宙組東京宝塚劇場公演『シャーロック・ホームズ−The Game Is Afoot!−』『Délicieux!−甘美なる巴里−』千秋楽ライブ配信観ます。
2021-09-26 01:38 この記事だけ表示
 …一時期、日々刻々と増加する感染者数に恐れをなし、暗い気分で家に引きこもっていた。外出できないなら家で何か別の形で楽しもう、そんな気にすらなれない。…人生をENJOYする力が自分から失われたのではないか、そんなことで今後やっていけるのか、そう思いつめた日まであったほど。そんなとき、宙組宝塚大劇場公演千秋楽ライブ配信を観た。宝塚は変わらず楽しかった。…大丈夫! そう思えた。引きこもっていたから、スウィーツをテーマにした『Délicieux!』を観ていて、…あの衣装はあのケーキがモチーフかな、今度外出できたら買いに行きたいな…と思った。でも、いざ宙組の東京公演が始まって、劇場で実際に舞台を観たら、お菓子を買いたい、食べたいという気持ちが不思議なほど湧かないのである。…ライブ配信を観ていた日の自分は、お腹ではなく、心が飢えていたのだ…と悟った。心を満たす二本立て。

 子供のころ、まずはアルセーヌ・ルパン・シリーズを読みふけり、そこからシャーロック・ホームズ・シリーズへと至り、現在NHK BSプレミアム版で再放送中のジェレミー・ブレット主演のテレビドラマにはまり。20代はじめにロンドンに初めて行った際にはベーカー街にあるシャーロック・ホームズ博物館へ。その後、やはりベーカー街にあるシャーロック・ホームズ・ホテルに泊まる機会があったのだけれども、クリスマスだったので、ハドスン夫人の賄いが出なくて…じゃなくて、ホテルのレストランがクローズしていて、近くのお店もエスニック系しかやっていなくて、食べられる場所を探して寒い中歩き回った記憶があり。作品ゆかりの地をめぐってロンドンの街を散策したのも楽しい思い出。ヴィクトリア朝の文化に尽きせぬ興味があるのも、シャーロック・ホームズの存在が大きかったように思う。
『シャーロック・ホームズ−The Game Is Afoot!−』の作・演出は生田大和。“サー・アーサー・コナン・ドイルの著したキャラクターに拠る”との長い副題にあるように、ドイルの著したシャーロック・ホームズ・シリーズの人気キャラクターを登場させ、数々の作品を引用しつつ、宝塚版へとうまく着地させている。ホームズが壁に銃弾で「V.R.」の文字を撃ち抜くシーンもあり、あひる大喜び。そして、この物語におけるホームズ(真風涼帆)&アイリーン・アドラー(潤花)&モリアーティ教授(芹香斗亜)の関係性は、『スカーレット・ピンパーネル』におけるパーシー・ブレイクニー&マルグリット・サン・ジュスト&ショーヴランの関係性に重なるものがある――主人公が共に変装を得意とし、ヒロインが共に演じることを職業としているという共通点もあり。背筋がちょっとゾクッとするラストも味わい深く、太田健作曲の壮大な主題歌「鎖の一環」が作品世界を盛り上げる。
 名探偵ホームズを演じて、真風涼帆は実に生き生きと自由である――その姿が、男役として到達した境地を示している。ホームズおなじみのファッションの着こなしも抜群。と同時に、女性としての美しさも見えてくるところに、男役芸というもののおもしろさがある。失った恋人への想いを胸に秘めながら、難事件に、悪に挑む名探偵の心意気がよく似合い、ライヘンバッハの滝におけるモリアーティとの対決で見せる矜持が最高にかっこいい。推理を飄々と楽しみ、桜木みなと演じる相棒のワトソンと繰り広げる軽快なやりとりも弾んで、またしても当たり役。
 『シャーロック・ホームズ−The Game Is Afoot!−』、『Délicieux!−甘美なる巴里−』とも、「Introducing潤花」という具合に、宙組新トップ娘役潤花が幕開きにフィーチャーされるのがいい。そして、彼女は演出家の愛に堂々応えられる人である。芝居では、のっけから男を手玉に取る悪女ぶりをコケティッシュに発揮、声の魅力が際立つ。真風ホームズと「ボヘミアの醜聞」のナンバーで心理的駆け引きを繰り広げるあたりもスリリング。
 芹香斗亜が演じるモリアーティ教授は、小池修一郎のオリジナル作品に出てくる世界征服の野望をたぎらせる悪役の趣。高い声をも響かせて、芹香、怪演である。桜木みなとはホームズの相棒ワトソン役。このホームズとワトソンの関係性もいいなと思わせるコンビぶり。和希そらが演じるはスコットランド・ヤードのレストレード警部。だみ声のおっさんぶりがいい。『夢千鳥』主演を経て、男役としての芯が太くなった感あり、雪組に異動しての活躍が非常に楽しみに。ホームズの兄、マイクロフトに扮した凛城きらも軽妙にすっとぼけたおかしみを見せた。専科に行ってもその味わいを発揮されんことを。
 スウィーツをテーマにしたパリ・レヴュー『Délicieux!−甘美なる巴里−』の作・演出は野口幸作。男役と娘役、その辛さと甘さのバランス感覚が素晴らしい。宝塚の作品でおなじみの楽曲もふんだんに、『ベルサイユのばら』のパロディ風シーンまで盛り込まれ、それでいて、清新な魅力にあふれている。そして、数々のスウィーツをモチーフにした衣装(加藤真美)がかわいすぎる! ケーキのヘッドドレスをかぶってみたい帽子好きのあひる。パリの街で迷う一人の少女(潤花)の前に、粋なパティシエ(真風涼帆)が現れて見せる、魅惑の世界――。潤が、チェック柄のかぼちゃパンツ風衣装から、白いドレス姿へと舞台上で早替わりする瞬間の鮮やかさ。潤は『くるみ割り人形』に乗ってのフレンチカンカンで芯を務めてダンサーぶりをキュートに発揮するが、トップ娘役という立場になり、自分がこれまで積み重ねてきた芸を大いに披露できることの喜びに満ちて、実に幸せそうな笑顔で舞台を務めていたのが印象的。
 『ベルサイユのばら』パロディ風シーンでは、マリー・アントワネットに扮した芹香が、そして、ダークな“フォレ・ノワール”のシーンではホットパンツにブーツという姿の桜木が、これぞ男役の“女装”という濃厚な魅力を発揮するところに、男役としての充実度をうかがわせて。そして、美脚も露わにする芹香アントワネットに対してフェルゼンを演じても、“フォレ・ノワール”でセクシーな潤と桜木に激しく争われる美青年を演じても、真風が悠然と魅力を発揮。
 そして、「パリの散歩道」に乗っての黒燕尾服のシーン。男役同士で組んで踊る振りもあり、妖しい色気が光る――演出家の男の部分に、ぐっと来た。芹香の歌声に乗っての新トップコンビのデュエットダンスは、二人の踊りの相性の良さを大いに感じさせて。…宝塚で描かれるパリは、この世のどこにもない、宝塚の舞台にしかない幻想のパリなのかもしれず、長きにわたって紡がれてきたからこそのその幻想の美しさを、心ゆくまで味わうひととき。

 ほっこりとした温かさを感じさせる娘役、花音舞は、『Délicieux!』のフレンチカンカンへと至る場面で、スパイスとなるコメディ要素を担当。そのフレンチカンカンでも見事な踊りを披露した綾瀬あきなは、長らく名ダンサーとして宙組の舞台を支えてきた娘役である。芝居でもショーでも彼女の切れ味鋭い踊りとクールビューティぶりに目を奪われていることが多かった。なかでも、ヴェルマを演じた『ウエスト・サイド・ストーリー』のダンスは、作品のムードを大いに盛り上げていて、心に強い印象を残している。美月悠は、『Hotel Svizra House ホテル スヴィッツラ ハウス』に続き、『シャーロック・ホームズ』でもピシッとした紳士姿を見せた。星月梨旺は『Délicieux!』でタップのソロを披露。
 そして、遥羽らら。『シャーロック・ホームズ』で演じたハドスン夫人もかわいらしかったが、『Délicieux!』の、娘役たちを率いて銀橋を渡る“キャンディ・ケーン”の場面でキューティ爆弾炸裂! 目がとろけてなくなってしまうような彼女のあの笑顔がはじけて、女の子たちの繊細なかわいらしさが詰まっていて、永遠に心に留めておきたい名シーンである。退団を惜しむ。退団者たちがフィーチャーされたシーンの、パンツルックの上半身に、並ぶと淡い虹色になる布があしらわれた衣装も美しく、素敵な餞。みんな、スウィートに幸せな一日を!
2021-09-26 01:37 この記事だけ表示
 宝塚バウホール公演が途中で中止となり、無観客で収録された舞台のディレイ配信を観た(5月8日、19時)。作・演出の栗田優香にとっては宝塚バウホール公演デビュー作。これが、実に骨太な芸術論が展開される作品だった。竹久夢二の映画を撮影中の映画監督が、夢二の人生を通し、己の人生に思いを馳せていくという構成で、主演の和希そらが女優たちと浮名を流し続ける映画監督の白澤優二郎役と竹久夢二役を、天彩峰里が白澤の長年の恋人である女優の赤羽礼奈役と夢二の妻である他万喜役とを兼ね、揃って躍進の舞台を見せた。
 タイトルからして鳥がモチーフになっていて、鳥かごを模した舞台装置の中で、羽根がたびたびキーアイテムとして登場。黒い鳥のラインダンスや黒燕尾服群舞まである充実のフィナーレでも、中森明菜の「赤い鳥逃げた」や「ララバイ・オブ・バードランド」が使用されるなど、鳥尽くし。激情に駆られた他万喜が切りつけた座布団からぱあっと赤い羽根が舞い散る瞬間の鮮烈さ。大正浪漫の世界、そして、それを撮影している昭和レトロの世界が、雰囲気たっぷりに繰り広げられていく。和希が、思いつめたまなざしの中に翳りある色気をただよわせて、他万喜を折檻しながら美人画の世界を探求し続ける夢二の業の深さを見せれば、天彩は、それで夢二が絵が描けるならと、夢二の妻にもらい受けるために愛人彦乃の実家を訪ねて行く他万喜の業の深さを夜叉の如き形相で見せる。二人のあの目が忘れられない…。『修禅寺物語』や谷崎潤一郎の世界をも思わせる展開だっただけに、結末には、…まだまだ行ける! と思わないでもなかったけれども――メーテルリンクの『青い鳥』が出てくる時点で想像できなくもなかったけれども――、これから演出家として生きていく中で、その芸術論がますます深まっていく様をじっくり見守りたいところ。
 ヴィジュアル面の美しさもさることながら、娘役たちから充実の演技を引き出したところも特筆すべき点である。宙組は、男役陣の充実度に比べ、娘役陣に…もっとぐいぐい来ていいんだよ! …と思わないでもなかった。それが、天彩をはじめ、夢二を取り巻く女性たちを演じる娘役陣がそれぞれの個性で輝いて見えた。演出家の名前で検索すると、入団前の経歴に「“女の子を可愛く切なく描く”をモットーに、演劇の作・演出を務めてきた」との文言があり、納得。宝塚歌劇に新たな風を吹き込んでくれることを大いに期待したい。作品は10月のタカラヅカ・スカイ・ステージで放送あり。
2021-09-26 01:19 この記事だけ表示
 第二次世界大戦中期のスイスはサン・モリッツを主な舞台に、戦時下の情報戦を戦う男たちと、芸術を愛し守ろうとする人々との闘いを描いた『Hotel Svizra House ホテル スヴィッツラ ハウス』(作・演出:植田景子)。バレエ・リュスで活躍した伝説のダンサー、ヴァーツラフ・ニジンスキーが最後のパフォーマンスを行なったホテルで、療養中の彼のために開催されようとしているチャリティ公演が、この作品の大きなモチーフとなっている。ということで、作品の表テーマは言うまでもなくニジンスキー&バレエ・リュスであり、装置(國包洋子)にもニジンスキーの絵がいろいろと使われていて、…熊川哲也芸術監督が所有しているジョルジュ・バルビエの絵はどれなんだろう、コレクションの中からニジンスキーのバレエシューズは去年映像で披露してくれたけど…と思いながら舞台を観ていたあひる。なのであるが。…これ、裏テーマはフィギュアスケートなんじゃないかな…と思わないでもなく。宙組トップスター真風涼帆演じる英国情報部のスパイキャッチャー、ロベルトに良き影響を与えた人物として「ネイサン・ヒューズ」なる人物が登場することは前にも書きましたが(http://daisy.stablo.jp/article/481039494.html?1632556804)、この名前からついつい連想するのは、共にアメリカ出身のフィギュアスケーター、ネイサン・チェンとサラ・ヒューズ。作中、1948年にサン・モリッツで開かれる予定の冬季五輪への言及もあり。そしてそして。遥羽らら演じる若く美しい未亡人アルマは、かつて貧しいピアニストのラディックと愛し合っていたものの、家族の反対に遭い、他の男性と結婚する。そんな彼女があるときラディックのピアノ・リサイタルを聴きに行き、彼の紡ぎ出すピアノの音色を聴きながら、…言葉を交わすことがなくても、私は心の中で夫を裏切っていた…と、ラディックへの愛を確信して語るとき、流れているのは、羽生結弦の名プログラムとして名高いショパンの「バラード第1番」なのだった――このときの遥羽アルマの無邪気に幸せそうな表情がツボ。考えてみれば、羽生結弦の「Origin」も、エフゲニー・プルシェンコが使用した曲「ニジンスキーに捧ぐ」をアレンジしたもの。ということで、ロベルトが追っているターゲットのコードネーム“ウィリアム・テル”は、スイス出身のステファン・ランビエルがかつてプログラムに使用した「ウィリアム・テル序曲」にもちなんでいたりするのかな…と、いろいろ楽しく思いをめぐらし。
 チャリティ公演では『シェエラザード』が踊られ、心動かされた人々は劇場讃歌を歌い上げる。――客席で観ていたときは、ちょっと言わずもがなの感じがしないでもなかった。しかし、梅田芸術劇場公演が中止となり、その無観客ライブ配信を観た際、…あの広いメインホールに誰も観客がいない様に思いを馳せると、痛切に響いてくるものがあった。
 この作品は、宙組新トップコンビ、真風涼帆&潤花のプレお披露目公演。潤花が演じるのは、チャリティ公演で踊る機会を求めてサン・モリッツまでやって来たバレエ・ダンサー、ニーナ・デュボワ役。彼女は声が実に魅力的である。女性のかわいらしさから大人っぽさまで、幅広く表現できる。その声を駆使してしっとりと情感あふれる演技を展開できるのが素晴らしく、かつての月組トップ娘役、風花舞を彷彿とさせる。その一方で、プレお披露目ながらすでに貫禄があり、円熟期にある真風涼帆との相性の良さにうなるばかり。『カサブランカ』や『グランドホテル』、『凱旋門』等、宝塚でも上演された作品群のエッセンスを感じさせるストーリーということもあって、配信映像で観ていると、トップコンビがますます、往年のハリウッドの名作映画を観ているようなクラシックな香りを感じさせて。真風涼帆は、スーツやコートをさっそうと着こなし、任務と良心の狭間で揺れる様を演じてかっこよすぎである。
 実業家ヘルマン役の芹香斗亜は、アルマへの愛を心に秘めつつ、その愛あればこそ、芸術への愛をも貫き通す様を体現。男のやせ我慢が似合う男役になってきた。チャリティ公演のプリンシパル・ダンサーと振付家を兼ねるユーリー・バシリエフを演じ、潤ニーナと『シェエラザード』をエネルギッシュに踊ったのは桜木みなと。植田景子はかつてジョン・ノイマイヤー率いるハンブルク・バレエ団に留学していたことがあり、そのときの経験もまた、芸術への愛に満ちたこの作品に大いに生かされているであろうことを思った。
 さて。舞台を一生懸命観ていると、お腹が空く。そしてあひるは、舞台に出てきた食べ物につられがちである。この作品では、ホテルで提供されるホワイトチョコのホット・ショコラーデ(ホット・チョコレート)への言及が何度かあり、…おいしそう〜…と。そして、東京公演終演後、劇場から歩いて数分の場所で、発見。もう一年以上、人とお茶していませんが、この日はあひるの大好きなこの方も同席してくれました。

サンリオカフェ.jpg

 ラテアートの下にはホット・チョコレート。そして焼きドーナッツはホワイトチョコがけ。満足。

(4月12日14時の部、宙組東京建物 Brillia HALL&5月5日16時半の部、ライブ配信)
2021-09-26 01:17 この記事だけ表示
 シャープな長身から甘い魅力をただよわせる彩風咲奈。ほんわかしたルックスからシャープなかっこよさを放ってくる朝月希和。信頼感で結ばれた雪組新トップコンビの絶妙なバランス。『Fire Fever!』のスパニッシュのシーンでの、ふわっと浮遊感あるリフトの美しさにぞくぞく。トップ娘役ながら、男役ショースターの魅せ方――それも、花組男役系の!――までマスターしている朝月希和なら、娘役の地平を新たな次元へと推し進められるのではないか。それはすなわち、男役トップスター彩風咲奈の新たな可能性を拓くことにもつながり、ひいては宝塚歌劇のさらなる発展にもつながっていくのではないか…と、興奮さめやらず。
 ちなみに、『CITY HUNTER』宝塚化が決まったときから、舞台で流れて欲しいアニメ版の挿入歌をたびたび歌うなどして観劇準備に余念のない夫。本日も有給休暇を取得してのライブ配信視聴を模索していたのですが、敢えなく出勤となり。その彼から一言。
「TOKYO CITYで待ってるぜ!」
2021-09-13 23:53 この記事だけ表示
 人気漫画のミュージカル化で、新生雪組の個性はじける。雪組新トップコンビの彩風咲奈&朝月希和、二人が演じる冴羽獠&槇村香の関係性、いい! セリフかぶりからの「Get Wild」銀橋渡りに思わず涙。そしてハンマーにはもちろん大爆笑!
2021-09-13 14:47 この記事だけ表示
 雪組宝塚大劇場公演『CITY HUNTER』『Fire Fever!』千秋楽ライブ配信観ます。♪Get wild and tough!
2021-09-12 23:49 この記事だけ表示
 花組新トップコンビ、柚香光と星風まどかが、歌に、踊りに、芝居に、心を通わせ合い、ときに火花を散らし合う様に、見入っていた…。男役、娘役として、そして、舞台人として高みを目指し続ける姿勢に、響き合うものがあるのだと思う。ヴィジュアル的な相性もすばらしく、それぞれ色っぽさが増した感あり。
 柴田侑宏の1985年初演の傑作を、樫畑亜依子が演出した『哀しみのコルドバ』。スペインの焼けつくような日差しと滾るような血を感じさせる宿命の物語で、柴田作品ならではの心に残るセリフ満載。スター闘牛士エリオ(柚香)は、昔の恋人エバ(星風)と8年ぶりに再会、そこから運命が動き出す。研ぎ澄まされた一挙手一投足、シャープなマントさばきで闘牛士の美学を体現する柚香エリオ。その姿に、劇作家が宝塚歌劇作品のヒーローに闘牛士なる題材を選んだことの意味を考えずにはいられない。星風は運命に生きるヒロインが似合う。そして、踊る際のスカートの裾の翻し方に見惚れる。高翔みず希扮するエリオの母マリアと鞠花ゆめ扮するエバの母パウラの言い合いシーンは凄まじい演技バトル。美穂圭子が謎めいた占い師マルーカ役で物語のムードに華を添える。エバの今の恋人リカルド・ロメロに扮した永久輝せあはヒゲ姿もしっくり来て、雪組時代に培った経験が花開いてきた。
 宝塚大劇場&東京宝塚劇場公演から続演となった『Cool Beast!!』(作・演出:藤井大介)では、柚香と星風のダンス・シーンが見どころ。二人にエールを送るが如く、美穂圭子が熱唱を聴かせる。中詰め、熱い! そこからのラインダンスは、音楽的な流れが身体を駆り立てるのか、…踊るしかないでしょう! と、またもや参加。手拍子するうち作品あっという間に終了〜。
 お互いまだちょっと照れと緊張を感じないでもなかったけれども、これからの作品で花組新トップコンビが拓く新境地にますます期待!
2021-09-12 23:49 この記事だけ表示
 実に見応えあり! 柴田侑宏のロマンあふれる世界に酔いしれるひととき。花組新トップコンビ、柚香光&星風まどかが見せる今までと違った魅力、新鮮!
2021-09-12 17:13 この記事だけ表示
 花組全国ツアー神奈川県民ホール公演『哀しみのコルドバ』『Cool Beast!!』ライブ配信観ます。
2021-09-11 23:59 この記事だけ表示