

 宇野昌磨。曲はベートーヴェンの「月光」。
 世界をあまねく煌々と照らす月の光に、敢然と己が身をさらけ出して立つ人がいた――。
 …周りを思いやる、本当に優しい人だな…と、でも、その優しさがときに彼自身を苦しめることはないのかな…と、観ていてちょっとつらかったから、昨夜は書けなくて…。
 今宵の闘う宇野昌磨、私はとても好きです。

 ヴィンセント・ジョウ。
 軽々すぎて、4回転ルッツが4回転に見えない〜。あれだけ跳べるのはすごい。

 ネイサン・チェン。
 こちらも、観ていて楽しかった!
 …私自身、つい最近まで、誰かが訳してまで自分の文章を読みたいと思うようなことになるとは思ってもみなかったから、まあ、出会いが遅くなってもしかたない――日本語は、話し、読み書きする人が世界でも少ない言語だから。でも、そんな出会いがあちこちで起きてきたことで、私自身、「自分にとって母国語とは」というテーマに行き着くことができたので。
 私が、誰かの心に届くようなことを書けているのだとすれば、それは、私が評論家という形で携わっている、日本舞台芸術界がすばらしいところだからだと思います。
 アメリカ文化でいうと、個人的には最近、アーサー・ミラーの戯曲に感銘を受けることが多いです――アメリカという国から、世界的な普遍性を提示した知性であると、改めて感じます。
 貴方が多くの人々に支えられてきたように、後に続く人々を支えていってあげて!
2019-04-12 23:19 この記事だけ表示
 放映順〜。

 ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン。
 ツイズルの際の動きのシンクロ率がすごい。そしてパパダキスが実にセクシー。タンゴにのって、愛を求めるひりひりとした激しい想いがかきたてられるような、情熱的なダンス。――男性が女性を遣う、文楽のようにも見えた。

 エリザベータ・トゥクタミシェワ。
 よけいな力みが抜けていて、トリプルアクセルも自然で軽やかな美しさ。
 …自分をあざ笑っていたかに見えた“運命”を乗り越えて、自らの手で新たな運命をつかみ取った、強い女性がそこにいた。あざ笑っていたものに、にこやかに微笑み返す、彼女のその表情は実に妖艶だった…!
 フィギュアスケートによって、大人の女性の美の可能性もどんどん拓かれていってほしいと私は思います。世界選手権、貴女がいなくてさみしかった。紀平梨花との美のトリプルアクセル合戦が、今後も楽しみ!

 ガブリエル・デールマン。前半は颯爽とした強さがあったのだけれども。

 マライア・ベル。
 互いに認め合った上で競い合い、高め合っていく、スポーツの闘いっていいなと感じた。相手を負かして倒す虚しい戦いとの、それが大きな違い。今日の演技、芯があってとてもよかった!

 紀平梨花。
 今日の演技は美美美美美!!!
 一つ大人になった貴女なら、これから新たな物語を切り拓いていける。一歩一歩、一緒に進んでいきましょう。

 ブレイディ・テネル。
 これまでだと、「強い!」というのがまず前面に来ている感じがあったのだけれども、今日の彼女の演技からは、しなやかな糸を何本も束ねて丹念に編み上げていったような、繊細さによって培われた強さを感じた。まだ行ける!

 田中刑事。
 自信みなぎる男はかくも美しい!
 もっともっと内なる美を開花させて、世界を大いに翻弄しちゃって!!!

 マッテオ・リッツォ。
 美しい自然、晴れ渡る青空――街の裏通り、影差す石畳の道。笑いの陰にある涙。決して明るいだけではない、イタリア人の心。その陰影の美しさ。

 ネイサン・チェン。
 今日は楽しかった! そして、彼の演技で初めて泣いたかも。
 平和じゃなければ、オリンピックだって無事開催されないわけだし、47年生きてきて、世界はこれでも少しずつましな方向に進んでいっていると思う――思いたい。これからも、自分も精いっぱい頑張る。そして、若い世代にはもっともっといい方向へと進めていって欲しい。期待しているから!
2019-04-11 23:11 この記事だけ表示
 …男子フリースケーティングの羽生結弦の演技の際の聴覚と視覚の記憶が、またしても、ない。「ロシア杯2018」男子ショートプログラムの「秋によせて」の演技のとき同様、吹っ飛ばされている。辛うじて残っているのは、意識がホワイトアウトしそうになった瞬間の画面の記憶のみ。
 文章も、…本当に自分が書いたものなのかな…と思ったりもする。それだけ、あの文面は、自分の内に在った時間が短かった。演技を観ているとき、心か頭の電光掲示板に浮かんだ文言を、まるで「イタコ」か何かのように自分の外に出していった。「使命創生」のタイトルがぱっと浮かんだ瞬間は、今でもはっきり覚えている。あの文章がこの世に存在するために、私という人間の肉体が必要とされていたような、不思議な気持ち。

 …それで、私は、…羽生結弦があんなにも美しい演技をするのだったら、自分は、もっともっと立派な評論家にならなければならない、美についてさらなる確固たる見解と言葉を持った評論家にならなければならない…と思って、男子フリーの翌日も午後から早速劇場に行き、会見に行き、取材に行き、原稿を書き…と、この二週間、休みもなく少々頑張りすぎて、昨日あたり疲れすぎておかしなことになっていた。人間、つくづく無理はいけません。
 ――蜷川幸雄に対して、思っていた。どうして年齢が父と子ほど違うのだろうと。どうして同じ世代に生まれなかったのだろうと。タイムマシンができたなら、まっさきに行きたいのは1960年代だった。その時代の蜷川幸雄の舞台を観たかった。――そして今、羽生結弦に対して、思っている。どうして年齢が母と子ほど違うのだろうと。どうして同じ世代に生まれなかったのだろうと。昨年の12月7日、彼が誕生日を迎えて24歳になって、思ったのは、…あ、これでやっと、倍以上の年齢じゃなくなった…ということだった。これから先は、私の年齢を彼の年齢で割っても、その数はただ1へと近づいていくだけ。
 否。「どうして」は、いい。Why? はいい――要らない。今生、そのように出逢った。その運命のもと、出逢った相手と進んでゆくだけ。その道の続く限り。

 たとえどんなに仕事が忙しかろうが、その合間には、桜の花見もしなくてはいけない。花は、桜は、待ってくれない。人間の気持ちや都合など、おかまいなしに咲いてしまう。
 私の花見は、基本的には一人で、桜の咲いているところをどんどん歩いていくスタイルである。そうして、そのとき浮かんだ想い――美しいものに向き合ったときの想い――を心にためておく。次に見られるのは一年先だから、できるだけいっぱいためておかなくては。
 今年の桜は、何だかとても幸せな桜だった。日本の春の、今だけのその美しさを愛でに、世界中、遠くからやって来た人の姿も多く見た――分かち合う幸せも知った。蒼空の下、桜吹雪に吹かれながら、満開の桜を見上げると、――私が心から愛する多くの人々の笑顔が、花の向こうに、きらきら光って揺れていた。多くの人々の心と共に在る美。それが私の今年の桜なのだった。

 「春よ、来い」にのって舞うエキシビション。
 ――美の彼岸に在る湖で、白鳥が舞う姿を観るとしたら、こんな気持ちになるのかもしれない――。

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 ↑最近着ているカーディガン。
2019-04-08 23:59 この記事だけ表示
 …このところめちゃめちゃ忙しくて、3月24日深夜地上波放映分だけですが、やっとゆっくり落ち着いて観られました。

 宇野昌磨。
 …じわーっと涙を浮かべて観ていた。
 確固たる芯が一本通っていて、でも、芯の周りはふわっとしていた印象だったのが、ここへ来て、その芯がどんどん太くなっていっているのを感じる。
 宇野昌磨がいたから、私は、多くの仲間と共に歩んでいく道を選べたのだと思う。出逢ってくれて本当にありがとう。

 紀平梨花。
 16歳にして、独自の世界観の作り方を確立していっている。
 …彼女なら、日本の女子選手とトリプルアクセルの因縁を変えてゆけるかもしれない…と思った。

 ネイサン・チェン。
 …男子フリーの翌朝、それはすさまじい怒りで目覚めた!
 どうして、自分の才能を使って、社会を、世界をよりよくしていこうという発想にならないの?
 美を多少は意識した分、エキシビションの演技はフリーよりは全然よかった。世界と、自分の中の美を信じるところからまずはスタート。
2019-04-08 23:58 この記事だけ表示
 …待っていた。運命を共に踊る相手が、再び姿を現すのを。始めたのは、彼だ。強い力で、私の心を、この世界に引っ張ってきた。…否、彼でもないのかもしれない。人智を超えた力なのかもしれない。
 フィギュアスケートを芸術にする。始めたのは、貴方です――もちろん、フィギュアスケートの歴史の中で、そう考えた人は貴方が初めてではないと思う。けれども、私がこの生において目撃すべく宿命づけられたその最初の人は、貴方だから。
 今夜、氷上に舞う選手たち、…自分がやっていることは、芸術になり得るのかもしれない…と知った選手たちの表情は、一様に明るかった。晴れやかだった。幸せそうだった。そんな表情を観ていて、幸せだった。もっと観たい…と思った。会場の、テレビの前の、多くの観客がそう思ったことでしょう。心には国境がない。だから、美は国境を越えていく。芸術を、フィギュアスケートを通じて、異なる国々の人々の相互理解が深まって、この世から虚しい争いがなくなる日を、私は本気で夢見ているのです。
 羽生結弦が、羽生結弦の使命に気づけてよかった。そして、その演技は、私に新たな使命をも創り出した。使命を生きる羽生結弦を、変わりゆく世界を、目撃すること。書き表すこと。後世の人々に伝えること。そうして私は歴史の一部になる。私自身の生の長さを越えて遥かに続く、雄大な時間の一片となる。生きる意味――その凄まじい幸福感に、観ていて一瞬、意識がホワイトアウトしそうだった――。
2019-03-23 23:59 この記事だけ表示
 本日、地元の商店街を歩いていたらば。それぞれに異なるふくろう(本物です!)を肩に乗せた方たち総勢四人とすれ違い。年がら年中、学園祭が行なわれているみたいな自由な街、高円寺の長年の住民としてもかなり動揺、思わず近くにいた方に「…今の、ふくろうでしたよね???」と同意を求め。少し歩いて、はっと思い出す。…あれはもしや、高円寺駅近くでふくろうカフェを経営していた、フィギュアスケート元オリンピック代表…。
 放映順〜。

 キーガン・メッシング。
 最初はちょっともやっとした感じだったけれども、「スマイル」のあたりから想いがにじんで、見応えあり。
 笑いの感覚は国によって異なるので、このあたり、非常に難しいのだけれども。「僕、おどけてます」というのがあまり前面に来るより、あくまで真面目に演じている様が他人から見るとおもしろいという感じで自然に笑いを誘った方が、コミカルな演技にもバリエーションが出るような。そこのバランスがいいときの演技は楽しく観ています。

 ウラジミール・リトビンツェフ。ところどころスケールの大きさが感じられて、今後に期待。

 アレクサンデル・マヨロフ。ラストは晴れやかに。

 チャ・ジュンファン。長い手足を大きく使えているときはとても目を引く。自分自身の個性を発揮しようとしつつあったのもよかった。

 田中刑事。
 グランドでエレガントな彼のスケーターとしての魅力が発揮された演技だった。息を呑むコンビネーション・ジャンプ。スピンの際の手の動きをきちんと表現に高められている、世界でも数少ない存在。軽やかなステップの浮遊感。スリルとアドレナリンでゾクゾクした。
 名前を知っている人だとしても、挨拶をする仲だとしても、必ずしも人と人としてきちんと出会っているわけではないように思う。ただ、私は、演技を通じて、その人ときちんと出会ったな…と感じられる瞬間があって、その時々が幸せである。いろいろ書きました。そして、今、思う。田中刑事選手に出会えて、よかった!

 ミハイル・コリヤダ。
 子供のころから滑りたいと願っていたというだけあって、『カルメン』の楽曲の多様な魅力を引き出し、氷上に描き出す、素晴らしいパフォーマンスだった。身体の奥からカーッと燃えてくる感じ。その演技に、昔、スウェーデンのストックホルムで観たオペラ『カルメン』における熱さ、暑さの表現を思い出した。暑い国だと気候と体温とが同化するのに対し、寒い国では熱さは寒さとの対比で表現される傾向にあるような。

 モリス・クヴィテラシビリ。
 途中から気持ちが入ってきて、ぐっとよくなった。優しい人である。私にとってグルジアは、振付家ジョージ・バランシンのルーツであると同時に、ニーナ・アナニアシヴィリの母国と、バレエに秀でた才能を輩出した国のイメージがある。これからの彼の表現も楽しみ。

 アンドレイ・ラズキン。
 淡い色彩のパステル・タッチで、幸せそうな恋人たちの姿がフラッシュバックのように描き出される、実に見応えのあるパフォーマンス。こんな素敵なロミオに愛されるジュリエットは幸せ者!

 ケビン・エイモズ。
 個性的な振りを端正にこなす姿が印象的。――デモに揺れる昨今のフランスに、『ベルサイユのばら』で描かれるフランス革命の様を重ねて見てしまっているところのある自分に気づかされた。

 ボーヤン・ジン。髪型もかなり改善、ジャンプ以外の要素、動きも磨かれてきていて、演技全体、楽しめるようになってきた。ラスト、魂の炸裂!

 ミハイル・ブレジナ。
 ハードでワイルドな踊り。私も、黒の革ジャンとスカートでばっちり決めて、挑発的なまなざしで、彼を見据えて一緒に踊りたかった!

 ヴィンセント・ゾウ。手の動きや上半身の開きといったあたりが中途半端で、止めるの? 伸ばすの? 流すの? と疑問を抱かせるところを、きっちり調整していったらいいのでは? それと。エキシビションでa-haの「Take On Me」を滑るなら、せっかくプロモーション・ビデオのモートン・ハルケットの服装までバッチリ再現しているんだから、ポップで軽快な表現を頼む!!!

 宇野昌磨。
 …舞台や演技を観ていて、「この人、素敵!」と思うと、私の心の中には、その人に対する想いを貯めるダムがボンと出現する――レッドカードやイエローカードで土砂が溜まって、肝心の想いが溜められなくなって閉鎖せざるを得ないこともたまにあるけれども。そうやって次々ダムを出現させる力があるというか、世間的には“惚れっぽい”って言うんでしょうね。思えば、幼稚園三年で毎年好きな男の子が変わったり、昔から惚れっぽかった。今は職業上活かせているから、よし。
 スケート以外でも世界が広がる方が、スケートに新たな魅力が増すと思います。それと、念のため。くれぐれも、せっかく退治しかけた“魔物”の場所に、新たな“魔物”を置くようなことはしないように。けれども。“翻弄する月の光”という表現はセンスがいいと思うし、翻弄される男も演じられる方が芸の幅も広がって◎。

 マッテオ・リッツォ。
 クイーンのメドレーに乗って、楽しい演技を披露。氷上で演じる才能を非常に感じさせる人である。「Don't Stop Me Now」は観ているこちらもノリノリ。願い通り、イタリアでフィギュアスケートがもっともっと盛んになっていきますように! 止めるものはない!

 ネイサン・チェン。
 自嘲。愚痴。観ている方がよっぽど空しいって。
2019-03-23 23:59 この記事だけ表示
 昼を観たら夜が観たくなり、夜を観たらまた昼が観たくなる、無限ループが恐ろしい歌舞伎座「三月大歌舞伎」なのだった。昼の部は近松、夜の部は黙阿弥、その日本語の美しさ。海外客の姿もちらほら、カナダのカルガリーからやって来た方とお話しちゃいました。
放映順〜。

 ガブリエル・デールマン。ところどころ、空にシャープに切り込んでいくような動きに魅せられた。

 ブレイディ・テネル。今日はジャンプも安定、ダイナミックさとキレと気迫があってよかった! ので、前々から感じていたことを。バレエや映画、さまざまな『ロミオとジュリエット』からの楽曲で構成されていて、音そのものの表現としては合っているかなと思うのだけれども、『ロミオとジュリエット』の中の誰かを表現したりしているのだとしたら、誰なのか、さっぱりわからん…。

 宮原知子。
 内なる炎が燃えていて、素晴らしかった! 今日の貴女はとても綺麗でした。
 一度きりの人生、悔いなきよう!

 紀平梨花。
 ずっと背筋がゾクゾクしていた。決然とした潔さが美しい演技。…人ってときに他人に対してものすごく無責任な興味の持ち方をするんだな…と知った(そして、傷ついた)、18歳の春を思い出した…。
 好きでやりたいことがある人、その道を一心に歩めている人は、それだけでうらやましがられるところもあるのだと思う。ましてや、その好きにずば抜けた才能があるとなれば、なおさら。貴女が、世界を幸せにできるその才能を存分に発揮できるよう、いつも祈っています。今日のトリプルアクセル、観ていてスカッとした!

 エフゲニア・メドベージェワ。
 一皮むけた、会心の演技! 平昌五輪のフリースケーティングの後、「…君も芸術をやらないか?」と思った、その大きな一歩が今踏み出された感が。

 坂本花織。
 …世界に連れて行ってくれて、ありがとう。ものすごい場所で闘っているんだな…と、気持ちよさと同時に、ちょっとくらくらしたことでした。
 世界選手権デビューにして、すでに堂々たる風格を備えた坂本花織のスケートが好きだ!

 エリザベート・トゥルシンバエワ。タンゴの楽曲をとてもよく体現した滑りで、楽しさも感じられて、よかった! カザフスタンという国のこと、彼女のスケートを通じてもっと知っていきたい。
2019-03-22 23:59 この記事だけ表示