ローマ史上初の皇帝を主人公に据えた『アウグストゥス−尊厳ある者−』は、何を描きたいのか???な物語を、タイトルロールを演じる花組トップスター柚香光をはじめとする出演者が力量でねじ伏せていく様を観る作品。柚香がトップになって初のショー『Cool Beast!!』は、タイトルの『‼』が雄弁に語るように藤井大介の作・演出。柚香の魅力を“クールな野獣”にたとえるあたり、ポンと膝を打ちたくなる。思えば柚香は、『Le Paradis!!−聖なる時間−』や『CONGA!!』といった藤井作品で早くから抜擢され、強い印象を残してきた。そして今、トップとなった姿に思うのは、彼女の個性の本質、そのコアには、下級生時代から決して変わることがないものがあって、着実に芸を積み重ね、舞台人として大きく成長してきたからこそ、その本質がますます光り輝いて見えるということである。宝塚の男役ならではの、女性と男性、その魅惑のあわいを柚香は行き交う――“ギャートルズの肉”をマイク代わりにポルノグラフィティの「狼」を歌う場面では、男役として魅了しながら女性としての美しさも発揮。きりっとした女性の姿で脚線美も露わに瀬戸かずやとデュエット・ダンスも披露するが、和海しょうの歌唱も相俟って、三者とも端正だからこそ逆に色気を感じさせる名場面となっている。
 ということで。芝居の最中、…よく換気された劇場、身体が冷え切っちゃって、終演後、温かい物を飲まないと…と思っていたのが、ショーではプロローグだけで手が痛くなるほど激しく手拍子をしたためすっかり身体がホットに。しかし。
 全体、まだまだ行ける! 皆もっと個性&野性を解き放つべし。若手男役陣は特に奮起されたし。
 思い切りのよさが魅力の華優希は、芝居の方は自信をもってやれているのだけれども、とりわけショーの、「ここでこそハッタリかまさんか!」というところでなぜ自分にブレーキを? もったいない。『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』のときにも書いたけれども(http://daisy.stablo.jp/article/479496620.html)、自意識が突き抜けたとき強いのだから、その精神で宝塚生活最後の日まで娘役を目いっぱいENJOY! 柚香光は相手役の日々の向上を決して見逃さず、それに応える舞台人である。
 瀬戸かずやに心の中で快哉!!! 宝塚の男役を堪能しきっちゃって!!!
 以上、藤井大介作品にふさわしく「!」いっぱいでお送りいたしました。

(2日13時半の部、東京宝塚劇場)
2021-06-02 23:49 この記事だけ表示
 5月15日夜の部(18時半)視聴。赤い衣装、スーツ、黒燕尾服、観たかった瀬戸かずやのオンパレードで、一分の隙もないその男役芸を堪能(構成・演出:藤井大介)。配属以来ずっと花組生だったから、そのヒストリーをたどるライブは自然、花組のヒストリーをたどるものともなる。歌によってそれぞれの作品を懐かしく振り返ると共に、『EXCITER!!』『CONGA!!』(共に藤井作品)あたり、一緒に観ていた夫と熱唱。大ファンだったという真琴つばさの「情熱の翼」を歌ったときには、思わず合いの手を風花舞風に入れそうに――確かに、男役瀬戸かずやのアイメイクの美しさは、真琴つばさ(も花組育ちであった)のアイメイクの美しさを引き継いでいる。共演の花組男役陣に、瀬戸かずやが守って伝えてきた花組の男役芸がしっかり引き継がれていくことを願って。
2021-05-16 23:22 この記事だけ表示
 退団者たちがその芸で宝塚大劇場に確かな足跡を残していく様を、画面越しに観ていた。
『Cool Beast!!』は作・演出の藤井大介の新展開を感じさせる大人なムードのクールなショー。家で一人観ているのをいいことに、オープニングや中詰で一緒に踊り――もう何年も前のことだけれども、宝塚大劇場で立ち見した際、周りに迷惑にならない範囲で舞台に合わせて一緒に揺れていた思い出が心の中に甦り。そして、これは劇場では絶対にしないことだけれども、ラインダンスの足上げにも参加し――観劇の際、ラインダンスに合わせて手拍子するのは、心の中で足上げに参加する気持ちだったんだな…と。
 サヨナラショーでの、瀬戸かずや率いる黒燕尾服のダンスで発揮された、花組男役陣の粋。「ス・ワンダフル」での、柚香光&華優希の息の合ったデュエットダンス。
 瀬戸かずやの、「どうかこの先、宝塚の生徒が二度とこのような景色(無観客の劇場)を見ることのない、そんな世界になることを強く願っております」との退団挨拶で嗚咽しそうだったけれども、今日の場合、そのまま一人で泣き出すとどうにかなってしまいそうだったので、こらえた。劇場空間で泣いたり笑ったり、思いきり心を動かすことができるのも、周りに人がいるからなのかもしれず。
 東京でお待ちしてます!!!
2021-05-10 23:46 この記事だけ表示
 退団者の気迫!
2021-05-10 14:48 この記事だけ表示
 花組宝塚大劇場公演『アウグストゥス−尊厳ある者−』『Cool Beast!!』千秋楽無観客ライブ配信観ます。
2021-05-09 23:57 この記事だけ表示
 先日無観客ライブ配信された『Hotel Svizra House ホテル スヴィッツラ ハウス』に続き、本日無観客収録映像がディレイ配信された宝塚バウホール公演『夢千鳥』も充実の作品。これが宝塚バウホールデビュー作となる作・演出の栗田優香が、竹久夢二をメイン・テーマに、芸術に生きる人間たちの業と真っ向から向き合い、主演の和希そらをはじめとするキャストから良質の演技を引き出して、見応え十分。
2021-05-08 23:59 この記事だけ表示
 「エリザベート TAKARAZUKA25周年 スペシャル・ガラ・コンサート」アニヴァーサリースペシャルバージョン千秋楽無観客ライブ配信に引き続き、夫と熱演堪能中〜。
2021-05-05 17:44 この記事だけ表示
 役替わりのうちB日程を観劇(13時半、東京宝塚劇場)。
 泥の中に咲く蓮の花の如く、星組トップ娘役舞空瞳が演じるジュリエットが奇跡のように美しい舞台である。ストレートプレイにバレエ、映画等、これまでさまざまな『ロミオとジュリエット』を観てきたが、その中でも特筆すべきジュリエットの演技である。恋に恋し、運命の恋に落ちてときめき、恋が故に秘密を抱えて大人となり、そして、愛のために仮死状態となることも厭わず、愛に殉じる。己が生に与えられた愛を全うせんため、敢然と闘い続ける、雄々しくも可憐なヒロイン――舞空ジュリエットのようにロミオに恋したいと願い、舞空ジュリエットにロミオとして恋したいと願い、その二つの願いの間で心がきらきら揺れる。フィナーレのデュエットダンスでは一転、生き様の凄みすら感じさせるシャープで大人っぽい舞を披露。昨年度の宝塚歌劇あひる新人賞受賞から、今年度のインスピレーション大賞に一気に殴り込みをかける舞台である。乳母へのツッコミやところどころの仕草など、どこかファンキーなおもしろさも感じさせて、コメディも行けそうなところが頼もしい。
 B日程は、芝居のできる愛月ひかるが、劇中一言も言葉を発さないで踊る「死」の役というのが何とももったいない。そして、舞台全体、熱が足りない。モンタギュー家とキャピュレット家、理由もわからず憎しみの感情を抱えてヴェローナの街に生きる他ない若者たちの若さと愚かさとエネルギーが爆発して起こる悲劇である。もっと行ける! 憎しみが強ければ強いほど、その中から生まれた愛と悲しみが輝く。
 何百年も前から上演されてきた作品でもあるし、私が作品にふれたその時々に書き記したこともある。でも、例えば、私が何か過去に書いた通りに演じる姿を観たとしても、「読んでくれたんだな。ありがとう」とは思うかもしれないけれども、過去は過去である。私が観たいのは、その作品、その役柄、その音楽を、今、演者がどうとらえ、感じ、考えているか、その発露としての演技であり、表現である。そのきらめきにふれた瞬間、私の中でまた新しい何かが生まれ、――そして、こうして文章となる。舞空ジュリエットが素晴らしいのは、過去の上演なりを研究した上での、「私自身は、ジュリエットの恋する心をこのように表現したい」との思いが、歌に、芝居に、踊りにあふれているからである。2017年、入団2年目で花組公演『ハンナのお花屋さん』のハンナ役を演じたときには心もとない演技だったから、この4年間で舞台人としてかくも逞しい成長を遂げたのだと、私はそのことがうれしいのである。
 今日の綺城ひか理演じるベンヴォーリオの「どうやって伝えよう」は、何かを伝えようという気持ちにあふれる歌唱だった。『ロミオとジュリエット』は、2011年3月11日、東日本大震災の瞬間に、東京宝塚劇場で雪組が上演していた作品である。――私は今でも、大震災から一週間後ほど経った日、ベンヴォーリオ役の未涼亜希が、地震や津波の鮮明なヴィジョンと共に心の揺れを見せながら、――それでも、自分は舞台人として舞台に立って何かを表現し続けることを選択したのだという決意をもって、「どうやって伝えよう」を歌いきったことを思い出す。そしてフィナーレ、余震がまだまだ続く中、大階段を降りるタカラジェンヌたちを、客席一丸となっての手拍子で励まし続けたことを思い出す。そうして、あの困難の時期を、舞台と客席が一緒になって乗り越えたことを思い出す――今、世界中がこのような状況だからこそ、とりわけ強く思い出すのかもしれない。
 ロレンス神父がロミオに宛てて書いた手紙がなぜ届かなかったか。それは、手紙を託した相手が、感染症が出た家にいたと疑われ、足止めされたからである――シェイクスピアの時代の人々も感染症に苦しめられ、劇場は封鎖された。そのことを考えると、今日上演する意義について深く考えさせられる作品である。悩んだら、このミュージカルの原作であるシェイクスピアの戯曲に戻りましょう。それもまた、自身の運命に勝った劇作家がこの世に遺した人類の共有財産なのだから。
2021-04-21 23:53 この記事だけ表示
 何度観ても実に味わい深い作品!
2021-04-11 15:13 この記事だけ表示
 雪組東京宝塚劇場公演千秋楽『f f f−フォルティッシッシモ−〜歓喜に歌え!〜』ライブ配信観ます!
2021-04-11 01:50 この記事だけ表示