2020年9月20日をもって、約21年半の宝塚人生に別れを告げる専科・華形ひかる。――忘れられない瞬間がある。花組時代、『銀ちゃんの恋−つかこうへい作「蒲田行進曲」より−』(2008)で、スター俳優銀ちゃんに、妊娠してしまった恋人小夏を押し付けられる、銀ちゃんの子分である大部屋俳優ヤスを演じたときのこと。作品のラスト近くで、「銀ちゃん、かっこいい!」というセリフがあるのだけれども、――それまでの彼女の演技すべてがその一言に見事収斂していったのだった。華形ヤスが舞台上で繰り広げてきた悲喜こもごもが、その一言を成り立たせるためにあったのだと得心した、あの瞬間――。派手な演技をする人ではない。器用なタイプでもない。実直に、まっすぐに、役柄を構築していっていた。その姿勢がいつも、好ましかった。
 不思議なもので、『銀ちゃんの恋』より前の下級生時代には、…キラキラアイドル路線で行く人なのかな…と思っていた。そうしたら、ヤスが似合った。しかし、渋い重厚路線にも行かなかったのが実におもしろいところである。専科に行っても、いつまでも、若い! それが彼女の円熟なのだった。男役、舞台人としての技量は確かに磨かれながらも、みずみずしい。
 あの世が舞台の『ANOTHER WORLD』(2018)で演じたのは貧乏神。地獄に行って死神になるのではなく、極楽に行って福の神になりたいという切なる願いをもつ、キュートな“びんちゃん”。びんちゃんのいじらしい悪戦苦闘もまた、心に深く残っている。そして、“キザってナンボ”の花組で培われた男役精神は、専科時代に出演したショー作品の数々でも大いに生きていた。キラキラとした円熟。男役下級生に与えた影響も少なからずあったと思う。
 2011年3月11日、東日本大震災。――そのとき東京宝塚劇場で上演されていた雪組公演が何とか千秋楽までこぎつけた後、次に初日を迎えたのは、華形がいた花組だった。初日の幕を開けるか否か、タカラジェンヌの間でもいろいろと議論がなされたと聞く。そして幕は開いた。その舞台を客席で見守る観客も、大震災後の不安な日々を、舞台上の人々と共に闘っていたところがあったと思う。それから9年後、コロナ禍という予想もつかない事態となって、華形ひかるの退団公演となった星組『眩耀の谷〜舞い降りた新星〜』『Ray−星の光線−』の舞台も、宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演共、一時公演中止を余儀なくされながらも、何とか千秋楽の日までたどり着いた。今は、今日の一日が、そして、宝塚を去って後のこれからの人生が、華形ひかるにとって幸せにあふれるものであることを祈るばかりである。――これまで、劇場で共に過ごした時間が濃厚だったから、それだけの深い縁で結ばれていたと思うから、今こうして書いているのは決して別れの言葉ではない、何故か、その確信が不思議と心の中にある。
2020-09-20 00:25 この記事だけ表示
 歌声と笑いに大いに元気づけられたステージでした。東京でお待ちしてます!
2020-09-18 23:59 この記事だけ表示
 オープニング映像の「DAIMON!」(←望海風斗の愛称)コールから、齋藤吉正ワールド全開〜〜〜。宝塚歌劇団雪組トップスター望海風斗の心意気に打たれた!
2020-09-18 16:40 この記事だけ表示
 望海風斗 MEGA LIVE TOUR『NOW! ZOOM ME!!』ライブ配信観ます〜。
2020-09-17 23:59 この記事だけ表示
 …実に濃厚な時間だった!
2020-09-07 23:59 この記事だけ表示
 11時の部、日生劇場。思いっきりネタバレ。
 ――地球から脱出した人々が移り住んだ水星(ポルンカ)。人々の生命を維持する装置及びその記憶を吸い上げるシステムを開発してその場所を統べる総統(汝鳥令)は、“娘”(星風まどか)を後継者に指名する。記憶が4年分しかない主人公(真風涼帆)は、人々の意識の中に入り、共同体にとって危険と思われる思想を消す“兵士”だが、ひょんなことから“娘”と共に、望みが叶うというクレーター“SAPA”の奥地へと分け入っていくこととなる。物語のクライマックスで、主人公は総統と対峙する――総統は、後継者たる“娘”とすべての人々の意識とを一体化させる、新たな統治のシステムを開発していた。総統は主人公に、記憶を見せる。総統の過去の。“娘”の過去の。そして、主人公の過去の。
 その対峙を観ていて――私の中で、かつて、ある人が私に向かって手を差し出した記憶が呼び起こされたのだった。その記憶は、現実のものではない。夢で見た。舞台を観た後、夢で見た。その舞台によって、私の意識か無意識に何らかの作用があって、夢を見た。一週間ほど続いた一連の夢の中でもひときわ強烈な夢。――劇場とはときに恐ろしい場所である。今宵の私はどんな夢を見ることか。
 上田久美子作・演出の異色の舞台である。ほぼソロ曲がない。三宅純の音楽(座付きの青木朝子と共に担当)が、内面へ、深層へと分け入っていく作品世界、その道程を彩って蠱惑的である。“宝塚”と聞いて一般的に想像するような要素がないながらも、宝塚歌劇作品として見事に成立している。難しい意欲作に果敢に挑んだ出演者及びスタッフに心からの拍手を送りたい。3月に別の劇場にて上演される予定だったが、コロナ禍によって日生劇場での上演となった。建築家村野藤吾の代表作の一つである日生劇場は、劇場空間自体、何か神秘で深遠なものの内面の表象のように思われるところがあり、縁あって実現した作品世界との親和性をも楽しんだ。
2020-09-07 23:59 この記事だけ表示
 真彩希帆1Day Special LIVE『La Voile』19:45の部LIVE配信観ます!
2020-09-06 23:21 この記事だけ表示
 出演者の気合が細部にまで満ち満ちていて、非常に見応えあり。大正デモクラシーの時代を、1923年の関東大震災をクライマックスに描く作品だけれども、宝塚歌劇団が大正期の1914年に誕生したことを考えると、宝塚で上演されることは必然の巡り合わせであったようにも思えて。もともと心のベストスリーに入るほど大好きな少女漫画ですが、舞台を通じてさらにその奥深い魅力に気づかされ。伊集院忍少尉(柚香光)、女嫌いの編集長・青江東生(瀬戸かずや)、二人がなぜヒロイン紅緒を愛するに至ったのか、少女のころはそこまで深く突きつめて考えてはいなかったなと…。両人の演技に感謝。紅緒さんを演じる華優希は、芝居が乗ってくると歌も踊りも俄然安定してくるようである。今日のはじけっぷりはヒロインとして頼もしい限り。芸者の吉次を演じる朝月希和は、舞台にかける気迫と覚悟で凄絶な美しさ。芸の人である。この公演後、トップ娘役として雪組に戻ることになった彼女を送り出す大劇場の拍手は実に温かかった…。舞台全体、ちゃんとギャグ漫画テイストもあるのがいい! 美形キャラも大真面目にギャグを体現するのがいい。それでこそ『はいからさんが通る』!
 フィナーレの男役群舞は、本日は、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第二番」に乗っての、軍服姿での「大正バージョン」。踊る柚香光を観ていると、――シベリアの吹雪の中で、大怪我を負って一人倒れていて、それでも、生きて日本に帰らなければ、そうして、愛する紅緒さんに会わなければ…と命を燃やしている少尉の姿――舞台本編で描かれているわけではない――が、不思議と見えてくるようで。その後、瀬戸かずやセンターになってからも、男役陣が一丸となってとてもドラマティック。弾む心の会話を楽しむようなトップコンビのデュエットダンスも幸せ感いっぱい。終演後の柚香光の挨拶が実に立派なもので、私より先に、一緒に観ていた夫が感極まっており。
 作品についてまだまだ書きたいことは多々あり。今日のところはこれにて。東京でお待ちしています!
2020-09-05 23:59 この記事だけ表示
 花組トップスター柚香光演じる伊集院忍少尉は、心の陰影がより濃厚に。トップ娘役華優希扮するはいからさんこと花村紅緒も一段とはじけて、舞台全体パワーアップ! 『はいからさんが通る』は何回観てもしみじみいい作品!
2020-09-05 14:28 この記事だけ表示
 宝塚花組『はいからさんが通る』千秋楽ライブ配信観ます!
2020-09-04 23:27 この記事だけ表示