花組宝塚大劇場公演『アウグストゥス−尊厳ある者−』『Cool Beast!!』千秋楽無観客ライブ配信観ます。
2021-05-09 23:57 この記事だけ表示
 先日無観客ライブ配信された『Hotel Svizra House ホテル スヴィッツラ ハウス』に続き、本日無観客収録映像がディレイ配信された宝塚バウホール公演『夢千鳥』も充実の作品。これが宝塚バウホールデビュー作となる作・演出の栗田優香が、竹久夢二をメイン・テーマに、芸術に生きる人間たちの業と真っ向から向き合い、主演の和希そらをはじめとするキャストから良質の演技を引き出して、見応え十分。
2021-05-08 23:59 この記事だけ表示
 「エリザベート TAKARAZUKA25周年 スペシャル・ガラ・コンサート」アニヴァーサリースペシャルバージョン千秋楽無観客ライブ配信に引き続き、夫と熱演堪能中〜。
2021-05-05 17:44 この記事だけ表示
 役替わりのうちB日程を観劇(13時半、東京宝塚劇場)。
 泥の中に咲く蓮の花の如く、星組トップ娘役舞空瞳が演じるジュリエットが奇跡のように美しい舞台である。ストレートプレイにバレエ、映画等、これまでさまざまな『ロミオとジュリエット』を観てきたが、その中でも特筆すべきジュリエットの演技である。恋に恋し、運命の恋に落ちてときめき、恋が故に秘密を抱えて大人となり、そして、愛のために仮死状態となることも厭わず、愛に殉じる。己が生に与えられた愛を全うせんため、敢然と闘い続ける、雄々しくも可憐なヒロイン――舞空ジュリエットのようにロミオに恋したいと願い、舞空ジュリエットにロミオとして恋したいと願い、その二つの願いの間で心がきらきら揺れる。フィナーレのデュエットダンスでは一転、生き様の凄みすら感じさせるシャープで大人っぽい舞を披露。昨年度の宝塚歌劇あひる新人賞受賞から、今年度のインスピレーション大賞に一気に殴り込みをかける舞台である。乳母へのツッコミやところどころの仕草など、どこかファンキーなおもしろさも感じさせて、コメディも行けそうなところが頼もしい。
 B日程は、芝居のできる愛月ひかるが、劇中一言も言葉を発さないで踊る「死」の役というのが何とももったいない。そして、舞台全体、熱が足りない。モンタギュー家とキャピュレット家、理由もわからず憎しみの感情を抱えてヴェローナの街に生きる他ない若者たちの若さと愚かさとエネルギーが爆発して起こる悲劇である。もっと行ける! 憎しみが強ければ強いほど、その中から生まれた愛と悲しみが輝く。
 何百年も前から上演されてきた作品でもあるし、私が作品にふれたその時々に書き記したこともある。でも、例えば、私が何か過去に書いた通りに演じる姿を観たとしても、「読んでくれたんだな。ありがとう」とは思うかもしれないけれども、過去は過去である。私が観たいのは、その作品、その役柄、その音楽を、今、演者がどうとらえ、感じ、考えているか、その発露としての演技であり、表現である。そのきらめきにふれた瞬間、私の中でまた新しい何かが生まれ、――そして、こうして文章となる。舞空ジュリエットが素晴らしいのは、過去の上演なりを研究した上での、「私自身は、ジュリエットの恋する心をこのように表現したい」との思いが、歌に、芝居に、踊りにあふれているからである。2017年、入団2年目で花組公演『ハンナのお花屋さん』のハンナ役を演じたときには心もとない演技だったから、この4年間で舞台人としてかくも逞しい成長を遂げたのだと、私はそのことがうれしいのである。
 今日の綺城ひか理演じるベンヴォーリオの「どうやって伝えよう」は、何かを伝えようという気持ちにあふれる歌唱だった。『ロミオとジュリエット』は、2011年3月11日、東日本大震災の瞬間に、東京宝塚劇場で雪組が上演していた作品である。――私は今でも、大震災から一週間後ほど経った日、ベンヴォーリオ役の未涼亜希が、地震や津波の鮮明なヴィジョンと共に心の揺れを見せながら、――それでも、自分は舞台人として舞台に立って何かを表現し続けることを選択したのだという決意をもって、「どうやって伝えよう」を歌いきったことを思い出す。そしてフィナーレ、余震がまだまだ続く中、大階段を降りるタカラジェンヌたちを、客席一丸となっての手拍子で励まし続けたことを思い出す。そうして、あの困難の時期を、舞台と客席が一緒になって乗り越えたことを思い出す――今、世界中がこのような状況だからこそ、とりわけ強く思い出すのかもしれない。
 ロレンス神父がロミオに宛てて書いた手紙がなぜ届かなかったか。それは、手紙を託した相手が、感染症が出た家にいたと疑われ、足止めされたからである――シェイクスピアの時代の人々も感染症に苦しめられ、劇場は封鎖された。そのことを考えると、今日上演する意義について深く考えさせられる作品である。悩んだら、このミュージカルの原作であるシェイクスピアの戯曲に戻りましょう。それもまた、自身の運命に勝った劇作家がこの世に遺した人類の共有財産なのだから。
2021-04-21 23:53 この記事だけ表示
 何度観ても実に味わい深い作品!
2021-04-11 15:13 この記事だけ表示
 雪組東京宝塚劇場公演千秋楽『f f f−フォルティッシッシモ−〜歓喜に歌え!〜』ライブ配信観ます!
2021-04-11 01:50 この記事だけ表示
 雪組トップスター望海風斗の退団公演『f f f−フォルティッシッシモ−〜歓喜に歌え!〜』の主題歌のタイトルは、「ハイリゲンシュタットの遺書」(作詞:上田久美子、作曲:甲斐正人)である。――退団公演の主題歌が「ハイリゲンシュタットの遺書」。思わず何度もかみしめる。ベートーヴェンその人が書いたその文章を読む――絶望した彼をこの世に引き止めるのは、ただ芸術への思いである。そして、望海扮するベートーヴェンの絶唱を心に思い起こす。
「♪たとえ命/たとえ魂/この体が朽ち果てても」
 魂の叫び。
 ――ベートーヴェンが望海風斗に降りてきたかのようだった。ベートーヴェンが取り憑かれたかのように作曲する様と、望海風斗が取り憑かれたかのようにベートーヴェンを演じる様が、相似形を成す。音楽への愛が、二つの魂をつないでいる。
 文句なしの傑作で、決定的な当たり役を出して、退団していく。歓喜!
 『シルクロード〜盗賊と宝石〜』は、『BLUE・MOON・BLUE−月明かりの赤い花−』の流れにある作品である。ターバンも中国服も実によく似合い、エキゾティックな世界の中に生きる男役・望海風斗を最後に観ることができた。
 望海風斗は芸の人である。真面目な優等生のイメージが強かったけれども、次第にその人となりが舞台でもどんどん出てくるようになった。彼女の有名なエピソードの一つとして、ファン時代、憧れの天海祐希に語りかけるように日記を書いていたという話がある。トップお披露目作品『SUPER VOYAGER!−希望の海へ−』にも取り入れられたこのエピソードが物語るのは、彼女のどこかとぼけたおもしろさである。ベートーヴェン役で“謎の女”と見せたおかしなやりとりにも、そんな個性が表れていた。トップ時代の作品で、『20世紀号に乗って』『NOW! ZOOM ME!!』がとりわけ心に強く残っているのも、同じ理由による。
 そして彼女はフィギュアスケート好きとしても知られている。浅田真央とテレビ番組で対談したこともあるし、雑誌「宝塚GRAPH」に羽生結弦の「SEIMEI」ポーズで登場していたこともあった。――だから、フィギュアスケートを観て、書くとき、いつも望海風斗のことが念頭にあった。芸の人である彼女に恥じることのないような文章を書きたいと思った。2019年の「NHK杯」を真駒内に観に行ったときも、ホテルの部屋に戻って、かつて彼女が天海祐希に語りかけて日記を書いたように、「望海さん、どう思う?」と、心の中で語りかけながら書いていた。そして、かの地で知った。――どう考えても貴方の方が大変でしょうという局面で、人のことをとっさに気遣える、そんな強さと優しさが、望海風斗と羽生結弦の共通点なのだと――そして最近、片岡仁左衛門もまたそのような人であることを知ったけれども。
 男役・望海風斗が宝塚の舞台で観られなくなるのはさみしい。でも、今後、女優として、ミュージカルの舞台を中心に幅広い活躍を見せていく人だと確信しているから。芸を着実に積み重ねて男役トップスターに昇りつめた人なので、女優に転身しても、また着実に芸を積み重ねて開花していくと思うから。トップスターの先輩、柚希礼音もアイスショーに出演している。望海風斗の出演も望む。望海風斗のあの歌声で、スケーターたちが滑る。望海風斗も滑る。観たい!
 今、こうして書いていて、…彼女の存在に支えられていた自分に改めて気づいて、ここで道が分かれるとは絶対に思いたくなくて、歯を食いしばって明るい未来を思い描いている私がいる。
2021-04-11 01:43 この記事だけ表示
 あっぱれな退団である。宝塚を愛して、宝塚でやりきって、そして、自分が舞台人として今後歩んでゆく上で何が必要かもわかった上で、雪組トップ娘役真彩希帆は新たな世界へと旅立っていく。これぞ“卒業”である。
 『f f f−フォルティッシッシモ−〜歓喜に歌え!〜』で演じた“謎の女”は、宝塚の代表作の一つである『エリザベート』のトートをも思わせるキャラクターである。常にベートーヴェンとも、すべての人間とも共にあり、これを見守る。ベートーヴェンが“謎の女”を抱きしめ一つになる瞬間は、『エリザベート』のラストでエリザベートが“トート=死”を受け入れ一つになる瞬間とも重なる――その意味で、『f f f−フォルティッシッシモ−』は興味深い『エリザベート』論たりえてもいる。そうしてトートを彷彿とさせるキャラクターを、真彩は娘役ながら演じる。聖から俗へと自由に行き交う歌声を響かせて。彼女が正体を明かすくだりでは、フランク・ヴェーデキントやベルトルト・ブレヒト作品のヒロインが遠く揺れているような思いがした――。『シルクロード〜盗賊と宝石〜』の<大世界(ダスカ)>の場面でも、歌姫の役どころで聴かせるラップが実に魅力的。
 娘役の地平を持てる力で可能な限り押し広げて、そして、女優との境界線に立って、揺れつつ、でも、宝塚にいる限りは、トップ娘役である限りは、娘役として己に課した矜持をあくまで守らんとするその姿を、――見事だと思った。
 まだまだ行ける。もっともっと行ける。貴女はこれからその道を探しに行く。広い世界に探しに行く。その上では、自らの内に封印したものをーー娘役の矜持を守るために封印したものを――解き放っていい。その封印の様が最後まで実にあっぱれだったからこそ、そう強く思う。
 宝塚の娘役は、女性の中の美の要素を抽出して体現する。でも、現実の女は常に美しくなんかない。そんな女たちを演じて魅力を発揮する女優にもなれる人だと思うから。
 ――あのとき、確かに最初はめちゃめちゃムッとしましたが(笑)。でも、あの貴女の仕草、表情、今振り返ってみると、とってもキュートだった!
 芸の火の玉娘、GO!!!
 恋に身を焦がす女を演じる日を楽しみにしている。
2021-04-11 01:40 この記事だけ表示
 テレビで海援隊が「贈る言葉」を歌うのを観ていても、彩凪翔が『NOW! ZOOM ME!!』で演じた“アヤナギ先生”を思い浮かべてしまう自分がいる。「人という字は〜」「先生、それ、『入』!」と、心の中でコントを再現。「贈る言葉」にまつわる私の記憶あれこれが、アヤナギ先生一色に塗りつぶされている。それくらい、強烈な印象。振り返ってみれば、『るろうに剣心』で演じた悪役メガネキャラ、武田観柳役も強烈だった。「♪ガートガトガト」のガトリング砲の歌が忘れられない。――クールな美形なのに、どこかの地点で壮絶に振り切れて凄まじい方向に行ってしまうのだろうか。でも、クールな持ち味もあって、いつでも品があるのが強み。
 昨年3月末、コロナ禍にあって上演された『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』東京宝塚公演千秋楽(生放送視聴)のジミー役の演技も凄まじかった。組合員として志あった男が、次第に悪に手を染め、権力を握っていく。いかにも中身がありそうで実は内容のないことを延々と饒舌に語る――こういう人、現代にもいる!
 『f f f−フォルティッシッシモ−〜歓喜に歌え!〜』で演じたのは、ベートーヴェン、ナポレオンと並び立つ文豪ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ。落ち着きのある演技で、多彩な魅力をもつ作品の重厚な側面のしっかりとした柱となっていた。『シルクロード〜盗賊と宝石〜』では、作品の狂言回し的存在ともいえる“キャラバンの男”を演じて男役の色気をふりまく。
 鋭い観察眼と批判精神、そして、舞台人としてのあの振り切れ方は、宝塚の外の世界でも大いに有用なものだと思う。これが私の、“アヤナギ先生”へ贈る言葉!
2021-04-11 01:36 この記事だけ表示
 芝居、ショー共に、次期トップ娘役朝月希和の活躍が光る。『f f f−フォルティッシッシモ−』で演じたのはベートーヴェンの初恋の人エレオノーレ・フォン・ブロイニング(ロールヘン)。しっとりしとやかな娘役の風情が光る。望海風斗扮するベートーヴェンを中心に、黒を基調とした衣装の“謎の女”(真彩希帆)と朝月ロールヘンとが対比的に存在するシーンは、メリメの『カルメン』に基づく柴田侑宏作品『激情−ホセとカルメン−』における、姿月あさと扮するホセをめぐる花總まりのカルメンと陵あきののミカエラの対比を思わせて、強い印象を残す。朝月は、娘役の正統も、『MY HERO』で演じたようなオフビートなヒロインもいける、役柄の幅の広い人である。そして、ショーでも魅せる。<夢幻蜃気楼>の場面での踊りの大きなこと! 他の場面でも気迫十分の舞台姿で客席の目線を鮮烈にさらっていくかっこよさがある。――雪組で一番かっこいい彼女に、一つだけ心配が。雪組トップ娘役は、先代の咲妃みゆは自分の本名を忘れ、今の真彩希帆は自分の好きな食べ物を忘れと、代々あまりに芸に没頭しすぎるきらいが…。私は、下級生時代、壮一帆ディナーショー『Bright−ブライト−』でぽわぽわ笑っていた朝月希和も大好きである。どうか、本名も好きな食べ物も忘れず、ときにはぽわぽわ笑っていて! 次期トップスター彩風咲奈はナポレオン役で清々しく吹っ切れた感のある演技を見せたが、二番手時代、どうも似たタイプの役柄が重なったような…。今後、彼女の新たな個性が輝く役柄に期待。娘役である彩みちるがオペラのズボン役の如く演じるモーツァルト役(戯曲のト書きに「モーツァルトはフィガロの結婚のケルビーノのように娘役の演じる若い男」とある)に清冽な魅力。智天使ケルブ役の一樹千尋は、さすがの威厳と「むむむ?」「むむ?」と発する様のキュートさの両立が、作品のファンタジックな一面に彩りを与えている。

 『シルクロード〜盗賊と宝石〜』は生田大和の大劇場ショー作品デビュー作。『CASANOVA』のフィナーレが楽しかったので、ショー作品も観てみたいと思っていた演出家である。確かに、…キャラバンは途中、何処へ? という疑問が浮かばないでもなかった。しかし、一度聴いたら絶対に口ずさんでしまう太田健作曲の主題歌「シルクロード」の魅惑のメロディの強力援軍もあり、旅を通じて新奇なものに出会う喜びが封じられたこのコロナ禍にあって、エキゾティズム満載のこの作品が旅心を満たしてくれたことも事実。中国服姿の望海風斗が、生田の演出家デビュー作『BUND/NEON 上海』で演じた役名と同じ“劉衛強”役として登場し、真彩希帆と彩風咲奈と三人、魅惑のタンゴを繰り広げる<大世界(ダスカ)>の場面が魅力的。「花は咲く」を作曲した菅野よう子が楽曲提供した「盗賊と宝石」のデュエットでは、望海風斗&真彩希帆の“希望”コンビがまさに希望に満ちた歌唱を聴かせる。

 今作で退団となる真地佑果は、宝塚のさまざまな話題をお茶の間に届ける「タカラヅカ・スカイ・ステージ」のスカイ・ナビゲーターズの一人として活躍していた印象が強く残っている。「タカラヅカ・ニュース」を観ていて、その表情で、雪組の状況を推し量ったり。『f f f−フォルティッシッシモ−』ではベートーヴェンの恋敵ガレンベルク伯爵を演じて貴族ならではの冷ややかさを体現。煌羽レオは、ベートーヴェンが秘密にしていた耳の不調をつかみ、脅しをかける権力者メッテルニヒに扮して、きりっとした佇まいの中に冷酷さを見せた。
 “小さな炎”役の笙乃茅桜は、ベートーヴェンの生のエネルギーを象徴するかのように、踊る。踊る。確かに、激しく、メラメラと燃え続ける炎。その炎ある限り、ベートーヴェンの生はある。雪組の舞台を長年支えてきたダンサーである。実に細やかなところにまで気配りして踊っている。それだけ均整の取れた動きをする上ではどれだけの鍛錬を必要としてきたのだろうと、しなやかかつ鋼のようなその筋肉と精神に思いを馳せずにはいられない。舞台上から派手にアピールするのではなく、一心に打ち込む確かな芸で目を引く娘役だった。ときに観ていて歯がゆくなるくらい控え目でいて、そんなところも含めて、かっこよかった! 彼女の踊りが宝塚の舞台で観られなくなることが、とてもさみしい。
2021-04-11 01:33 この記事だけ表示