放映順。

 島田高志郎。ステップシークエンスがよかった。どこか、せつない慕情のようなものを感じて。長い手足を活かせばもっとダイナミックに見えてくると思うし、決めるところはきちっと決めるとなお良し。あひるはタンゴを聴くと、内面がカッと燃え上がるのを感じたりするのだけれども、彼が「ブエノスアイレスの冬」の音楽をどう感じて滑っているのか、全日本選手権での演技に期待。

 ネイサン・チェン。…観てるんだけどね! そして、彼のスケート愛に、今までになく心打たれた。正直、昨シーズンまでは、…ヴァン・ヘイレンの「Jump」か、ポインター・シスターズの「Jump (For My Love)」で滑ってくれると楽しめそうだなと思っていた――と言うと、夫が必ず「♪とんで とんで とんで とんで とんで とんで とんで とんで とんで まわって まわって まわって まわる」(円広志『夢想花』)を提案してくるのだが、いや、それ日本語の歌だしね…と。でも、最近はまったくそのようには思わなくなってきて、今日の演技もジャンプよりスピンの美しさに見入っていた。あなたは美の仲間です!

 宇野昌磨。後半、集中していて、非常によかった。
 …何に美を見出すか、どんな美を体現し得るか、それは本当に人それぞれであって、私もすべてのツボを知り尽くしているわけではまったくない。けれども、一人一人が心にある美を持ち寄っていけば、この世界はもっと美しいところになっていくのではないか…という信念があるから、一人でも多くの人の内なる美について知りたいと日々願い、努力し、そうして知り合った人々を仲間として、これからも歩み続けたいと思っているものであって。だから、自分の中にはそれがないんじゃないかと思わないで、これからも一緒に見つけていこうではないですか。
 それと。四回転ジャンプもいろいろな種類が跳べた方が有利なように、伝える想いもいろいろな種類があった方がいいな…と。想い一本だけだといつか限界が来る(スケートではないところで、そういう例を知っているので)。何だっていいと思う。好きでしているゲームがどんな風に楽しいかとか、そのゲームとスケートとの共通点、相違点とか。もしかしたら、その中に美のツボが見つかるかもしれないし。
 さらに話を広げていくと。さまざまなフィギュアスケーターがいて、それぞれがそれぞれの魅力を発揮している、そういう方が、観る側にとっても間口が広くて入りやすい。芸術表現にひかれる人もいれば、ジャンプの高さに魅力を感じる人もいるわけで。肝心なのは、「この競技、こんなおもしろさも、こんなおもしろさもあるんだ!」と、一人でも多くの人に思ってもらえることではないかと。大丈夫、宇野昌磨には宇野昌磨にしかない魅力がちゃんとあります!
2018-12-08 23:20 この記事だけ表示
 日帰り出張&年末進行で遅くなった!

 ネイサン・チェン。自分だけに滑れる美を、明確に追求し始めた。

 宇野昌磨。顔色がよくないように見えて…。落ち着いて〜〜〜! と祈るような気持ち。しかしながら、心と身体がバラバラな中でもここまでまとめられるんだ…と思い、そこにいつもとは違う、妙な迫力を感じた。氷上に突き刺さるようなトリプルアクセルに力強い美しさ。

 エリザベータ・トゥクタミシェワ。…涙が出そうだった。人生の不条理を表現に昇華させられれば、美の道が見えてくるのだけれども。

 紀平梨花。…貴女はいったい、どこからやって来たの…? 月の女神に見守られて舞う、この世の者ではない存在――。その演技に見入っていたら、…途中で、月の光が一つ一つの音符となって、私の心と身体に、バラバラと突き刺さってきて…。ドビュッシーの「月の光」をそんな風に聴くことができたのは、初めてだった。茫然と観ていた。
 どこまでも高く、どこまでも遠くへ、一緒に行きましょう。

 宮原知子。自分で答えを出すしかありません。私はここにいます。

 坂本花織。ますます大人の女性になって、トリプルループが美しかった…。
 …それはそうと、バンクーバー、楽しんでる? 昨年秋、あひるもバンクーバーに出張したけれども、久しぶりに食べるカナダの野菜と果物、味がぎゅっとつまっていて、本当においしくて…。バンクーバーの近くに、オカナガン・ヴァリーというワインの名産地があって、そこで採れる果物は格別! 日々のすべてを味わって、楽しんできて!
2018-12-07 23:31 この記事だけ表示
 本田真凛。一緒に踊りたくなるような楽しいプログラム! 自然な笑顔もかわいくて、この人の演技をもっと観たい、もっと本領発揮する姿を観たいなと思った。
 田中刑事。いつもどこか肩を落としているようなところがあったのだけれども、その長身の身体にふさわしい堂々とした雰囲気が出てきて。音楽の表現にも非常に引き込まれるものがあった。あひるの中では最近毎回自己ベスト更新。
 三原舞依。ふわあっと舞い上がる彼女のジャンプが大好きである。彼女の演技を観ていると、生かされていることへの感謝、その大切さを忘れたくない…と強く思う。魔法にかかったシンデレラ。でも、内なる大輪の花を開花させたのは、魔法じゃなくて、彼女自身!
 紀平梨花。自然現象になってしまったフリーから一転、16歳にして、少し妖艶さもただよう、かっこいい大人の女性を熱演。観ていて背筋がぞわぞわ。氷上の女優スイッチが、最近いきなり入ってしまった…!
 エフゲニア・メドベージェワは…、それが青春だから!
2018-11-29 00:06 この記事だけ表示
 演技冒頭…、彼女の中にごおおっと渦巻く嵐が見えたときから、鳥肌が…! そして、演技を観終わってこうして書いている今も、身震いが止まらない。こんな16歳が、日本にいるんだ…。自然現象になってしまえる人が。異界に行ってしまえる人が。トリプルアクセルが決まっているとか決まっていないとか、そういう話ではない。というか、これでトリプルアクセルが跳べていたら、いったい何が見えるのか…。
 思わず、名作演劇漫画『ガラスの仮面』の名台詞をもじってつぶやいていた。
「梨花…おそろしい子!」
(注:大女優・月影千草が、主人公・北島マヤの演技の才能にうたれて発する台詞)
 次回の演技が楽しみ、というか、ちょっとおそろしいです。観ているあひるがこんなにおそろしいんだから、一緒に演技する人はよほど自分をちゃんと持っていないと、もっとおそろしいだろうな…。
2018-11-27 23:44 この記事だけ表示
 …途中から、涙がじわじわあふれてきて…。一つ一つの動きに引き込まれていって、…まばゆい希望の光が見えた。そして、三原舞依の中の花がぱあっと開く瞬間を、私は目撃したのだった! …なんて美しい瞬間。心が大輪の花を咲かせる瞬間!
2018-11-27 23:39 この記事だけ表示
 田中刑事。確かに最後、音楽とちょっとズレちゃったりはしていた。でも、これまで競技で観てきた中で、彼が表現したいものが一番伝わってきて、観ていて楽しかった。あとは心技体の一致〜!
 本田真凛。まだ粗削りだけれども、とりわけ前半、ところどころにとても優雅で美しい芽が見えていて。ショートプログラムのとき、彼女について書いた言葉に関しては補足が必要だと思われるので、また後日、別項で。
 ようし、ネイサン・チェンは少し美に目覚めたぞ〜!
2018-11-27 23:37 この記事だけ表示
 田中刑事。最後まで前向きな気持ちが伝わってきて、これまでより演技時間が短く感じられた。長い手足を活かした一つ一つの動きが大きく、すっきりした表情も◎。
 ジェイソン・ブラウンの演技は、「ロシア杯2018」の羽生結弦の「秋によせて」の流れに続く、男性美の新たな可能性を強く打ち出した演技。
 本田真凜。しなやかさや伸びやかさ、彼女の美点をじっくり引き出しにかかっているコーチのラファエル・アルトゥニアンに頭が下がる。「スケートアメリカ2018」のときに気になった点も解消されつつある。「自分が好き」な本田真凜より、今回のように「スケートが好き」な本田真凜の方が、断然魅力的!
 紀平梨花。画面のこちら側にまで緊張が〜。けれども、頭上で手を組んだ三回転ルッツはシャープな美しさがさらに増していたし、スピンも見惚れる。「月の光」にのって滑る彼女の姿に、昨夜の東京で見られたとても美しい満月を思い出して。
 三原舞依。彼女のふんわりとした魅力が引き立つ今回の衣装◎◎◎。内面からどんどんあふれてくるものがあって、女性ヴォーカルの「It’s Magic」に、うっとり、ロマンティックに酔うひととき。優雅な大人の女性を感じさせて。
2018-11-24 13:26 この記事だけ表示
 2017年12月25日以来、オレは友野一希のエキシビションの演技を観るのを楽しみに待っていた!!!
 なぜって。友野一希と言えば。「エキシビションがすごいらしい」&「ラーメン大好き友野くん」として有名(夜中に彼のインスタグラムを見ない方がいいです。ラーメン食べたくなります)。そして、遂にその日がやって来た!
 ロボット振り!
 カクカクとしたその動きに、笑笑笑。さすがはエンターテイナー!
 でも。フリーの「リバーダンス」から、ちょっと感じていたのである。この短期間に、彼は多くを吸収し、猛スピードで成長していっている。だから、まだまだ少年っぽい面差しに、ふと大人っぽい表情を浮かべるようになったのを。そして、エキシビションで滑る彼の姿に、初めて男らしい魅力を感じて。
 たった一回の演技でわかったみたいに書いて申し訳ない。友野一希はエンターテイナーである。と同時に、まだまだ秘めている多くの顔がある。これから、その顔を次々と見せていってくれることに期待。ラーメン食べて頑張って!
2018-11-19 23:01 この記事だけ表示
 山下真瑚。待てど暮らせど帰って来ないピンカートンを待つ、蝶々夫人の想い――。やわらかい演技で、音楽の世界に没入させてくれた。
 松田悠良。ところどころに感じさせるエレガントさ。怪我を克服してリンクに帰ってきたときの演技が楽しみ。
 白岩優奈。エキシビションの方が、一つ一つの動きをメリハリつけて滑れている印象。

 アリーナ・ザギトワは、…今シーズン、どんどん顔つきが険しくなっていっていて…。心がいつまでもつんだろうか。心配。一つだけ思いついたのは。みんなでますます楽しく滑っていって、「こっちの世界においでよ!」といざなう『北風と太陽』作戦だ!
2018-11-19 22:59 この記事だけ表示
 今、振り返ってみると、その演技を観ていたときの、音と視覚の一切の記憶が、私にはない――。
 もちろん、ニュース映像や写真を観れば、そうだ、こういう衣装でこういう演技をしていたと思うし、曲を聴けば、そうだ、こういう曲だった、と思う。でも、初めてその演技にふれた瞬間の、それが残っていない。残っているのは、まるでブラックホールのような空間で、ただ、相手の心――狂おしいまでに自らの生の意味を求める心――を受け止めたという、その衝撃だけなのである。
 人間の身体には、見るために目という器官があり、聞くために耳という器官がある。だから通常、それを用いる。だが、肉体がなく、ただ心だけが存在し得ると考えた場合、心そのもので見、聞かなくてはならない。だから、あれは、ただ心だけを、ただ心だけで受け止めるという、究極の経験だったのだ。それだけでも、この世に生を享けてよかったと思えるような類の。
2018-11-19 20:43 この記事だけ表示