たまたまオンタイムで観られました。

 本田武史。…フィギュアスケートをやっていてよかった…と愛を滑っていて、しみじみ深い感動を覚えた。川口悠子と今回だけのスペシャル・ペアを組み、共に滑る姿に包容力があった。快活で元気溌剌としたイメージだったけれども、すっかり素敵な大人の男性に。先輩、その包容力で、ときにはガツンと言ってやってください!

 織田信成。…心痛深し。感受性が鋭敏な、心優しき人なれば。…正直、あひるも先の展開が読めない。いきなり『白鳥の湖』第三幕が向かい合わせで始まって、それがまだまだ続くのか、それとも別の物語になっていくのか、わからない。でもまあ、人生は筋書きのないドラマ、たまにはスリルも必要かと。私の方では、なぜ神様がそちら方面に私をお遣わしになったのか、だんだんわかってきていて。結局のところ、”We’re all part of the masterplan”、必ずや神様がよいようにしてくださいます(参考資料:2017年12月29日付ブログ三部作)。愛こそが最大の力。愛が盾であり、矛。いつも通り、愛をもって貴方の闘いを!

 鈴木明子。10月の「カーニバル・オン・アイス2018」の「風の神の歌」は、“風”という実体のないものを表現する緊迫感にあふれたプログラムで、見応えがあった。今回は「愛の讃歌」、愛の幸せ感に満ちて、それはきらきらしていた! ちなみに、美輪明宏が繰り返し言っていることですが、「愛の讃歌」の原詞にある“愛”とは、そのためならば盗みもする、友達をも祖国をも見捨てることも構わないという、実に激しい愛なり。

 高橋大輔。ますます好調。さすが呑み込みが早い、次にはきっともう“リンクは最高のエクスタシー”。今回の演技を観ていて最初に心に浮かんだのは、”dense――密度が濃い――”という言葉だった。「高橋大輔」という空気があたりに濃厚に立ち込めている、その中で私は呼吸する。曲名「シェルタリング・スカイ」――(人を)庇護してくれる、避難させてくれる、空――に何ともふさわしいような。彼の演技を思い出しながらこの曲を口ずさんでいると、何だか、泣きたいのに泣けないような、だから途方に暮れた泣き顔を作るしかないような、そんな、胸をしめつけられるようなやるせない思いにとらわれる――。しかし。「西日本選手権」での演技といい、彼は、空気とか、気配とか、そういったものを感じさせる、そういったものになってしまう人なのかなと…。だからアンコールの「マンボ」も、音になっているというのともまた違うような。こういう表現者は、人生において他では出逢ったことがない。ますます、謎めいて。
「レジェンドオンアイス」を、現役選手として滑る。――私は、彼の復帰について、なんてロマンがあるんだろう! とわくわくした。この世の中、総じてロマンがなさすぎなのである。そして、高橋大輔が復帰してきたことによって、この世界について、初めて見えてきた、わかってきたことが数多くある。その意味でも、私は彼に深く感謝している。「全日本選手権」に臨むその覚悟や良し。

 荒川静香。優美である。成熟した大人の女性の美に満ちあふれている。バレエ・ダンサーだったら絶対に『白鳥の湖』オデット/オディールを踊ってほしい人である。フィギュアスケートに限らず、日本女性は得てして若く見えがち、いつまでも女の子に見えがちで――もちろん、それが大いに活きるときも決して少なくないけれども――、はたして他の国の人々の目にはどう映るんだろう…と思うときがある。人それぞれ個性は無論異なるけれども、日本女子選手が目指すべき大切なロールモデルの一人である。

 伊藤みどり。私が舞台評論家という職業を選択するにあたって、フィギュアスケートという競技、そして伊藤みどりの存在が、自分で思っていた以上に大きかった…というのが、このところの私の感慨である。少女の日、…芸術点っていったい何? と、何度も何度も思って(ときには憤って)いた自分が今、…美とはいったい?…と、来る日も来る日も考えている。不思議である。何十年も経って、私は原点に戻ってきた。そんな思いで、彼女の滑りを見つめていた。そして、彼女の幸せをただただ祈った――どうしてみどりちゃんはいっつも、「…私なんて…」と思って、言ってばかりなんだろう。あんなにすごい人なのに! 私をはじめ、多くの人の人生に、幸せと喜びをもたらした人なのに。ジャンプを成功させたみどりちゃんが、「跳べました!」とぐいぐい拳を突き上げて、そのまますごい勢いでスピンに突入していって、くるくる回っていたあのとき、私も、みどりちゃんと一緒になって心弾ませていた。それこそが表現の原点にあるものではないかと、今の私は思うのである。
2018-11-12 19:43 この記事だけ表示
 紀平梨花。――うねり。その激しさが、知らず封印していた私の想いを解き放っていった。私は世代的に、憧れの女子フィギュアスケーター=伊藤みどり選手である。トリプルアクセルを跳ぶみどりちゃんを、…うわあ、気持ちよさそうだなあ、楽しそうだなあ…と思って見つめていた。でも、観る側のトリプルアクセル成功への期待が過剰になりすぎると――それは、トリプルアクセルに限らず、すべての大技に言えることだけれども――、みどりちゃんはじめ、多くの選手たちを苦しめることになるのではないかといつしか思うようになって、…何だか、そういう報道を目にするだけで自分まで胸が苦しくなってしまって、だから、その点に関してはできるだけ淡々と向き合おうと思ってきていて…。でも、軽やかに跳ぶ紀平梨花を観ていて、ああ、自分はやっぱり女子選手のトリプルアクセル、とても好きだな…と。
 改めて。敵も魔物もリンクにはいませんね。

 三原舞依は化粧大改善〜◎。彼女は昨年末の「メダリスト・オン・アイス」で、感情を昇華させて滑っていて、その様が美しかった。内に芯の強さを秘めた人だと思った。そんな彼女の魅力が、フリーでは一層感じられて、軽やかに鳴り響くベルを連想。エキシビションの『シンデレラ』はキュートでとっても楽しそう。

 最近ものすごく気になるエリザベータ・トゥクタミシェワ。今大会はショート、フリー、エキシビションとも“トゥクタミシェワ感”――けだるい色気というか――が抑え目。その分、もともとの美しさがすっきり際立っていたけれども。今回不発なだけだったのか、キャラ変なのか、今後の展開からますます目が離せませぬ。

 宮原知子。自分ですべてわかっていると、エキシビション(堂々たるエレガンス!)を観てわかったので、私はもう書きません。

 山本草太のフリーの演技にはいい意味での緊迫感があり、非常に引き込まれた。鋼のように強い彼の精神に美を感じた。絶望を知る人は、希望をもまた知る人である。エキシビションの演技など、18歳にしていささかの哀歓さえ漂う。でも、まだまだ若いので、表情まで老成させてしまうのはもったいないような&毛の量的に重く見える髪型は要再考〜。

 宇野昌磨。フリー。――吹っ飛んでしまっている。そこから“リンクは最高のエクスタシー”まではあと少し。
 ――四回転ジャンプが跳べるってどんな感じですか? と訊かれたとき、彼ならどう答えるだろう。跳べるということです、と答えるだろうか――彼の答弁はどこかすっ飛んで人を食っているようで、けれども、本質をついていていつも興味深い――。それと同じことです、と私も答える。できるということです。それだけのことです――ただ、それは美のためだけに用いるというのが、神様との大切な約束です。それでときには魔物も鬼も見る。でも、多くの場合、とても美しいものを見ることができて、その美のきらめきのかけらが私の心の中にはいっぱいつまっていて、それを文章という形で取り出して、多くの人と分かち合うことができる。そのときまた、美しいものを見ることができて――。その繰り返しが、今の私の人生です。
 エキシビション。いいぞ〜、もっと好き勝手やれ〜!!!

 「レジェンドオンアイス」についてはまた明日〜。
2018-11-11 23:46 この記事だけ表示
 演技順。
 紀平梨花の演技はあっという間に感じられた! 好プログラム。夏の「ファンタジー・オン・アイス」(他のプログラムだけれども)で観たときより、肘から先の表現が断然改善。手を頭上で組んでの三回転ルッツがとても美しい。衣装も◎。化粧はオフも含めていつも◎。
 宮原知子は今回新調の白い衣装が美美美。そして、宝塚でいえば名トップ娘役にしか出せないオーラいっぱい! ドラマティックにダイナミックに、凝縮された演技の刹那。途中で、自然に湧いてきた笑顔を浮かべる。「…楽しい!」と。演技中の彼女から楽しさを感じたのは、初めてかもしれないな…と、ぐっときた。でも、まだまだ上に行けます!(あひるは鬼。にっこり)
 三原舞依。私は彼女の演技を何度か観ているので、途中で、…ああ、微笑ましいな…と、そのかわいらしさについて思う。けれども、「三原舞依」を知らない人にとっては、まだちょっとわかりづらいかもしれない。無理に表情や笑顔を作ったりするということではなくて、心の中から湧き上がるものがもっと前面に出てきたらいいな…と。化粧もまだまだ行けます。
 今日は若干抑え目だったけれども、エリザベータ・トゥクタミシェワは動き出した瞬間“トゥクタミシェワ感”が濃厚に漂ってくるのが、いつも、…何かすごいな、と。あひるの半分以下の年数しか生きていない人だけれども、人生経験値はとうに負けているようなイメージ…。

 山本草太の演技は、もっともっと観ていたいな…と思った。ラスト、今この場所に立っている喜びが伝わってきて、涙。
 宇野昌磨は、…怒るとセクシーな人なのだった! 火傷しそうに熱い、魂。いつもと違う人を観ているようで、ドキッ、演技が終わってのいつもの笑顔に、ホッ。

 明日は、観劇ダブルヘッダー(今日もでしたが)の後、夜に観た芝居の原稿をすぐに書かねばなので、フリーは日曜ゆっくり観ます〜。
2018-11-09 23:59 この記事だけ表示
 白岩優奈は、フリースケーティングのとき、動きがせかせか小さくせわしない感じに思えたのだけれども、エキシビションのときの方がゆったり伸び伸び滑っていてよかった。化粧はいつも◎。
 坂本花織。『キャバレー』の「Don’t Tell Mama」は、ミュージカルの舞台ではヒロインを中心に大人数で歌い踊るナンバーだけれども、この日の彼女の演技からは、その華やかさ賑やかさが感じられて。ちょっとセクシーなところも! ちなみに、「こんなところ(キャバレー)に出入りしていること、ママには内緒ね」というナンバーなり。

 羽生結弦は、エキシビションでは普通に美しく、つまり、いつもの羽生結弦らしくて、大いに安堵した。ショートプログラムは、…感情面でそういう方向にそこまで努力して滑りきる人っているんだ…と逆にびっくりしたけれども、その(ある意味、無駄な?)努力の分、力が入っていて、だから、直前練習で飛んでいたジャンプの方が美しい。フリースケーティングは一発レッド(心の荒れはスケートに出ます)。今後もぜひ、羽生結弦だけにしか可能とはならない美(他の人とはまったくかぶらない)を追求されたし。
2018-11-05 22:27 この記事だけ表示
 …昔、あるところに、ちょっとぽっちゃりとした少女がいました。体つきが変わる思春期のこと、受験勉強もあって、彼女は太ってしまいました。そして、いつの頃からか、彼女はすっかり思い込むようになりました。自分はきっともう一生デブなんだと。それから15年ほどして、彼女は、あるダイエットの本を読んで、満腹感をちゃんと感じ、それが来たら食べ終えるというごく普通のことをするようになりました。つまり、「足るを知る」ことを学んだというわけです。すると、なんということでしょう、みるみるうちに体重が落ちて、今では着ているのは7号サイズ。
 どうせ自分はデブだと思い込んでいるから、デブになるような行動ばかりする。もうお腹いっぱいで苦しいのに、さらに自分の中に食べ物を詰め込もうとする。他ならぬ自分自身の思い込みが、彼女を長年にわたって苦しめていたというわけです。
 思い込みって恐ろしいですね…というお話。

 さて、田中刑事選手について。
 どうしてエキシビションのときみたいな演技を競技でやらないの〜〜〜。かっこいいじゃないですか! 颯爽として、観客へのアピールもばっちり、水を得た魚のよう、まるで競技のときとは別人のようである。
 競技のとき、「…俺はだめだ、俺はだめだ…」と思いすぎなのである。誰も初めからそんなこと思っちゃいません。ある人物について一番詳しいのは、基本的にはその人自身である。他の人間には、そこまでの情報がなかなかない。だから、あんまり強くその人が「…俺はだめだ…」と思っていると、それが伝わって、「本人がそこまで自分で強く思っているからには、実際のところ、そうなんだろうな…」と、周りも思うようになってきてしまうという、それだけのことである。
 私の目に映る田中刑事は、別にだめな人ではない。ただ、自分のことを、不思議なまでに「…俺はだめだ…」と強く強く思っている人である。その思い込みがあまりにも強すぎて、彼の他の部分が覆い隠されていて、なかなか見えてこない。それで、例えばジャンプを失敗すると、「…やっぱり俺はだめなんだ…」と思い、どんどん負の連鎖に陥っていく。そこまでだめではないと思っているところに関しては、割に落ち着いて演技できているのに。
 どうしてそんな風に思ってしまうようになったのか。彼をそう強く思い込ませたものに、私は断固、否を唱える。ジャンプ一回失敗したからって、それだけで演技全体がだめになりゃしません。世界に田中刑事という人間はたった一人。そして、その田中刑事という人間を一番信じて、励ましてあげられるのは――練習を重ねて、好きなスケートに邁進してきた彼を励ましてあげられるのは――田中刑事自身。
 次回、競技のときに緊張して、「…俺はだめだ…」と思い始めるようなことがあったら、ぜひ、冒頭の太っていた少女の小咄を思い出して、笑ってやってほしいものである。思い込みって、ホント、アホみたいだなあと。それで緊張がほぐれたら、恥を忍んでこんなエピソードを出した彼女(オレのことだ!)もさぞ本望でしょう。
 ちなみに田中刑事は、あひるが東京大学フィギュアスケート部のとき、憧れていた同学年のT選手に雰囲気が似ているので、かっこよさが全開する日が楽しみ。
2018-11-05 22:21 この記事だけ表示
 「フィンランド大会2018」女子フリースケーティングの坂本花織の演技を観て、…泣いてしまった。そして、自分自身がスケートをしていたときの楽しさを思い出した――氷上をすーっと滑っていくときの、あの感覚。それは、彼女自身が滑ることをとても楽しんでいたから。
 今日、彼女は素敵な大人の女性への大きな一歩を登った。そして、泣き顔もかわいかったけれども、やっぱり坂本花織には笑顔が似合う。これまで観てきた中で今日の演技が一番好き! これからも滑る楽しさを観客と分かち合っていってくださいね!
2018-11-04 23:34 この記事だけ表示
 ショートの方が気持ちが伝わってきたような。フリーは、まだまだもっと行けますよね(我ながら鬼。にっこり)。
 どちらも、とても不思議な感覚。びっくりするくらい、あっという間に終わってしまう。けれども、その時間が、確かに、濃厚に、自分の中に残る。まるで、「高橋大輔」という人間が、透明になって、私、「藤本真由」という人間の中にするっと入ってきて、そして、抜けて出ていったような。
 「全日本選手権2018」、楽しみでしかない!
2018-11-04 23:33 この記事だけ表示
 田中刑事についてもっと知って、書きたい。昨シーズンよりはわかりかけてきたように思う。
 坂本花織は何とも身体が重そうで…。時差ボケ? 演技をきちんと終えて、その後、泣き出してしまった彼女を観ていて、不謹慎かもしれないけれども、…ああ、かわいいな、と胸がきゅんとした。かわい子ちゃんパワーでフリーも無理せず頑張れ〜!
2018-11-03 23:28 この記事だけ表示
 樋口新葉。リカバリーの姿勢が前向きで好印象。感情のエネルギーが強く、周りに作用を及ぼしやすい人というのは、心を安定させれば、演技することに向いているのである。ポジティブなエネルギーで観客を巻き込んでいけるようになれば鬼に金棒なのだから。エキシビションでの表情がすっきりきれいだった。怪我が早く治りますように。
 山下真瑚。曲は『蝶々夫人』より。「音楽を感じたままに滑ってみて」と教えられても、普通なかなか難しいであろうところ、その天賦の才を感じた。『蝶々夫人』についてのんびり考えていたら、熊川哲也芸術監督がKバレエカンパニーで来年バレエ化するとのこと。じゃあ来年にかけてまたゆっくり考えようかな…と思っていたのだけれども、この日、山下真瑚の演技を観ていて、…あ、芸術監督の『カルメン』初演を観たときとまた同じ過ちを犯すところだった! …と気づいて猛省。ありがとう山下真瑚!

 友野一希。観れば観るほど、なんて志の高いプログラム!
 宇野昌磨。曲は『月光』。私の方では、グランプリシリーズ初参戦となった妹分、山下真瑚を彼が思いやる優しさに、心打たれた。目から何かのビームが放たれているような、あの演技。先日、夜の神戸空港から帰京する際、飛行機の窓からいつもより月が大きく見えて、…月の近くを飛んでいるんだな…と、彼の演技を改めて思い出していた。
 エキシビションはジャズ・ナンバー。大人のムードたっぷりで、ニューヨークの大好きなジャズクラブ「バードランド」が懐かしくなり。そして、実にかっこいい! 宇野昌磨の新たな面が次々と観られた大会。
2018-11-01 23:23 この記事だけ表示
 坂本花織。『キャバレー』の「Don’t Tell Mama」は本来ちょっとエッチ(笑)な曲なのですが。
 宮原知子はシルク・ドゥ・ソレイユ『キュリオス』の「Bella Donna Twist」。公演プログラムの取材に関わっていたこともあり、彼女が使用することでこの曲のよさがさらに広く知られていくのがうれしい限り。衣装もセクシーに、ジャンプはキレキレ、超コケティッシュ!
2018-11-01 23:01 この記事だけ表示