月組博多座公演『川霧の橋』『Dream Chaser−新たな夢へ−』ライブ配信観ます。
2021-10-30 14:22 この記事だけ表示
 入団8年目の風間柚乃、ジャズの名曲に彩られた作品で堂々の宝塚バウホール公演初主演である。演じるは、自由を求め、ユダヤ人の娘と共にナチス政権下のベルリンからパリへ逃亡、さらにはカナダへと渡ることとなるジャズ・ピアニスト、ルーカス。幕開き、…若返った! と思った――なんせ、『チェ・ゲバラ』(2019)で、29期上の轟悠が扮したタイトルロール相手に、年上のフィデル・カストロ役を演じ切った人であるからして。今回の役どころでは、たっぷりとしたクラシックな男役の香りが漂い、甘い魅力もあるところを証明。きよら羽龍演じるヒロインに対しても包容力を発揮した。ジャズへの愛ゆえに、そして、自由を希求するその心ゆえに、主人公はベルリンでもパリでもカナダでも周りの人々に良き影響を与え、そして人々に自然助けられる。入団8年目の初主演作としては多分に意欲的な作品である。ラスト近く、離れ離れになったヒロインに会うため、雪の森を一人歩く風間ルーカスは、数分間にわたり、これまで助け、支えてくれた人々への思いをこめた絶唱を聴かせる――作・演出の谷正純が、男役・風間柚乃への期待をこめて書いた歌詞である。その歌詞を涙ながらに歌う風間は、初めてバウ公演のセンターを経験したことで理解した、主演という立場の重責と喜びとをかみしめていた…。周囲の人々が寄せてくれる思い、演技を受け止め、演技で返していくこと。早くから芝居巧者として知られてきたけれども、今回の舞台で殻を破った感がある――そして、歌いながらさらに若返っていったのだった。欲を言えば、主人公は親を亡くすなどつらい思いをしてきたわけで、終始絶やさぬ微笑みの陰に屈折や哀しみや翳りも感じさせたいところ。それが加われば鬼に金棒。
 カナダの地でルーカスと出会い、彼の自由への逃走を支え、励ます“教授”役の汝鳥伶がかっこよすぎる! 帽子のかぶり方も粋な限り。歌も多く、魅惑の低音を堪能。風間とのデュエットで感じさせる素敵な包容力。そして、フィナーレ幕開きを飾る「スターダスト」の歌唱はダンディの極みで、すべてをゆだねて、ただしっとりと寄り添って揺れていたい気持ち。汝鳥伶の歌声とセリフに包まれ、酔いしれる至福。
 二役を演じた千海華蘭が、年齢を自由自在に操る芸を発揮。ジャズに乗ってのダンス・シーンでは、肩の力が抜けた洒脱な踊りを披露――ちょっとした手足の動きが、霧矢大夢の粋を思い出させて。ナチスの軍人が来た! とあわてて着替えるドイツ民族衣装姿もキュート。笑顔の奥にニヒルさを感じさせた紫門ゆりや。朝霧真のヒゲ役の凄み。礼華はるはナチスの少尉を憎々しげに熱演。ナチスの内通者を演じた真弘蓮の芝居心に唸った。
2021-10-18 23:59 この記事だけ表示
 風間柚乃、自由と理想とジャズへの愛に燃える骨太な主人公を力演!
2021-10-18 15:46 この記事だけ表示
 月組宝塚バウホール公演『LOVE AND ALL THAT JAZZ』千秋楽ライブ配信観ます。
2021-10-17 23:58 この記事だけ表示
 見応えあり。入団7年目にして、冴羽獠の男のやせ我慢を表現した主演・縣千の役作りにしびれた――観終わった後、何だか放心してしまったほど。新人公演の演出担当は指田珠子。来年、花組で作・演出を手がける『冬霞の巴里』も非常に楽しみに。本公演についてまだ書いていないので、詳しくはまた後日。新人公演の初めてのライブ配信の実現により、全国津々浦々の人々が若手の躍進を観られるようになったことの意味は大きいと思う。
2021-10-14 23:15 この記事だけ表示
 雪組東京宝塚劇場新人公演『CITY HUNTER』ライブ配信観ます。
2021-10-13 23:21 この記事だけ表示
 『CITY HUNTER』の物語の舞台は1989年、新宿。――翻って。その1年後、晴れて女子大生となったあひるは、今から思えば少々ボディコン風の服に身を包み、コンパが行なわれる歌舞伎町目指し、新宿駅東口付近を歩いていた。と、一人の男性に声をかけられ。
「暇とお金を持て余している社長のお相手をなさいませんか。私、その運転手です」
 ひゃあ〜〜〜。何と答えたか忘れたけれども、動揺して逃げた。新宿は家から一番近い盛り場で、子供のときからデパートや映画館にはよく行っていたけれども、歌舞伎町方面には近づかないよう、親に厳しく言われていた。それが。その日はコンパだからしかたなく…。歌舞伎町の居酒屋選んだの、誰〜! と、後に夫となる人間に愚痴った覚えが(笑)。
 …そんな風に、あの頃の街の雰囲気を濃厚に思い起こさせる作品である――懐かしさと楽しさが同時に押し寄せてくる。と同時に、「彩風咲奈&朝月希和、雪組新トップコンビ就任おめでとう!」の盛大なお祭り作品でもある。音楽的にも多様な試みがなされている。ライブ配信で一度観ているにもかかわらず、劇場に行ったら、あまりの情報量に頭クラクラ。「アルタビジョン」と思しきLEDスクリーンパネルに映る、1989年当時の宝塚歌劇の公演情報やら雑誌の広告やら、芝居以外にも観るところが多すぎてあっけにとられ、…脳の処理スピードが追いつかないよ〜! と、終演後、カフェインと糖分を摂取しないと家にたどり着けないあひるであった(笑)。
 ショー『Fire Fever』でも新トップコンビの相棒ぶりが素晴らしい。そして、“コンビ”は宝塚版『CITY HUNTER』のテーマの一つでもあって、――改めて深く考えてみたいな…と思った次第。夫が「俺まだ舞台観られてないから!」とこれ以上のネタバレを拒否しているので(笑)、今宵はこれにて〜。
2021-10-06 23:32 この記事だけ表示
 長年観ているタカラジェンヌともなれば、その出身地のニュースまで気になるものである。昨年夏、熊本県人吉市の水害のニュースを見ていて、夫とこんな会話を交わしていた。
「…石ちゃんのご実家、大丈夫かな…」
 我が家では、人吉市出身の轟悠のことを、愛称にちなんで「石ちゃん」と呼んでいる。そして「石ちゃん」は、夫が初めて宝塚歌劇の舞台を観劇したときのトップスターである。夫は、1999年、東京宝塚劇場の建て替え期間中に公演が上演されていた有楽町駅前の「TAKARAZUKA1000days劇場」に、雪組『再会』『ノバ・ボサ・ノバ−盗まれたカルナバル−』の二本立てを観に一人出かけて行き、「男の人がいた!」と轟悠に興奮して帰ってきた――『ノバ・ボサ・ノバ』での、土着の神を降ろすかのようにソウルフルな歌声と踊りは、私自身、今も忘れられない。「石ちゃん」がそのとき夫に魅力を教えてくれていなければ、宝塚観劇が夫婦揃っての楽しみにはなっていなかったかもしれず。
 『銀ちゃんの恋』のヤスも人吉市出身である。ヤスが故郷に帰った際、人吉市出身の著名人として「川上哲治」の名前が挙がるシーンがあるけれども、宝塚ファン的には断固、「石ちゃん」! 今年の花組公演でもそう思っていた。
 ご実家が水害の被害に遭っていたことを知ったのは、彼女が今年3月に退団を発表した後のことである。――胸が痛んだ。

 トップスターとなった者は、組を数年率いて、退団する。しかし、轟悠は、雪組トップスターを経て、2002年には専科に移り、男役道を追求し続けた。彼女にとっては平坦なばかりではない道ではなかったかと思う。けれども、今、私の心にしみじみ浮かぶのは、…こんなにも長い間、その男役姿を観て来られたんだな…という、幸せな思いである。
 轟悠の男役姿を思い浮かべるとき、「剛柔」という言葉が浮かぶ。豪胆でいて、繊細。硬質さの中の柔らかさ――雪組トップスター時代の、三菱財閥の創業者・岩崎彌太郎を豪快に演じた『猛き黄金の国−士魂商才! 岩崎彌太郎の青春−』と、鉄とガラスでできたパリのレトロなアーケードをモチーフにしたレビュー『パッサージュ−硝子の空の記憶−』は、そんな彼女の魅力が堪能できた二本立てだった。そして、剛柔の魅力あったればこそ、『オネーギンEvgeny Onegin−あるダンディの肖像−』や『ドクトル・シバゴ』のように、凍てつくロシアを舞台にした作品がよく似合ったのではないかと思う。
 男役としての立ち姿、その重心がビシッと低いところが好きである。舞台に対して決まっていて、安定感がある。戦いに赴いたり、何か大きな運命に立ち向かったりする役どころが似合ったのも、その立ち姿あってのことかもしれない。『風と共に去りぬ』のレット・バトラーはたびたび演じた当たり役で、私としては、映画版より轟悠の印象の方が強い。負け戦とわかっていながら南軍に参加しに行く心意気、男の美学が心に深く残っている。
 そして、轟悠と言えば、レット・バトラーでも似合っていた「ヒゲ」である。『For the people−リンカーン 自由を求めた男−』、『ドクトル・ジバゴ』、『チェ・ゲバラ』と、演出家原田諒と組んでのヒゲ3連発。というか、次は轟悠にどんなヒゲをつけさせようか、演出家自身が楽しんでいたのではないかと思うほど。ギリシャ彫刻のようにクールで硬質な美貌の持ち主で、それでいてヒゲが実によく似合うのである。”ヒゲ3部作“のポスターには、今でもしみじみ見入ってしまう――女性でこんなにリンカーンヒゲが、チェ・ゲバラヒゲが似合う人がいるなんて!
 その一方で、コメディにも心に残る作品がある。『再会』は軽妙なオリジナル作品だったし、ニール・サイモン原作の『おかしな二人』や『第二章』といった作品にも主演している。この3作品及び『猛き黄金の国』を担当したのが石田昌也。その石田と組んでの『黎明の風−侍ジェントルマン 白洲次郎の挑戦−』で、轟悠は、ダグラス・マッカーサー率いるGHQを相手に、日本の“独立”を成し遂げようと闘う快男児白洲次郎を快演した。吉田茂首相の懐刀として活躍した白洲次郎は“日本で初めてジーンズをはいた男”と言われていて、この作品でもジーンズ姿で登場するシーンがあったけれども、その着こなしのかっこよかったこと! 汝鳥伶扮する吉田茂に「じいさん!」と食って掛かるその声音と共に、忘れられない。また、酒井澄夫と組んでのショー作品でも、洒脱で粋な世界を見せた。
 そして、『凱旋門−エリッヒ・マリア・レマルクの小説による−』。レマルクの同名小説を原作に、柴田侑宏が脚本を手がけ、謝珠栄が演出を担当したこの作品。雪組トップスター時代に演じた主人公ラヴィックに、2018年雪組公演で再び挑んだ。――時を経て深まったその演技に、私自身、初演時には気づかなかった愛についての真理を教えられた。主題歌「雨の凱旋門」の「♪パララパララパララ〜」の哀切な響きと共に、永遠に忘れない。

 最後の主演作となった戯作『婆娑羅の玄孫』の作・演出を手がけたのは、『風と共に去りぬ』でも轟悠の魅力を存分に引き出してきた植田紳爾。この作品では、これまで彼女が演じてきた作品群を思い出させつつ、その明るい未来を祝福するような、晴れやかなせつなさあふれる世界を展開した。
 轟悠が演じる細石蔵之介は、“婆娑羅大名”と呼ばれた佐々木道誉の子孫。外様大名の次男でありながら、十三歳のときに父に廃嫡され、素性を隠して江戸は神田稲荷町の長屋でよろず指導を商いとして暮らしている。彼を見守るのが、佐々木家の用人である“じい”の小久保彦三(汝鳥伶)。言いたいことをポンポン言い合う焼き芋屋の娘お鈴(音波みのり)は「石さん」に気がある様子。そんな「石さん」に、佐々木家のお家断絶の危機の知らせが届き――。
 正義感にあふれ、学問や剣術に秀で、長屋の皆に「石さん」「石先生」と慕われる――その名はもちろん、轟悠の愛称にちなんでいる――主人公をからっと豪快に演じる轟悠は、若々しかった。そして、いつになく肩の力が抜けていた。…これまでずっと背負ってきた重い荷物を降ろすことができたのだ…と思った。と同時に、自分が今直面している“退団”という状況に、どこかはにかんでいるようでもあった。胸を衝かれた。
 ――そうだよな。退団するのは、初めてだもんな…。
 「石さん」は元の名に戻り、佐々木家へと帰っていく。自分が好きなのはあくまで「石さん」であると言うお鈴は、富士山見える品川宿で、長屋の皆が主人公に別れを告げに来るそのとき、一人姿を現さず、「石焼き芋〜」と澄んだ声だけを響かせる――「石さん」の名を呼ぶ代わりに、彼女はそう言うのである。轟悠という男役の去り際にあたって、演出家がこめた万感の思い。じい役を演じる汝鳥伶から伝わる深いさみしさも心を締め付けた…。
 そのとき、しみじみ思ったのである。彼女の人生に「退団」という選択肢があったことを、心から喜びたいと。

 2021年10月1日をもって、轟悠は、1985年から在籍した宝塚歌劇団を去る。
 ――退団の日の会見がなく、トップスター退団にあたって、「これまでも、これからも、幸せに」の思いをこめて聞いてきた質問が聞けないのが残念なので、この場で。
「宝塚での最後の舞台を終えて、今、改めて、轟さんにとって宝塚とはどんな場所でしたか」
「今後の活動のご予定を、寿含め、差し支えない範囲で教えてください」
(「寿含め」のところは、一度、聞かれなかったことに怒った人がいたそうなので、欠かさず聞くことにしています)
 いつか、風の便りにでも、――OG公演ででも、教えて!
 人生の長きにわたって舞台を通して接してきた人だから、お別れという感覚は私にはなく、だから、別れの言葉は言いません。私はこれからも、轟悠と出逢った宝塚歌劇を、轟悠が愛した宝塚歌劇を、客席から見守り続けます。
「石焼き芋〜」!
2021-10-01 00:17 この記事だけ表示
 心のケーキバイキングを存分に堪能! 客席も一緒になって踊る振り、画面の前で踊りました。三本締めも掛け声つきで。千秋楽まで無事公演できて、本当によかった!
2021-09-26 23:25 この記事だけ表示
 宝塚でシャーロック・ホームズが観られて、幸せ!
2021-09-26 15:14 この記事だけ表示