藤本真由
(舞台評論家・ふじもとまゆ)
1972年生まれ。
東京大学法学部卒業後、新潮社に入社。写真週刊誌「FOCUS」の記者として、主に演劇・芸能分野の取材に携わる。
2001年退社し、フリーに。演劇を中心に国内はもとより海外の公演もインタビュー・取材を手がける。
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野球
今夜のサヨナラ勝ちは涙が出そうにうれしかった。
というわけで、今シーズンは阪神タイガースの試合を中心に野球を楽しんでおり。日本野球の応援歌と歌舞伎の大向う(掛け声)に共通する効果に気づいたり、発見や学ぶこと多し。
というわけで、今シーズンは阪神タイガースの試合を中心に野球を楽しんでおり。日本野球の応援歌と歌舞伎の大向う(掛け声)に共通する効果に気づいたり、発見や学ぶこと多し。
6人の投手リレーで“完全試合”〜。ということで、終盤ハラハラ見守っており。守備もよかった。井端ジャパンの今後も楽しみ!
今年の3月以前、私は、大谷翔平選手がプレイしているところを観たことがなかった。二刀流で活躍しているのは知っていた。野球選手として非常に才能にあふれた人が、みんなに応援されて、キラキラ活躍している、そんな風に思っていた。
WBCをきっかけに彼が所属するロサンゼルス・エンゼルスの試合を観るようになって、見方が変わった。二刀流をやることについてけっこうみんなにいろいろ言われていたんですね。知らなかった。それでさらに興味をもった。
彼が二刀流で登場した開幕戦、途中で他の用事に入ってしまったのだけれども、後で負けたと知って、その晩、自分でも自分にびっくりするくらい、おいおい泣いた。悔しくて。……人のことだとこんなに悔しがれるのかなあ、自分、と思った。その後、ちょっとしてから気づいた。――悔しいって認めると悔しすぎるから、悔しくないということにしていただけじゃん、私!
最初のうちは、「大谷くんが投げると、ボールに命が吹き込まれるのね……」てなことを考えていた。そこから、「翔平、ガンバ!」となるまでにそう時間はかからなかった。そして、いつしか思った。
大谷翔平になりたい。
投げてもみたいし打ってもみたい。でも、何だか一番心ひかれたのは、走塁である。ああいう風にしなやかに走ってみたい。何食わぬ顔でスライディングして、盗塁したい。
それは、私にとって、過去との和解を意味していた。何だかずっと、女に生まれてきた意味を考えてきた。正直、つらかった。私の時代の就職活動なんてね(以下略)。でも、試行錯誤の果て、よき同時代人たちの励ましもあり、女に生まれてきた人生をちゃんとENJOYできるようになった今だからこそ、心に抱ける願望なのだと思った。
朝、起きると、テレビのスイッチを入れて、「エンゼルス、ガンバ!」から一日がスタートする、そんな日々が始まった。私は夜型人間である。万全の体調で客席に座るためにも8〜9時間は睡眠時間を確保すべく、11時くらいまでは寝ている。それが、野球応援生活が始まって、ちょっと朝型になった(野球シーズンが終わったら夜型に戻ったけれども)。
最初のうちこそ、……どうしよう、野球が楽しすぎて他のことができない……と思った。でも、自分は、好きなものを観ることでこれまでもやってきた人間だから、と。そうして、可能な限り、大リーガーたちが繰り広げるドラマを日々観ていた。球種が全然わからないので、それにまつわるドラマの方は全然わからないのだけれども、さっきこういうことがあったからこういうことになって……みたいな流れはわかる。すると。……あれ、何だか、オペラとか戯曲とか、前よりわかるようになった? と――無論、大リーグ効果だけではないと思うけれども。それと、アメリカで作られたミュージカル作品には野球が出てくることも多いし、球場ごとに応援のちょっとした出し物やダンスもあったりして、野球を通じてアメリカ文化を吸収することができた。
大リーガーたちの姿を通じて、闘う姿勢も学んだように思う。耐える姿勢も学んだように思う。前よりオープンな感じになったということなのか、雰囲気が変わったと言われることも何度かあった。
一年を通じて応援していたから、今年ロサンゼルス・エンゼルスにいた選手には愛着が生まれて、全員のことを書けなかったのが心苦しいのだけれども、なかでも、マイク・トラウト選手がいなかったら、ここまで野球に熱中していなかったかもしれない。
WBCの最後の何試合かを観る前、私は、出場している人のうち、栗山英樹監督とダルビッシュ有と大谷翔平と佐々木朗希しか知らなかった。「トラウトってすごいの?」と決勝の後に夫に聞いたところ、半ばキレ気味にいかにすごいか滾々と説明された(夫が大リーグのニュースをけっこう追いかけていることも、今年初めて知った)。そして、エンゼルスの試合を観るうち、……素敵な野球選手だな、と思った。日本にはこういう伝統芸能があるんですよと、何だか彼に伝えたいなと思った(日本の伝統芸能に興味があるかわからないけれども)。今年、彼が途中でケガをしてしまったのが残念である。
そうして、私は、日本時間3月22日のWBC決勝のあのマジカルな瞬間の背景を学んでいった。実のところ、生で観ていたときは、とにかく最後まで観なくてはの一心しかなかった。後で映像で観て、……ああ、これは、芸術の場でもたまさか訪れる、あのマジカルな一体感の瞬間なのだな、とわかった。そうしたマジカルな瞬間は、劇場で、いかにして起こり得るのか――例えば、戯曲や演出上、どう表現し得るのか。そんな意識が今の自分にある。
好きな試合はいっぱいあるけれども、録画で観た4月27日の対アスレチックス戦は忘れられない。高校2年か3年のとき、体育の授業でソフトボールをして、学校の球場近くに友達と腰を下ろしていた日のことを思い出した。他愛のない思い出だけれども、何だか無邪気な日の自分がそこにはいる。そんな自分を今年、どこか取り返した思い。そして、6月中旬の対レンジャーズ4連戦。どうしたら相手より1点でも多く点を取って勝つという目標に近づき得るのかを察知して瞬時に身体で表現することに長けている人なんだな……と、改めて圧倒された――ライブ・パフォーマンスの場でも大切な能力だと思った。
好きなホームランもいっぱいあるけれども、第41号ホームランには、そのころ、自分が若干体調を崩していたというのもあって、心励まされたな……と。それと、第43号満塁ホームランには、打ったときから「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ」みたいになっており。
ロサンゼルス・ドジャーズに行っても、無理しないでくださいね。大谷翔平選手、ガンバ!
WBCをきっかけに彼が所属するロサンゼルス・エンゼルスの試合を観るようになって、見方が変わった。二刀流をやることについてけっこうみんなにいろいろ言われていたんですね。知らなかった。それでさらに興味をもった。
彼が二刀流で登場した開幕戦、途中で他の用事に入ってしまったのだけれども、後で負けたと知って、その晩、自分でも自分にびっくりするくらい、おいおい泣いた。悔しくて。……人のことだとこんなに悔しがれるのかなあ、自分、と思った。その後、ちょっとしてから気づいた。――悔しいって認めると悔しすぎるから、悔しくないということにしていただけじゃん、私!
最初のうちは、「大谷くんが投げると、ボールに命が吹き込まれるのね……」てなことを考えていた。そこから、「翔平、ガンバ!」となるまでにそう時間はかからなかった。そして、いつしか思った。
大谷翔平になりたい。
投げてもみたいし打ってもみたい。でも、何だか一番心ひかれたのは、走塁である。ああいう風にしなやかに走ってみたい。何食わぬ顔でスライディングして、盗塁したい。
それは、私にとって、過去との和解を意味していた。何だかずっと、女に生まれてきた意味を考えてきた。正直、つらかった。私の時代の就職活動なんてね(以下略)。でも、試行錯誤の果て、よき同時代人たちの励ましもあり、女に生まれてきた人生をちゃんとENJOYできるようになった今だからこそ、心に抱ける願望なのだと思った。
朝、起きると、テレビのスイッチを入れて、「エンゼルス、ガンバ!」から一日がスタートする、そんな日々が始まった。私は夜型人間である。万全の体調で客席に座るためにも8〜9時間は睡眠時間を確保すべく、11時くらいまでは寝ている。それが、野球応援生活が始まって、ちょっと朝型になった(野球シーズンが終わったら夜型に戻ったけれども)。
最初のうちこそ、……どうしよう、野球が楽しすぎて他のことができない……と思った。でも、自分は、好きなものを観ることでこれまでもやってきた人間だから、と。そうして、可能な限り、大リーガーたちが繰り広げるドラマを日々観ていた。球種が全然わからないので、それにまつわるドラマの方は全然わからないのだけれども、さっきこういうことがあったからこういうことになって……みたいな流れはわかる。すると。……あれ、何だか、オペラとか戯曲とか、前よりわかるようになった? と――無論、大リーグ効果だけではないと思うけれども。それと、アメリカで作られたミュージカル作品には野球が出てくることも多いし、球場ごとに応援のちょっとした出し物やダンスもあったりして、野球を通じてアメリカ文化を吸収することができた。
大リーガーたちの姿を通じて、闘う姿勢も学んだように思う。耐える姿勢も学んだように思う。前よりオープンな感じになったということなのか、雰囲気が変わったと言われることも何度かあった。
一年を通じて応援していたから、今年ロサンゼルス・エンゼルスにいた選手には愛着が生まれて、全員のことを書けなかったのが心苦しいのだけれども、なかでも、マイク・トラウト選手がいなかったら、ここまで野球に熱中していなかったかもしれない。
WBCの最後の何試合かを観る前、私は、出場している人のうち、栗山英樹監督とダルビッシュ有と大谷翔平と佐々木朗希しか知らなかった。「トラウトってすごいの?」と決勝の後に夫に聞いたところ、半ばキレ気味にいかにすごいか滾々と説明された(夫が大リーグのニュースをけっこう追いかけていることも、今年初めて知った)。そして、エンゼルスの試合を観るうち、……素敵な野球選手だな、と思った。日本にはこういう伝統芸能があるんですよと、何だか彼に伝えたいなと思った(日本の伝統芸能に興味があるかわからないけれども)。今年、彼が途中でケガをしてしまったのが残念である。
そうして、私は、日本時間3月22日のWBC決勝のあのマジカルな瞬間の背景を学んでいった。実のところ、生で観ていたときは、とにかく最後まで観なくてはの一心しかなかった。後で映像で観て、……ああ、これは、芸術の場でもたまさか訪れる、あのマジカルな一体感の瞬間なのだな、とわかった。そうしたマジカルな瞬間は、劇場で、いかにして起こり得るのか――例えば、戯曲や演出上、どう表現し得るのか。そんな意識が今の自分にある。
好きな試合はいっぱいあるけれども、録画で観た4月27日の対アスレチックス戦は忘れられない。高校2年か3年のとき、体育の授業でソフトボールをして、学校の球場近くに友達と腰を下ろしていた日のことを思い出した。他愛のない思い出だけれども、何だか無邪気な日の自分がそこにはいる。そんな自分を今年、どこか取り返した思い。そして、6月中旬の対レンジャーズ4連戦。どうしたら相手より1点でも多く点を取って勝つという目標に近づき得るのかを察知して瞬時に身体で表現することに長けている人なんだな……と、改めて圧倒された――ライブ・パフォーマンスの場でも大切な能力だと思った。
好きなホームランもいっぱいあるけれども、第41号ホームランには、そのころ、自分が若干体調を崩していたというのもあって、心励まされたな……と。それと、第43号満塁ホームランには、打ったときから「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ」みたいになっており。
ロサンゼルス・ドジャーズに行っても、無理しないでくださいね。大谷翔平選手、ガンバ!
胴上げされるヴィジョンが浮かんで、――それが最後の一球になった。
1点差に詰め寄られたとき、結末がわかった――違う競技でそういう試合を観たことがあった。勝つとわかるんじゃない。失敗しないことがわかる試合。
……もっと上に行きたい……という思いに心を動かされた。
1点差に詰め寄られたとき、結末がわかった――違う競技でそういう試合を観たことがあった。勝つとわかるんじゃない。失敗しないことがわかる試合。
……もっと上に行きたい……という思いに心を動かされた。
テレビ朝日で映画『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』が放送されます!
ロサンゼルス・ドジャースのファンにもなりました!
見応えのある試合でした! 韓国に2点先行されるも牧秀悟のソロホームラン、佐藤輝明(守備、観ていて楽しい)の犠牲フライで追いつき、タイブレークの延長戦へ。10回表、韓国の攻撃を1点で抑え、その裏、井端弘和監督は当たっている3番森下翔太に代打古賀悠斗を出す。そのとき、「……さすが井端」と一緒に観ていた夫(中日ドラゴンズ応援サークル「東大昇竜会」一期生)がぽつり。その古賀が初球で見事にバントを決め、坂倉将吾の犠牲フライで追いつき、最後は東京ドームが本拠地の読売ジャイアンツ門脇誠がサヨナラタイムリー!
今日の試合も万波中正が打つ打つ! 二番手根本悠楓の小気味いいピッチング。四番手田口麗斗の球の回転数、すごかった。応援、日本も韓国も熱かった! 1番藤原恭大で千葉ロッテマリーンズの「飛び跳ね応援」→2番小園海斗で広島東洋カープの「スクワット応援」と続く流れが一緒にやっていてめちゃめちゃハードでした(笑)。楽しい試合をありがとう! 来年は東京ドームに野球を観に行くぞ〜!
余談。今日の中継はTBS系、そのWBCテーマ曲はジャーニーの「セパレート・ウェイズ」ですが、レキシの「KATOKU」のプロモーション・ビデオが「セパレート・ウェイズ」のプロモーション・ビデオの爆笑オマージュになっているので、「セパレート・ウェイズ」を聞くと笑えてくるあひるでした。
今日の試合も万波中正が打つ打つ! 二番手根本悠楓の小気味いいピッチング。四番手田口麗斗の球の回転数、すごかった。応援、日本も韓国も熱かった! 1番藤原恭大で千葉ロッテマリーンズの「飛び跳ね応援」→2番小園海斗で広島東洋カープの「スクワット応援」と続く流れが一緒にやっていてめちゃめちゃハードでした(笑)。楽しい試合をありがとう! 来年は東京ドームに野球を観に行くぞ〜!
余談。今日の中継はTBS系、そのWBCテーマ曲はジャーニーの「セパレート・ウェイズ」ですが、レキシの「KATOKU」のプロモーション・ビデオが「セパレート・ウェイズ」のプロモーション・ビデオの爆笑オマージュになっているので、「セパレート・ウェイズ」を聞くと笑えてくるあひるでした。
先発の早川隆久がビシッと抑えた〜。いろいろなチームの応援を一度に観られるのがおもしろくて、小園海斗の打席のとき、広島東洋カープのかわるがわる立ったり座ったりしながら歌う「スクワット応援」を夫と二人でやっていたのですが、けっこうハードで息が切れました(笑)。いい運動になりそう。
明日の決勝もガンバ!
明日の決勝もガンバ!
先発の隅田知一郎がテンポよく投げているのが観ていて気持ちよかった&佐藤輝明の守備がよかった。
明日もガンバ!
明日もガンバ!
シーズン中、日々のプレイに本当に心励まされていました。来シーズンの野球での表現も楽しみにしています!